夕張岳


                         2019年6月20日


    夕張岳は花の山である。蛇紋岩メランジュ帯という地質構造を持ち、蛇紋岩は植物の生
  育に適さない超塩基性のためここでしか育たない固有種が10種類以上も見られる希少植
  物の山でもある。
   すべてが蛇紋岩で成り立っているわけではないため、そこでは多くの高山植物も見られ
  一つの山でこれほどたくさんの花が見られるのはここだけと言ってもいいくらいの山であ
  る。

  6月の中旬にここを訪ねるのはたつさんは2回目。今回はこの時期にしか見られない固有種のシソバキス
 ミレを見て撮ってくることが最大の目的である。今までも6月下旬を含めて数回歩いているが、シソバキス
 ミレを登山道近くで見ることはできなかった。2、3年前から見られるようになったとの情報を得、今回の
 訪問となった。あーちゃんは夕張岳は8年ぶりとなる。

   ≪1日目  
     新千歳空港からレンタカーを借り、スーパ
  ーで夕食と明日の朝食、昼食の食材を仕入れ
  て夕張岳ヒュッテへ向かう。

   シューパロ湖越しにくっきりと夕張岳が見
  られた。写真の右の山体の一番左が山頂であ
  る。

   林道入り口から車止めまで約9キロ走り、
  そこから荷物を持って15分ほどでヒュッテ
  に着く。

   今日はわれわれを含めて5名の宿泊者だっ
  た。
    シューパロ湖越しの夕張岳
   ≪2日目≫   
     朝、ヒュッテでコーヒーとパンで食事をし
  て荷物は置かせてもらって出発。

   すぐの沢沿いにオオバミゾホウズキがあり、
  その後登山口までにノビネチドリとシロバナ
  ノビネチドリが見られた。

   ノビネチドリを夕張で見たのは10数年ぶ
  りで、この写真は帰りに撮ったものである。
  オオバミゾホウズキ
 
   ノビネチドリ シロバナノビネチドリ
     登山口から山頂までは7.1キロの道程だ。
  まずは冷水の沢を目指す。下の方の樹林帯に
  花はコンロンソウやズダヤクシュなどが咲き、
  クルマバツクバネソウとツクバネソウが見ら
  れた。

   クルマバツクバネソウは葉が6枚、ツクバ
  ネソウは葉が4枚と違いがある。

   その後、ミヤマハンショウヅルの咲いてい
  る花が一つ見られて冷水の沢に着いた。

    クルマバツクバネソウ
 
  ツクバネソウ ミヤマハンショウヅル
     ここで少し休憩して歩き出すが、ここから
  少しずつ花が見られるようになる。ただまだ
  この時期なので種類は限られている。

   ヒロハヒメイチゲ、ウコンウツギ、エゾヒ
  ョウタンボク、コヨウラクツツジ、ムラサキ
  ヤシオツツジなどで、どちらかというと木本
  の花が多い。
  ヒロハヒメイチゲ
       馬の背コースとの分岐を過ぎ、やや急な登
    りをしばらく続けると石原平に出る。

     ここはシラネアオイの群生地として知られ
    ている。

     今年は例年より開花が早かったのか、終わ
    りかけのものが多かった。ちょっと残念な気
    分。
  エゾヒョウタンボク
 
  シラネアオイの群落
     少し歩いて望岳台に着く。ここから芦別岳
  が見えるが今日はくっきりとは見えていない。

   ちょっと休んで先に行く。トラバース気味
  にササのある道を歩く。エンレイソウ、シロ
  バナエンレイソウ、エゾノイワハタザオ、フ
  ギレキスミレ、サンカヨウ、ミヤマスミレと
  次々と出てくる。シラネアオイも標高が高く
  なったためかきれいな花を見せてくれた。

   圧巻はツバメオモトだった。あーちゃんが
  「ここはツバメオモトロードだね。」とにか
  く咲いている数がすごい。こんなに咲いてい
  るのをここで見たのは初めてだ。
  シロバナエンレイソウ
   
  エゾノイワハタザオ  フギレキスミレ
 
   サンカヨウ ツバメオモト 
       憩いの沢までにも短い雪渓を渡るところが
    残っていた。

     エゾノリュウキンカが咲き始めていた。咲
    き始めの花はどれをとってもきれいだ。

     前岳湿原は半分ほど雪に覆われていた。

     雪が解けてしばらくするとここにも湿原の
    花が見られるが今はまだその状態ではない。

     夕張岳が雲間から光が一部差した状態で見
    えた。帰りには青空の下でくっきり見えるだ
    ろうと期待していたが、もっと曇り空になっ
    てしまった。
  シラネアオイ  
  

 
  エゾノリュウキンカ 前岳湿原と夕張岳

                                                                      ≪続く≫

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