夕張岳


                          2012年6月19日


 夕張岳も10ヶ月ぶりで、過去にも6月には4回登っているが中旬に訪れたのは初めてである。
 ユウバリソウ、2003年以降見ていないエゾタカネスミレ、2004年以降見ていないユウパ
リキンバイなどを見てみたい。間に合えばユウパリコザクラも。この時期に初夏の花がどのくらい
咲いているのかが楽しみである。


  18日の夕方6時過ぎに夕張岳ヒュッテに入った。駐車場に車はないので、ボクらだけだ。
 ヒュッテではストーブが燃えていた。早速管理人さんと持っていったビール(沢水が冷たい
 のですぐ冷えた)を飲みながら食事。もう誰も来ないだろうと思っていたら、暗くなる少し
 前に一組のご夫婦が到着した。大きなテーブルを出し、一緒に食事にする。東京からの人で、
 年齢は同世代、昨日小樽にフェリーで着き、その日は様似。今日、アポイ岳に登って一般道
 を通ってここに着いたという。
  すごいパワーだね! ヒュッテの中が畳敷きなのには驚いていた。

      夕張岳の天気予報では12時までは曇
  りを確認している。雨の心配は先ずない
  だろう。花を撮るにはむしろ曇っていて
  くれたほうが撮りやすい。

   ヒュッテに荷物を置かせてもらって、
  朝も食べずに出発する。そのころ前日の
  ご夫婦が起きてきて朝食の準備をしてい
  た。

   少し戻って冷水コースから登る。片道
  7.3キロと表示が出ていた。

   コンロンソウやズダヤクシュ、クルマ
  バソウが咲き始めている。

   ノビネチドリが見えた。ノビネチドリ
  は2002年にこの辺りで見て撮ってい
  るが、それ以降一度も見たことがなかっ
  たので、大変幸先がいい。
    ノビネチドリ
 
    フッキソウの残り花があった。フッキ
   ソウは3月下旬には咲く花で、前の年の
   夏から蕾をつけてそのまま冬を越す花で
   あり、残り花とはいえ見られたのは幸運。

    マムシグサやヒメゴヨウイチゴ、ヒロ
   ハヒメイチゲなども時々顔を出す。

    木々の花はと言えば、オオカメノキや
   ちょうど咲きはじめのムラサキヤシオツ
   ツジがピンクの花を林の中に咲かせてい
   た。
  フッキソウ  
      ヒュッテを出てから約1時間で冷水の
   沢に到着。
    曇り空ではあるが風がなく、湿度もや
   や高いため結構汗が出る。

    ここで水を補給すると共に、朝食とす
   る。最近は、朝食を食べて出発するとい
   う従来のパターンから、まずは出発して
   適当なところでおなかもすいたころに食
   べるパターンに変わってきている。

    沢のそばに、シラネアオイの白花が2
   輪咲いていた。
  ムラサキヤシオツツジ
 
    ここからはどんな花が出てくるかが楽し
   みな道になる。とはいっても望岳台までは、
   通常他の山でも見られる花が多い。

    ツバメオモト、シロバナエンレイソウ、
   ヒメイチゲ、マイヅルソウ、サンカヨウな
   どである。ミネザクラもまだ咲いており、
   ところどころで桜の花びらが散り始めてい
   た。
  サンカヨウ
 
  ツバメオモト シロバナエンレイソウ
      
    馬の背コースからの道に合流して、登りにかかる。ギョウジャニンニクがたくさんある。
    ここも、ツバメオモトやサンカヨウ、マイヅルソウ、ウコンウツギ、ミネザクラなどが見える。

    一箇所でエンゴサクが咲いている。エゾエンゴサクは雪解け直後に道内のちょっとした林や道
   端で見られる花で、夕張へ来る国道沿いにもたくさん咲いているのをみたことがある。ここの花
   は以前にも見ているが、下から靴底にでもついていた土で運ばれたものが発芽したのか、それと
   もヤマエンゴサクとして自生しているのか、ここ以外の登山道では見られないので興味がある。

    石原平に到着した。見事なちょうど満開のシラネアオイの群生だ。

 
  シラネアオイ 石原平のシラネアオイ
      
    ノウゴウイチゴがときどき顔を出す。

    この花は雨の日は別にして、午前中で
   あれば葉っぱの先端に必ず水滴をつけて
   いる。水分を如何に確保するかの工夫を
   凝らして生きているらしい。
    写真としても面白い。

    ほんのちょっとで望岳台に到着した。
    残念ながら芦別岳は霧の中。少し待っ
   ていたらほんの瞬間だけ一部が見えたが、
   今日はそのときだけだった。
  ノウゴウイチゴ
 
    望岳台の大きな岩で少し休憩。近くに
   ツマトリソウが咲き始めている。いつも
   ここにある花だ。

    また、クロツリバナのたくさん花をつ
   けている木があった。

    ウコンウツギやウラジロナナカマドも
   花をつけている。エゾノリュウキンカも
   雪解け後の湿地に咲いていた。


    ツマトリソウ 
 
  クロツリバナ エゾノリュウキンカ
        ここの道は前岳の北側を巻いているが
   ササがだいぶ被ってきていた。ここから
   はところどころで残雪がある。

    憩沢はまだ雪に埋まっていた。前岳湿
   原も一部に雪が残っており、まだ解けて
   日数は経過していない模様で、植物の芽
   もほとんどなかった。

    ミズバショウがまだ咲いている場所も
   あった。ショウジョウバカマもときどき
   見られた。

    ひょうたん池付近で今日2度目のクマ
   の落し物に出会った。新しくはなかった
   が、友人は早速笛を吹き鳴らしてくれと
   せがむ。
 
  前岳   
 
    南に開けた道に出る。ここは距離は短いがたくさんの花の咲く素晴らしいところ。

    もうハクサンチドリが咲いていた。このあと湿性お花畑までいたるところに咲きはじめのハク
   サンチドリがあった。こんなに早くから咲いているとは思っていなかった。また、ハクサンボウ
   フウも咲き出していた。

    さらに、ミヤマキンポウゲ、ミヤマオダマキ、チシマノヒョウタンボクが、またチシマフウロ
   も2株だけ咲いているのが見られた。

     
   ハクサンチドリ  ハクサンボウフウ
 
  チシマヒョウタンボク  チシマフウロ

    

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