雪倉岳(白馬岳〜朝日小屋)


                          2014年8月1日


   雪倉岳はそこだけを目指して登られる山ではなく、白馬岳から朝日岳あるいはその逆コース
 を歩くときに通過する山と位置づけられている。
  しかし雪倉岳周辺はたくさんの花々が咲き乱れるフラワーロードでもある。新しい2万5千
 分の一の地形図には、雪倉岳のすぐ横に、「白馬連山高山植物帯」と記されていることからも
 わかる。残念ながらここを“白馬岳屈指のお花畑”と呼んでいるガイドブックもあって、雪倉
 岳の存在感がやや薄い。そこで今回は敢えて雪倉岳をクローズアップしてみた。


  白馬山荘に泊まった5人のうち、Nさんは夜中の12時に目が覚めて外に出てみるとそこは満天の星空だっ
 たという。昨日夕方は上空は青空で西日も射していたが周囲の山々は雲でほとんど見えなかった。しかし、今
 日は快晴で大パノラマが見られる。風もない。
  今日の行程はロングルートなのでできるだけ早めに出発することとした。

       朝食を済ませて5:35に出発。白馬岳山頂に向かう。
 
     Sさんは昨日から「ブロッケン現象を見たい。」と盛んに言っていたが、この天気では全く
    期待できない。我々は初めて白馬岳に来た時、早朝の山頂でブロッケン現象に出合い、感動し
    た経験があるだけに、少し気の毒になる。

     白馬岳山頂は360度の絶景だ。近場の杓子、鑓、鹿島槍、遠方の槍ヶ岳、穂高連峰、そし
    て剣岳、立山連峰と素晴らしい。

   
  白馬岳山頂からのパノラマ 
     山頂で写真を撮ったあと、三国境までは昨
  日登ってきた道を降りる。白馬岳で最も早く
  に咲くツクモグサはもう種をつけていた。

   前方に今日目指す雪倉岳と朝日岳が見える。
  その左に赤い屋根の朝日小屋も見える。あー
  ちゃんが、「あそこへまっすぐ行ければいい
  のにね。」

   三国境は北西側の急斜面にコマクサがたく
  さん咲いていた。
    ツクモグサの種子
 
  雪倉岳と朝日岳(左) コマクサ
     雪倉岳方面には先行のパーティーが見える。
   おそらく朝食をとらずに出発したものと思
  われる。

   三国境を過ぎて後方を振り返ると、白馬大
  池方面に向かう人たちより我々と同じルート
  を取る人たちの方が多い。ロングルートなの
  で早立ち組に雪倉岳方面が多いのだろう。4
  パーティーが見られた。

   ザレ場の道を下り、右手に雪田を見るころ
  からハイマツの道となり、花が出てくる。足
  元のコバノコゴメグサ、イブキジャコウソウ
  に交じってイワオウギが見える。
  イブキジャコウソウ
       鉢ヶ岳の鞍部付近でシロウマオウギが見
    られた。この花はこれ以降見られなかった。

     ミヤマウイキョウやタカネシュロソウが
    見られる。ミヤマウイキョウはせり科の植
    物で、せり科は種類が多く区別がつきにく
    いが、白馬岳周辺ではこの時期はほとんど
    がミヤマウイキョウだ。

     タカネシュロソウでは、普通みられる赤
    黒い花でなく、色素がなくなって黄緑色を
    した変種(アルビノ種とも言われる)が見
    られた。
  イワオウギ  
 
  シロウマオウギ ミヤマウイキョウ
       鉢ヶ岳は山頂へは行かず、東側の巻き道を
    進む。

     途中に雪渓が3か所残っており、雪解けの
    水が流れ、雪田性の花弁の素敵なイワイチョ
    ウ、シナノキンバイ、ハクサンコザクラ、ア
    カモノ、アオノツガザクラ、ミネズオウが現
    れる。

  ミドリタカネシュロソウ
 
  イワイチョウ シナノキンバイ
 
  ハクサンコザクラ アカモノ
 
  アオノツガザクラ ミネズオウ
     鉢ヶ岳の東斜面は、シナノキンバイやハク
  サンイチゲの大きなお花畑だ。みんなから口
  々に「素晴らしいね!」という感嘆の声が聞
  こえる。

   チシマギキョウ、ミヤマムラサキ、タカネ
  イブキボウフウ、ツガザクラ、ショウジョウ
  バカマ、ハクサンイチゲと次々に現れ、まさ
  に百花繚乱だ。

   こんな花園があったのかと思われるほどの
  花々だ。
    チシマギキョウ
 
   ミヤマムラサキ タカネイブキボウフウ
       雪渓の端で少し休憩を取る。小腹がすいた
    ので各自行動食を口にする。

     北アルプスと言えば、岩の切り立った山が
    多い印象だが、ここは山の形が緩やかで全体
    が草に覆われた草原状をしていて、なんとな
    く大雪山の雰囲気にも似ている。

     ここからしばらく緩い風衝地を歩く。ここ
    にも、それまでに見たのとはほかに、クルマ
    ユリ、まだ花のついているウルップソウ、マ
    ツムシソウ、シロウマチドリ、タカネシオガ
    マが咲いている。
     ミヤマムラサキもところどころで咲き誇っ
    ている。
  ツガザクラ
 
  クルマユリ ウルップソウ
 
  マツムシソウ シロウマチドリ
       前方に雪倉岳避難小屋が見えてくる。

     花はまだまだ続く。

     クモマミミナグサ、ホソバツメクサ、これ
    もずいぶんたくさん咲いている。ウメバチソ
    ウも一株咲いていた。まだもう少し後になる
    と開花する花だ。

     ハクサンシャジン、シモツケソウ、そして
    シナノオトギリが見られて、避難小屋に到着
    した。
  タカネシオガマ  
 
  クモマミミナグサ ホソバツメクサ
 
  ウメバチソウ ハクサンシャジン
 
  シモツケソウ シナノオトギリ

                                                                ≪続く≫

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