雪倉岳避難小屋で休憩。日差しが強いが、
  中で休むより外のほうが気持ち良い。

   コーヒーを沸かし、ビスケットを食べる。

   我々が着いた時には休んでいた先行のパー
  ティー5人が出発し、あとから1パーティー
  が着いた。

   ここから雪倉岳まで、今日一番の登りだ。

   きれいなタカネバラが咲いていた。ここま
  でにもずいぶん見られた。
    タカネバラ
     先行のパーティー5人の登っている姿が頭
  の上に見えるようなところもある。あたりは
  ムカゴトラノオがそれこそ“うじゃうじゃ”
  咲いている。

   また、このあたりにもツクモグサの咲き終
  わった姿が見られる。ツクモグサがある山と
  して、白馬岳は知られているが、雪倉岳は一
  般的に知られていない。雪倉岳は独立峰なの
  で新たにツクモグサの咲く山としていいとも
  思うし、一方で白馬岳のツクモグサが三国境
  まで分布することを考えるとその延長でこの
  辺りに咲くと考えてもいい、などと考えなが
  らたつさんはここを登っている。
    ムカゴトラノオ
     ここには、ほかにタカネヤハズハハコも咲
  き始めていた。

   また、道の左手にもハクサンイチゲ、ミヤ
  マキンバイ、イワカガミ、キバナノコマノツ
  メなどのお花畑が続いている。
  タカネヤハズハハコ
 
  雪倉岳西斜面のお花畑
     そして避難小屋から歩き始めて1時間弱で
  雪倉岳の山頂に立った。

   標識には環境庁・富山県と書いてあったが、
  地図上では富山県と新潟県の県境の山だ。

   360度素晴らしい景観だ。特に西側の山
  並みが雪渓の白と緑、空の青さが相まって絶
  景だ。

   ここが今日のロングルートのほぼ中間地点
  で、あとは下るだけで長い登りはないと確信
  していた。
  雪倉岳の標識
 
  左から白馬岳、旭岳、清水岳、遠方は劔岳
     写真を撮り合ってから、先に進む。

   朝日小屋から逆コースをたどる人たちに出
  会うようになる。そのうちの一人に昼食の際
  必要なので、水場の様子を聞いた。

   手前の一本は細い流れだが、もう一本は結
  構な水量があるという。

   ガレ場をジグを切って下る。カライトソウ
  が見られた。たつさんは初めて見る花だ。ミ
  ヤマアケボノソウが2株だけ見られた。まだ
  咲く時期には少し早いと思うが、こんな水分
  の少ないところにもこの花が生育するのだな
  と言う感じを持った。
    カライトソウ
       この尾根道も左右の見通しがきいて素晴ら
    しく雄大だ。

     右手に雪倉ノ池が見えてきて、この角度で
    はハート形に見える。

     ホソバツメクサ、花の終ったウルップソウ
    があり、ミヤマウツボグサ、ウサギギク、ミ
    ヤマアズマギク、ニッコウキスゲも新たに加
    わってきた。
  ミヤマアケボノソウ
 
  雪倉ノ池 ミヤマウツボグサ
 
  ウサギギク ミヤマアズマギク
       ミヤマシオガマが残っていた。しかも白色
    のミヤマシオガマも近くにあった。

     ミヤマシオガマは咲く時期が早いため、昨
    日も枯れた花の姿は見ていた。おそらくこの
    場所は雪解けが遅かったのか、あるいは遅れ
    て咲いた個体だったのか・・・。

     タカネシオガマとよく似ているが、葉っぱ
    の形と花の咲き方が違う。タカネシオガマは、
    上から見るとまぁるい形で咲いている。
  ニッコウキスゲ  
 
  ミヤマシオガマ シロイロミヤマシオガマ
       花はさらに続く。

     ダイモンジソウ、ミヤマリンドウ、ムシト
    リスミレ、ヨツバシオガマ。

     そして稜線から下りてきて雪田が残ってい
    れば水が取れると書いてあったが、雪もなく
    水の流れはなかった。
     仕方なく先に進む。オタカラコウがたくさ
    ん咲きだし、シロウマアサツキも見られるよ
    うになった。

     もうこのあたりで昼にして少し休まなけれ
    ばと思っていた先に、小さな流れがあった。
  上から見たタカネシオガマ  
 
   ダイモンジソウ ミヤマリンドウ
 
  ムシトリスミレ  ヨツバシオガマ
     
   オタカラコウ シロウマアサツキ
 
     この昼食でたつさんとあーちゃんは大失敗をしでかす。今日のメニューはスパゲッティ。
     パックに小分けして今朝、出発時に水を加えてザックに忍ばせてきた。

     これをコッフェルの中に湯を沸かして少し茹でれば出来上がり。ソースをかければおいしい
    スパゲッティができるはずだった。

     実際、家でもやっていたし、先週北岳でも試してうまくいっていた。しかし今回、水の量が
    少なかったためかスパゲッティがくっついてしまい、お湯の中で固まってなかなかほぐれない。

     何とか二人で工夫してみるが、一本一本に分離しないし、短くなってしまったり・・・。
     「ペンネと思えばうまいよ。」とSさんが慰めてくれ、Nさん夫妻も「十分食べられるよ。」
    と食べてくれた。

     今日も歩いてる時に、「ランチはイタリアのシェフの味だから。」とたつさんが豪語してお
    り、なんとも申し訳ない気持ちだった。

     流れに浸したN家自家製朝採りのキュウリとトマトは美味しかった。
 
     日蔭もない中での悪戦苦闘の昼食後、歩き
  出すともう1本の流れがあり、そこを渡ると
  木道が続き小桜ヶ原に着いた。

   ハクサンコザクラはだいぶ終わっているも
  のが多かったが、それでも小さな群落が見ら
  れ、リュウキンカも咲いていた。
    ハクサンコザクラ
 
     木道が続き、ベニバナイチゴやまだ旬の状
    態のキヌガサソウが見られ、水平道との分岐
    に着いた。

     ここでまた試練が・・・。水平道が閉鎖さ
    れていたのだ!!。

     まだ雪が多く、踏み抜きによる危険のため
    通行禁止となっている。たつさんだけなら登
    山道の上だけの雪なので、踏み抜いたとして
    もその下は道なので大したこともないし、踏
    み抜かないように歩ける自信はあるが、みん
    なを引き連れて、というと安全第一が優先だ。

     でも一同がっかり。
     
  リュウキンカ  
 
  アカバナイチゴ キヌガサソウ
     朝日岳を登って朝日小屋に行くしかない。
  朝日岳まで1.5キロの標識があった。「1
  時間半あれば行けるよ。」とたつさんが励ま
  す。

   仕方なく急登を登り始める。今日は登りは
  雪倉岳のみと思っていたので、ここまでの疲
  れもあってみんなの足が重い。

   ガスがこのころから出てきて日差しがなく
  なった。

   たつさんはそんな中でも新たに見られる花
  を撮っていた。ハクサンチドリが見られた。
  そして登りが緩くなり雪渓が現れ、オオバキ
  スミレがあった。
   先行しているSさんが、「シラネアオイが
  あったよ。」と叫んでいた。
 
    ハクサンチドリ
 
  オオバキスミレ シラネアオイ
     やっと山頂に着いた。先行するパーティー
  に追いついていた。大したものだ。

   山頂は雲がかかっていて視界はなかった。

   ここから木道の下りが続き、しばらくして
  朝日小屋の赤い屋根が見えてきた。
  朝日平にある朝日小屋
 

 


    朝日小屋に着くと、空が晴れてきて夕方まで強い日差しだった。

    荷物を整理し、汗をぬぐって今日は缶ビールで乾杯。一日よく歩いた。

    朝日小屋は素晴らしい食事だった。これが山小屋の食事かと思うほどおいしかった。

    今日のロングルートは晴れていて風もないこともあって、素晴らしい景色とたくさんの種類の
   花々に出会えた珠玉のフラワーロードだった。


   白馬山荘 5:35  白馬岳 5:50  三国境 6:33  雪倉避難小屋 8:33

   雪倉岳 9:39  小桜ヶ原 12:58  水平道分岐 13:16  朝日岳 14:47

   朝日小屋 15:35


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