白馬岳


                          2014年7月31日


   白馬岳から雪倉岳を経由して朝日岳を蓮華温泉から周回するルートは広大な草原とたくさん
 の花々、樹林や湿原の織り成す絶景などがあって素晴らしいコースと言われている。
  今夏のメインイベントとしてここを選定し友人に声掛けを行ったところ、5人でこのルート
 に挑戦することになった。
  7月30日、蓮華温泉に夕方までに集まってスタートすることとした。


  蓮華温泉には大糸線の平岩駅付近から林道で上がる。この林道はバスが通ることもあって舗装されてはい
 るが、狭いところもあり距離が22キロくらいある。慎重に運転して家から7時間以上もかかって到着した。
  北アルプスそれ自体も遠いが、その中にあって最北部に位置するため前泊するにも時間がかかる。

     今日の白馬岳のルートは、白馬大池と白馬
  岳の間を除くと初めて歩くルートだ。

   蓮華温泉の朝食が6時前と聞いていたので、
  宿の朝食は摂らず、前もって買っておいた朝
  食と昼食をもって5時に歩き出す。

   この日と明日8月1日の天気予報は曇りか
  霧一時雨で、「晴れ」という文字はなかった。
   でも明け方は晴れていて雲も一部にあった
  だけだった。

   まずは標高差約600mを登って天狗の庭
  を目指す。ヤグルマソウと咲き終わりのキヌ
  ガサソウが見られた。
    ヤグルマソウ
       キヌガサソウを見たのは、たつさんは初め
    てである。

     歩き始めてからはさわやかなブルーのヤマ
    アジサイやタマガワホトトギス、シロスミレ
    などが見られたが、その花の数が多いのに驚
    く。

     ほかにゴゼンタチバナやソバナ、マイヅル
    ソウ、タニギキョウ、シナノオトギリなどが
    次々と現れた。
   キヌガサソウ
       ダケカンバやオオシラビソの大きな木があ
    る樹林帯はすずしく、汗がたらたらと言う感
    じではない。

     山の経験の少ないNさん夫妻は初めての山
    小屋2泊でその分の荷を担いでいるので、3、
    40分に1本の休憩を取りながら歩く。

     頭上が開けてきて、あたりにクルマユリや
    タカネナデシコ、ミヤマムラサキなどが現れ、
    標高2000mの天狗の庭に着いた。
  ソバナ
 
  クルマユリ タカネナデシコ
     ハクサンオミナエシもかなり咲いている。
   この花を見てSさんが、「この黄色、すご
  く鮮やかだね。」と言う。そう、ほかの山で
  見る黄色よりも鮮やかに見える。

   そしてミヤマムラサキだ。南アルプスの北
  岳で見ているが、そこでは岩場の隙間に咲い
  ている程度であるが、ここではそこらじゅう
  に咲いているといった感じで、翌日、翌々日
  にもたくさん見られ、「こんなに多くのミヤ
  マムラサキを見たのは初めてね。」とあーち
  ゃん。ほかにコバノコゴメグサ、イブキジャ
  コウソウ、オンタデ、ソバナ、ネバリノギラ
  ンなどが咲いている。
  ハクサンオミナエシ
         ここで少し時間を取って休憩。

     雪倉岳方面が見えてくる。山頂部に雲がか
    かっているが空は晴れている。ラッキーだ。

     ここからまた樹林帯に入る。尾根の横腹を
    縫って登りが続く。

     湿ったところにオオバミゾホウズキが咲い
    ていた。「これは何という花?」とSさんが
    聞く。彼はかなり花に詳しい。もう一組のN
    さん夫妻には一つ一つ花の名前を伝えながら
    歩く。勿論覚えてもらうためでなく、少しで
    も興味を持ってもらえればと思ったまでだ。
  ミヤマムラサキ  
     
  雪倉岳方面 オオバミゾホウズキ
     1時間半ほどしてNさんが、「だいぶ視界
  が開けてきたね。」という声に、白馬大池が
  見えてきた。

   Nさん夫婦が咲いてる花を見て、「素晴ら
  しいね!!」と感嘆の声を上げる。

   テントが5張。日差しはあるが、雲も多く
  なっている。

   チングルマやハクサンコザクラの群落。S
  さんも「これはすごい!!」。
  チングルマ
         ほかに、エゾシオガマ、イワイチョウ、ア
    オノツガザクラ、ハクサンイチゲ、タテヤマ
    リンドウなどの雪田性の植物がたくさん見ら
    れる。素晴らしいお花畑だ。

     白馬大池山荘の前では多くの人が休んでい
    た。大部分が栂池からの登山者や白馬岳から
    の下山者だ。人気の山だということがわかる。

     ここでお湯を沸かしてコーヒータイム。今
    日中に白馬山荘に着けばいいので気が楽だ。

     「もう今日の行程の半分は来たよね。」と
    いうSさんに、「残念ながらまだ半分に満た
    ないよ」とたつさん。
   ハクサンコザクラ  
   
   エゾシオガマ イワイチョウ
 
     ここからまた長い尾根歩きが始まる。

     白馬大池を下に見て、道沿いにはリンネソ
    ウ、ミヤマダイコンソウ、ハクサンフウロな
    どが出てくる。リンネソウはみんな下向きに
    咲くので、下から撮ると内側が赤くなってい
    ることがわかる。

     ライチョウがいた。Nさん夫妻にとっては
    初めて見る実物のライチョウだ。オスのライ
    チョウがゆっくり歩きながら餌を探している
    のか? 今どきは子連れのライチョウがいる
    がこの時はオス一羽だけだった。しばらくラ
    イチョウの行方を見ていた。
  タテヤマリンドウ
     
  白馬大池  リンネソウ
         ほかにもイワギキョウ、チシマギキョウ、
    そしてクモマミミナグサが現れた。

     この後もチシマギキョウはたくさん見られ
    たが、イワギキョウはごくわずかだった。

     クモマミミナグサもたつさんは初めて見る
    花だ。

     船越の頭に着いた。

     ちょうど神奈川県の高校の山岳部が白馬岳
    方向から来てここで休憩を取った。高校名の
    入ったきれいなTシャツを着て、日帰り用の
    ザックを持っていて、昔の山岳部のイメージ
    とずいぶん違った集団だった。
   ミヤマダイコンソウ  
 
  イワギキョウ クモマミミナグサ

                                                              ≪続く≫

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