白馬岳


                         2010年6月11日〜12日


 ツクモグサを見られる山の5番目として白馬岳に登ってきた。もちろん咲き始めのツクモグサを
見ることが最大の目的である。



  白馬岳は有名な花の山である。たつさんがここをはじめて訪れたのはもう40年以上前の高校時代のことで
 ある。当時、山渓から「カラーガイド山の花」が出版され、結構人気が出て、それ以降いろいろなカラーガイ
 ドが出版された記憶がある。手元には、もう黄色くなった昭和41年9月発行、定価480円の本が残ってい
 る。
  高三のとき、これに載っているコマクサをどうしても見たくなって、夜行列車に乗って信濃四ツ谷に行き、
 白馬杓子岳付近で見ることができた。
  10年前の夏にあーちゃんと久しぶりに登って、たくさんの花を見ることができたが、ここにツクモグサが
 咲いていると知ったのは2002年のことである。
  ツクモグサの咲き始めの時期はどこの山でも6月上旬から中旬であり、1年に一つくらいしか登れないのが
 現実である。今年は白馬と決め、白馬山荘の6月7日に咲き始めたとの情報を見て急ぎ出かけた。

〈第一日目〉
     この朝、八方からは白馬三山、五竜がくっ
  きりと見えた。すこぶるつきの快晴だ。気温
  も結構高い。

   猿倉には車は4、5台止まっていた。
   金曜日でもあるし、この時期登る人はまだ
  少ない。

   5月末の情報では、ここのあたりもまだ雪
  があったようだが、夏道がしっかり出ている。

   歩き始めて5分も経たないうちに汗が噴出
  し、半袖になってバンダナを巻く。

 
      
 
   タムシバ
       白馬尻までの林道の山側には、麓の花が咲
    き始めている。雪が解けてまだ2週間か3週
    間くらいなのだろう。

     ユキザサ、タムシバ、オオカメノキなどが
    咲き、新緑と冷たそうな雪解け水の流れてい
    る沢のすがすがしさが肌に感じられる。

     快晴で風もなく、気分は爽快。

     ニリンソウ、白やうす紫のキクザキイチゲ、
    サンカヨウ、ヤマエンゴサク、ムラサキヤシ
    オツツジが続く。ヤマエンゴサクだと思って
    いるが、花の色はエゾエンゴサクの鮮やかな
    スカイブルーに近いものも見られた。

     シラネアオイも葉っぱを出して茎も伸びて
    いるが、蕾はようやくつき始めたといったと
    ころ。
   ヤマエンゴサク  
 
  ムラサキヤシオツツジ   サンカヨウ
     
   
特定の車の通れる林道から山道に入ると、
   雪が少し残っており、雪解けを待ちわびた
   フキやショウジョウバカマ、サンカヨウ、
   エンレイソウのまさに咲きはじめが見られ
   た。

  
     キクザキイチゲ
 
  エンレイソウ   ショウジョウバカマ
 
   二度ほど、雪の重みで下敷きになっていた潅木の細い枝が、雪が解けて重みから開放されてばね
   仕掛けのように元に戻ったところにぶつかった。顔への被害は避けられたがあぶない、あぶない。

    白馬尻手前100メートルくらいからは雪の上を歩くことになる。
    白馬尻小屋も周りは除雪され始めているが、ほぼ埋まっているような状態。そこでアイゼンをつ
   けていた人の話では、今年はまだまだ雪が多いとのこと。
   
 

 

   大雪渓に踏み出す。
   吹き降ろしの少しの風があり、雪の上でも
  あるので、サングラスを掛け、長袖シャツに
  する。

   空は雪の反射で怖いくらいに青い。

   雪はザラメで、まだ夏のようにスプーンカ
  ットにはなっていないので歩きやすい。

   遠くに、二人、そのしばらく下に二人、そ
  の少し下に二人の登山者が小さく見える。

   夏の盛りには大雪渓を蟻の行列のように人
  が続くが、それとは別天地だ。

 
   大雪渓途中
      天狗菱がはっきり見えてくるとだんだん斜
  度もきつくなる。

   葱平付近で、ほんの少し岩が出ていて夏道
  が見えるが、ルートを記すベンガラのしるし
  はまっすぐに続く。

   かなりの急登なので、慎重にステップを切
  る。

    天狗菱を見ながら 
       トラバースした箇所は、小雪渓か?
     そこから少し登ると、頂上宿舎が見えてき
    た。
     このあたりになると雪もまだきれいだし、
    石も転がっていないし、スキーには絶好の斜
    面だ。

     もちろん、白馬尻まで滑れるし、現に翌日
    はシールやシートラで登ってくる人やボード
    を引いて登ってくる人に会ったが、雪渓の半
    分から下は石ころや木の枝などが多く、ちょ
    っとこの時期滑ろうとは思わない。
 
     でもここは滑ってみたいと思った。
  雪渓上部   
 
   頂上宿舎はまだ閉まっている。ここで休ん
  でいると、5人ほど人が降りてきた。その中
  には私を追い越していった女性がいたが、元
  気なもんだ。

   日帰りで白馬に登る人は多いらしい。
   せっかく来るんだからもっとゆっくりすれ
  ばいいのになと思いながら最後の登りに気合
  を入れる。

   結局、白馬山荘の手前100メートルまで
  白馬尻からずっと雪の上だった。
   ここでアイゼンを脱ぎ、少し歩くとツクモ
  グサが咲いていた。山荘まで5分のところだ
  った。山荘で少し休んだ後、ツクモグサの写
  真を撮りに行った。
  ツクモグサ
             まず、今登ってきたところ付近。咲き始め
    が多く、蕾を持っているものも結構ある。こ
    れから1週間程度が見ごろか?

     株は上の写真のような大きさのものはごく
    少なく、2,3株かたまっているものや、一
    株ずつ咲いているのが多い。やっぱり開き始
    めのものがきれいに見える。

     山頂に向かって、東側の道に割合ある。
     山頂から三国境まで歩いて見たが、ここに
    も西側の斜面にかなり咲いている。数は多い。
    だが、大きな株は少なかった。 
  開き始め  
 
  開き具合の違う3種類  満開の株 
     歩いている人は誰もいない。今日は静かな
  山だ。

   ツクモグサ以外に咲いている花を探したが、
  ミヤマキンバイが一つだけ。それとウラシマ
  ツツジのもうちょっとで開こうという株が一
  つ、二つ見えたに過ぎない。

   イワウメが咲いているのではと思ったが、
  たくさんあるのだけど蕾は全く見えなかった。 

 
    ウラシマツツジ 
       人が誰もいないせいか、ライチョウが数羽、
    餌をついばんでいた。そっと立ち止まってシ
    ャッターを切っても逃げない。

     今繁殖期でオスは頭の部分が赤く鮮やか。
    つがいで餌をついばんでいるというのはまだ
    卵を産んでいないからかな?
 
     花がなかったので、しばらくつがいのライ
    チョウを撮っていた。
  ライチョウのつがい   
     
  〈第二日目〉
     翌日、朝早くは昨夜からの強い風のため、霧がかかりしばらく視界が悪かったが、7時くらいから
  風が収まりかけまた快晴の空となった。

   昨夜大きな白馬山荘に宿泊したのはたった3人だった。

   標高の高いところの高山植物は期待はできないが、もしかしたらチョウノスケソウでも咲いている
  のではないだろうかと思って杓子まで足を伸ばしてみたが、全く見られなかった。ただウルップソウ
  のもう少しで開花という株がいくつか見られたに過ぎない。

   また、大雪渓を下って戻った。

 
 
  白馬鑓ケ岳の右肩に遠く槍ヶ岳  ウルップソウ 
 

  ツクモグサの咲く山の5番目として、この時期の白馬岳に登った。
  残雪が多く、またツクモグサ以外の高山植物はまだ咲いていなかったものの、快晴微風で素晴らしい山行
 だった。
  山小屋にも泊まったが、一部屋に自分ひとりで寝るという体験は初めてだった。

 
  白馬山荘では、6月12日から2週間ほどツクモグサ祭りというイベントをやっているそうだ。で、どんな
 イベントなのかを聞いたら、甘茶を出すということだった。ツクモグサを見に来る人は個人がほとんどで、団
 体のツアーはほとんどないとも話していた。

  



  登山口6:54 白馬尻7:46 頂上宿舎11:50 白馬山荘12:29  その後頂上から三国境散策

  山荘6:20 杓子岳7:40 頂上宿舎9:09 白馬尻10:38 猿倉登山口11:55 
  


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