至仏山


                          2012年7月9日


 至仏山には去年5月にも山スキーで行っているが、花の時期はちょうど5年ぶりである。
 今回もオゼソウ、ホソバヒナウスユキソウが見頃の時期と思い、ほかの初夏の花をも同時に見る
目的で出かけた。


  友人夫妻と戸倉温泉で待ち合わせた。二家族ともいろいろ予定があり、8日の夕方集まっ
 て9日に登ってその日に帰る日程しか空いていない。したがって、尾瀬ヶ原はほんの一部を
 見て至仏山だけを登ることにした。
  友人夫妻は数年前に初めて北海道の旭岳を銀泉台から登って以降、一度も山に行っていな
 いという。初登山がボクらからしたら素晴らしいところに行っているので、それに引けを取
 らない山というのはなかなかむずかしいが、とにかく天気さえ良ければと雨が降ったり霧が
 濃いことだけは避けてほしいと願った。

      昨夜はまだ雨が降っていたが、朝の道
  路はほぼ乾いていた。5時過ぎにバス乗
  り場に着いたが乗り合いタクシーが来る
  までは13,4分かかった。ジャンボタ
  クシーなのでボクら4人と合わせて7,
  8人の乗客があるまで出発しないらしい。

   鳩待峠には先客がかなり出発の準備を
  していた。少し朝食を食べトイレに行っ
  て出発。
   山の鼻に向けて階段を下りたり、木道
  を歩く。木道はまだ十分に濡れていて滑
  りやすい。滑って怪我をしないよう工夫
  されてはいるが・・・。

    ヤグルマソウ
      ノビネチドリがいくつか見られたが、
  ほとんど花は終わっていた。モミジカラ
  マツやマイヅルソウ、ゴゼンタチバナ、
  ヤグルマソウなどが現れてくる。

   木の幹のところに何かいる。よく見た
  らヒルだ。気持悪いので写真だけサッと
  撮って離れた。あとで写真を見たらおそ
  らく真ん中にあるのは卵かな?

   あーちゃんが「関東の山にはいまヒル
  が大発生してるらしいよ。」と言ってい
  た。こんな大きなのに血を吸われたらた
  まんないね。この先何匹か目にした。
     
 

    エゾノレイジンソウを見つけた。エゾ
   ノレイジンソウは北海道以外にもあるん
   だと思って帰ってから調べてみると、オ
   オレイジンソウだと分かった。エゾノレ
   イジンソウは北海道の固有種だそうだ。
   
    また、レイジンソウというのもあるが、
   これは本州のほかの山でも見ており、薄
   い紫色をしているので違いは分かる。

    ほかに木々の花ではマタタビやウラジ
   ロヨウラクが見られた。

    1時間で山の鼻到着。

    今日は至仏山だけなので、尾瀬ヶ原の
   雰囲気を友人に少しでも分かってもらお
   うと木道を少し歩いてみた。
  オオレイジンソウ  
 
    もうニッコウキスゲが咲き始めてい
   る。まだほんの咲きはじめで、あと2
   週間もすれば満開だろうか?
    カキツバタも随分咲いていた。

    戻ってきて、友人に「これ何の花か
   分かる?」と聞いたが「何だろうねぇ、
   わかんない。」「北海道でよく食べたっ
   しょ?」、「うーーん・・」というこ
   とでギョウジャニンニクと教えてあげ
   た。「えっ!こんなところにもあるの
   ?」、「そう、あれは北海道だけでな
   いんだ。本州にもここ尾瀬にもたくさ
   んあるよ。」と。何しろたつさんの大
   好物の山菜なのである。採って匂いを
   かぐわけには行かないけど、葉っぱの
   形でしかと分かってくれた。

    ほかにホソバノキソチドリも見られ
   た。


ニッコウキスゲ
 
  ギョウジャニンニク ホソバノキソチドリ
      
    山の鼻に戻り、水を補給して至仏へ向けて歩き始める。ウラジロヨウラクがいくつかあり、
   湿原にはトキソウ、サワランなどが蕾をつけていた。

 
  ウラジロヨウラク サワラン
 
    階段と木道の続く登りにかかる。この
   道は頂上近くまでほぼ同じ傾斜でまた直
   登の道である。

    昨日までの雨もあって、岩場は滑りや
   すいが下りでないのが幸い。ただ、階段
   は結構きつい。日は射してこないが湿度
   が高くて汗が噴き出す。

    見事に咲いているタニウツギがあった。
   また、レンゲツツジもあり、まだこの時
   期でも標高によっては残っていることを
   確認した。

    タニウツギ
      そして、この山道のいたるところで、
   ダイモンジソウが満開で咲いているのが
   見られた。

    ダイモンジソウは今までは8月に見て
   いるのでこんなに早く咲くのはほかの種
   類かとも思って、帰ってから調べてみた
   ら咲く時期が7月〜8月となっていたの
   で、ダイモンジソウに間違いない。でも
   随分見事な株だった。これも今回の新し
   い発見の一つ。
 
    振り返ると尾瀬ヶ原の一部とその向こ
   うに燧ケ岳が見えてきた。
  レンゲツツジ
 
   ダイモンジソウ 原と燧ケ岳 
 
    友人夫妻は久しぶりの山なので、45
   分に一本程度の休みをとる。2本目まで
   10分程度となったころ、あーちゃんか
   らも、「もうそろそろ休憩じゃない?」
   と声がかかる。あーちゃんも今年初めて
   の山で、1ピッチが長く感じるようだ。

    ちょうど2本目で山の鼻と山頂との中
   間点の標識があった。


      「ええーっ、まだ半分なの?」が友人
   の第一声。そういう気持ちになるよね。
   ずっと直登だもの。

    中間地点の標識 
 
    ここを過ぎ、ミヤマハンノキの低木を越えると蛇紋岩の岩と階段の道が続くあたりから、花が
   たくさん現われてきた。

    ハクサンコザクラ、クモイイカリソウ、ハクサンイチゲ、そしてオゼソウが咲いていた。ジョ
   ウシュウキバナノコマノツメも黄色い姿を現す。

 
   ハクサンコザクラ  ハクサンイチゲ
 
  オゼソウ オゼソウのアップ
 
    さらに、ヨツバシオガマが咲きはじめ
   の花を見せ、ハクサンチドリがこれもちょ
   うど咲きはじめでところどころで姿を見
   せてくれる。


    右の写真はハクサンチドリのやや色の
   淡い株だが、通常のもっと色の濃いもの
   もたくさん見られるようになった。
 
    ハクサンチドリ 

    

トップに戻る   次のページへ 山の花の道に戻る