仙丈岳


                          2013年8月2日~3日


  友人夫妻と今年の夏は仙丈岳に登ることにした。天気予報は8月に入ると夏の高気圧が勢力
 を増して晴れて暑くなると言っていたが、日々変化し、各地で雨となっている。当初の予定は
 1日入山、2日登山としていたが、天気図から想像して2日は雨は降らなくてもガスがかなり
 かかるだろうと予測し、計画を一日繰り下げて出発した。

  2日に北沢峠まで行き、友人夫妻は新装の長衛小屋に、われわれはテントを張った。午前中に食材を市内で
 買ってテントサイトでバーベキューとしゃれ込んだ。川の水が冷たいのでビールやワインはすぐに冷えた。
  食べだして30分くらいでにわか雨。50分くらいの中断で、再開できた。その夜は満天の星空だった。

     8月最初の金曜日とあってテントサイトは
  にぎわっている。3日に下山した時は満杯に
  なっていた。

   3時半頃おきて、簡単に朝食をとって、荷
  物を整理し5時前に出発。

   土曜日なので帰りの北沢峠発のバスの時刻
  は13:30と16:00。できれば13:
  30のバスに乗りたいが、昨日聞いたら臨時
  が出るというので、急ぐ必要はない。

   今日は藪沢新道を歩くことにする。
    朝のテン場と長衛小屋
     大平山荘周辺では、コバノイチヤクソウや
  タマガワホトトギスもまだ残っていた。

   空は快晴。風もなく今日は一日遅らせて多
  分正解だったと言えそうな日和だ。

   藪沢新道に入り、コイチヨウランがたくさ
  ん見えだす。ホソバノキソチドリやもう咲き
  終わっているがコフタバランなどのラン科の
  花が見える。

   まだ朝が早いせいか、頭と目が眠っており、
  何枚か撮ったがピンボケが多い。条件を替え
  て撮るように頭が回っていない。
  コイチヨウラン 
     尾根に乗って、藪沢が見えだした。

   セリバシオガマやダイモンジソウが見える。

   さらに進むと藪沢に雪が結構残っている。

   右岸から左岸にわたる橋は見えずに、大き
  な雪渓が残っている。6月末に北岳に登った
  時に、今年は雪が多いと感じたが、ここ仙丈
  でも同じようだ。

   木の橋を渡って雪渓の上を歩いて右岸に。
  このあたりからミヤマバイケイソウやマルバ
  ダケブキが見えだした。
  藪沢を渡る箇所
       8月に入ってもこれだけ雪が残っていると
    いうことは、沢沿いの道は花が少ないのでは
    と思った。
    
     左岸の上の方にはマルバダケブキがたくさ
    咲いていて黄色がにぎやかだ。

     タカネグンナイフウロが現れる。いくつか
    株があるが、まだ花のつけ始めが多い。

     クルマユリも出てきた。
  ミヤマバイケイソウ
 
  タカネグンナイフウロ  クルマユリ
     左岸沿いを歩くが、夏道はやっと雪が解け
  たところがあり、時々雪の上もあるくところ
  がある。したがって道沿いの花は少ない。こ
  れから咲くと思われる。

   雪が早く溶けたところでは少しずつ咲いて
  いるが、去年と比べると圧倒的に少ない。

   しかし、咲き始めの花が多く、とてもきれ
  いだ。ミソガワソウ、キバナノコマノツメ、
  ヤマガラシ、陽に当たってきれいなクロクモ
  ソウなど。
  ミソガワソウ
       ヨツバシオガマが数を増しだした。

     ハクサンフウロがピンクの花を咲かせてい
    る。

     ハクサンイチゲの咲き始めの花が沢沿いで
    一株だけ見られた。

     ヤマガラシの黄色もきれいだった。
  クロクモソウ
 
  ヨツバシオガマ   ハクサンフウロ
         藪沢小屋への道のところも雪渓だった。

     ここからわずかで馬の背ヒュッテだ。マル
    バダケブキがここでもたくさん咲いている。
   ハクサンイチゲ
       馬の背ヒュッテ手前のシカの食害から守る
    網の中の植物は去年に比べてずっと種類も量
    も増えた気がする。

     こうした地道な努力がないと食物連鎖の一
    番下に位置する高山植物は生きていけない。

     帰り道、小仙丈のカールの左側にもかなり
    の範囲にわたってシカが踏み込めない柵が設
    置されていたが、こういう取り組みに感謝し
    たい。

     馬の背ヒュッテで休憩。

     小仙丈が目の前に見える。これから今まで
    とはまた違った景色が見られると思うと先を
    急ぎたくなる。

     仙丈小屋で水が取れることを確認して出発。
  マルバダケブキ
     ミヤマキンポウゲとシナノキンバイが隣同
  士で咲いていたのでツーショットを撮る。

   またシカよけのネットがあり、そこにはヨ
  ツバシオガマの大きな群落が見られた。

   ミヤマハンノキとハイマツの下には、キバ
  ナノコマノツメ、ツマトリソウ、アオノツガ
  ザクラ、ヨツバシオガマなどが咲いている。
    シナノキンバイとミヤマキンポウゲ
       さらに、モミジカラマツ、カラマツソウと
    イワカガミだ。
    
     これらの花は初夏に咲くのが普通で、今の
    時期に旬の状態で見られたので少し驚いた。

     そして目の前に仙丈岳が現れた。

     振り返ると甲斐駒と八ヶ岳。

     さらに北アルプスの白馬岳から鹿島槍、五
    竜、槍ヶ岳、穂高の山々。そして乗鞍。

     さらに御嶽と中央アルプスがくっきり見え
    る。
   キバナノコマノツメ  
 
  ミヤマカラマツ イワカガミ
 
  藪沢カールと小仙丈、仙丈
 
   友人夫妻は感激していた。「こんな素晴らしい景色が見れて最高だ。」と。

   特に二人で先だって乗鞍に行ったそうだが、その時は何も見えなかったそうなのでなおさらだろう。
   
   北アルプスの山々が見えるとは思ってもいなかったので、雲海越しの風景には大満足。
 

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