〈第二日目〉  
      風の音で時々は目が覚めたが、ぐっすり眠
  れた。3時30分、となりのテントの声で外
  を見ると日高山脈の主なところ全てが見える。

   あーちゃんが外に出て、「えーっ!こんな
  ところにテントがあるの?」とそして「こん
  な素晴らしい景色が見られるの?」と驚いて
  いた。昨日の霧の中では分からなかったよね。
   
   そのうち、ピパイロ岳と伏見岳の間から、
  ご来光がのぞめた。

   幌尻と戸蔦別も晴れ渡った空をバックに望
  める。
    ご来光
     テントに入って、中の整理やら食事の支度
  をしようとして外を見たら、もうすでに一面
  の霧で何も見えなくなっていた。

   昨夜のロンドン五輪予選サッカー女子の結
  果を携帯で見たら、日本が2ー1で勝ってい
  た。幸先がいいぞ!

   昨日、試しに携帯の電源を入れてみたらア
  ンテナが全部立っていた。こんな山奥で携帯
  が通じるとは思っていなかった。昨日は天気
  予報もこれで確かめることができた。

     
 
     今日はまず、七ツ沼を目指す。もともとこ
  こをテントサイトにして花を見ようと思って
  いたし、また水を補給する必要がある。

   ハイマツを抜けて戸蔦別のCカールの稜線
  を下る。先ず最初のここのお花畑もすごい。

   ざっと見ただけで、チシマフウロ、ハクサ
  ンボウフウ、ハクサンチドリ、アオノツガザ
  クラ、エゾツガザクラ、エゾノウサギギク、
  エゾヒメクワガタ、ミヤマキンポウゲ、エゾ
  シオガマ、イブキトラノオ、そしてハイオト
  ギリがきれいだ。
  ハイオトギリ
   
  Cカールのお花畑 
      
   少し先にはトウゲブキがたくさん咲いてい
  る。
   あーちゃんが、「すごいね。この花の量!
  今まで見たお花畑でも一番だね。」そう、北
  岳のお花畑もすごいが、ここは種類はともか
  く量ははるかにすごい。

   まだ蕾のままだが、ナガバキタアザミもた
  くさんある。

   1881を過ぎると、ホソバツメクサやカ
  トウハコベが現われ、タカネナデシコがなで
  しこジャパンがカナダに勝ったことを知って
  いるかのように、咲き誇っていた。

   ともかくここの尾根道は、どこに足を置こ
  うかと思うほど細い道の真ん中にも花が咲い
  ている。

   チシマキンレイカも終わりかけのものが多
  かったが、咲いていた。ただ3年前に見たと
  きほどの量は咲いていなかった。
  トウゲブキ
 
  ホソバツメクサ タカネナデシコ
     ほかにもヒメイワタデ、ウスユキトウヒレ
  ン、ヨツバシオガマ、イワギキョウ、オオイ
  ワツメクサ、ミヤマアズマギク、ミヤマダイ
  コンソウ、タカネツメクサ、チシマニンジン
  など。

   ムシトリスミレも数は少ないが見られた。

   あーちゃんが「ここのアズマギクはどこの
  よりもきれいね。」と、これは何度も口にし
  た。確かに花も少し大きいし色もきれいな気
  がする。
  チシマキンレイカ  タカネグンバイ 
 
  ウスユキトウヒレン ムシトリスミレ
     
   六の沢への分岐を過ぎ、(そう、ここには
  標識があった)戸蔦別岳への登りにかかる。
 
   エゾタカネセンブリが咲いていた。この花
  は戸蔦別岳を越えて七ツ沼に下りる地点あた
  りまでの間でところどころ見られた。

   ようやく太陽の輪郭が見えるようになり、
  戸蔦別に着くあたりで霧がかなり晴れてきた。

   ここまで歩いていて、「やっぱり昨日の状
  態ではここまでこれなかったわ。」

   戸蔦別を下りる頃は完全に視界が開けてき
  た。素晴らしい景色だ。ミヤマシオガマがた
  くさんあったが、花はすでに枯れていた。
    エゾタカネセンブリ
 
   戸蔦別岳からの下りではエゾツツジが咲い
  ていたが、以前見た数には程遠かった。

   七ツ沼が見えてきた。周囲の山々も全部見
  える。「えーっ!七ツ沼カールってこんなに
  も大きいの?」

   しかし、七ツ沼のいくつかは干上がってい
  た。
   
   3年前にきたときは、日にちで言えば7月
  23日だったが、残雪も多く、水もとうとう
  と流れておりビールはすぐに冷えた。

   今年は残雪が少ないことは先月北海道の山
  を回って実感していたが、ここがこれほどと
  は思わなかった。おそらく今月いっぱいで七
  ツ沼で水を採ることはできなくなりそうだ。

   七ツ沼まで降りる。この途中もヒダカキン
  バイソウやチシマフウロ、ハクサンチドリ、
  アオノツガザクラ、ウサギギクなどすごい花
  の量だ。

    七ツ沼カールへ下る道のお花畑
     また沼越しにカムエクもきれいに見える。
   以前は周りがガスっていて見えなかった景
  色だ。

   わずかに残る雪田からの水を採り、飲む分
  を沸騰させて2リットル確保し、そのほかに
  今晩と明日の分の5リットルを確保した。

   オス鹿が人を恐れもせず悠然と水を飲みに
  来ていた。沸騰させて冷ましている間に、あ
  たりを散策しながら七ツ沼の花々を撮った。

   下のいくつかの写真のほかにも、ヨツバシ
  オガマやフタマタタンポポ、少し離れた雪解
  け近くにエゾコザクラの群落も見えていた。
  七ツ沼の向こうにカムイエクウチカウシ山
     
  アオノツガザクラ  イワブクロ 
 
  エゾヒメクワガタ  エゾシオガマ
 
   イワギキョウ  ムカゴトラノオ
 
  ミヤマアズマギク ウズラバハクサンチドリ 
 
   ミヤマキンポウゲ  チシマフウロ

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