先が長いのであまり時間を取れないが、そ れでも1時間はカールにいた。 縦走路に戻る。天気はもう安定してきた。 風も穏やかに吹いている。快晴ではないが、 青空もそこそこに見え、薄日が心地よい。 ここからナイフリッジの尾根を歩く。 前方に幌尻の肩と山頂部が見える。ただ、 ここで見えるのは山頂ではない。 振り返ると戸蔦別岳と七ツ沼、遠くにピパ イロ岳が見える。 |
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幌尻方面 | ||
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何度か小さなアップダウンを繰り返し、肩 に向けて最後の登りにかかる。 登っても山頂部は見えない。 さらに一旦下り、少し上りを2回繰り返す。 ここの間には、チシマツガザクラが満開で 咲いていた。今まででは見なかった花だ。 |
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戸蔦別岳と七ツ沼 | ||
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チシマツガザクラ | チシマツガザクラのアップ | |
ここの東カール全体もお花畑だ。 まだチングルマの旬の花も結構見られる。 ほかにヨツバシオガマ、アオノツガザクラ、 ミヤマリンドウ、エゾノウサギギク、エゾヒ メクワガタ、ミヤマアズマギク、ハクサンボ ウフウ、ハクサンチドリ、チシマギキョウ、 ウスユキトウヒレンなど。 |
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チシマギキョウ | ||
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そしてようやく山頂部が見えた。そのとき 霧がかかってきたが、すぐまた見え出した。 あーちゃんが「あそこまであと30分かか る?」と聞くので、「あと15分だよ。」と いったら、「そんな時間で行かないんじゃな い?」 実際15分では着かなかったが18分だっ た。 |
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ミヤマリンドウ | ||
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幌尻山頂 | ||
山頂まで約6時間。七ツ沼カールで時間を大分過ごしたこともあるが、まあまあのペース。 靴を脱ぎ、水を飲み、食事をし、日高山脈の最高峰からの景色を堪能する。 幌尻山荘からの道もくっきり見え、2つのパーテイーが下っているのも見える。 そして元の道を引き返す。 七ツ沼へこっちから最初に降りる道のすぐ近くだ! 岩壁にピンクの花が遠くから見える。少し づつ近づいてみると、カムイビランジだ! 垂直の壁の咲いているところまでは約20メートル。 早速望遠レンズを取り出す。足元はナイフリッジなので、できるだけ近いところから狙うが、三脚 を持たないのでしっかり撮れない。何枚か写して、ようやく撮れた。 まさか日高山脈の固有種カムイビランジが見られるとは思っていなかった。今日最後の我々への 贈り物だった。 |
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カムイビランジ | ||
テン場に戻った頃は大分雲が出てきていた。2万5千分の1の地図で見たら今日の行き帰りの上り だけの合計で約1000m、下りだけで約1000mだった。 |
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〈第三日目〉 | ||
昨夜は少し西よりの風があったが、テント はほとんど影響を受けなかった。この日も全 体に曇り空だが、周囲は全部見渡せた。 エサオマントッタベツ方面に朝焼けも見え た。 テン場からパノラマ写真を写して朝食をと り出発。 |
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3日目の朝焼け | ||
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チロロ岳の東側に十勝連峰、トムラウシ、 大雪連峰が見える。 チロロ西岳の西側に芦別が。夕張は雲に隠 れて見えなかった。風はやや強い。 ヌカビラ岳への最後のお花畑であーちゃん が「こんなにすごいお花畑もこれで見納めね」 と涙ぐんでいた。 幌尻の北カールの西側の斜面に日が当たっ ていた。 トッタの泉で冷たい水を飲み、下ったが、 二の沢を左岸から右岸への渡りが終わったあ との取水口までが疲れもあってとても長かっ た。 |
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戸蔦別岳と幌尻岳 | ||
初日こそ雲の中だったが、2日目に晴れ、素晴らしい花の競演と雄大な日高山脈を堪能しなが ら幌尻岳に行けた。 多くの花が見られたが、中でもカムイビランジが少し離れたところではあるが見られたのは思 いがけない幸運だった。 七ツ沼でゆっくりするという当初の狙いはできなかったが、北戸蔦別で2泊したのは、3日目 の行動にゆとりができたし、結果的には正解だった。 本当に忘れられない山行になった。3日で歩いた距離は39キロだった。 25日:登山口4:48 取水口5:38 トッタの泉9:20 ヌカビラ岳10:48 北戸蔦別岳 12:03 26日:テン場5:10 1881の分岐 5:56 戸蔦別岳6:32 七ツ沼カール7:20 尾根上9:20 幌尻の肩11:05 幌尻岳 11:24 戸蔦別岳14:28 テン場16:00 27日:テン場5:21 ヌカビラ岳5:53 トッタの泉7:08 ニの沢8:20 取水口10:10 登山口11:05 |
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