北戸蔦別岳〜幌尻岳


                        2012年7月25日〜27日


 今夏の最大のイベントを七ツ沼カールで2泊して幌尻岳に花を見に行くことにしていた。
 3年前に一人で行っているが、ここの間の花を是非あーちゃんに見せたいのが一番の目的である。
 実際には初日に七ツ沼まで行けずに北戸蔦別山頂にテントを張ったが、それが結果的に大正解と
なった。

 

  梅雨明けが例年より少し早かったので、道内も良い天気と踏んでいたが、24日、25日と予
 報は曇りのち雨。行き帰りの飛行機が決まっているので2日目に天気が持ちそうな日程は25日
 にスタートがいいと判断し、道内で調整。
  24日夜のNHKの天気予報では朝から雨で一時雷を伴うなどと言っていたが、ウェザーニュ
 ースでは午後から一時雨になっていたので、できるだけ早く出発し、雨が降る前にテントを張っ
 ておきたいと思った。

〈第一日目〉
     日高から千栄まで約10分。ここからしば
  らく走ってゲートに着く。ここで入山届に記
  入。昨日も今日も記述はない。チロロ林道を
  ここから9キロ走って二股出合の駐車スペー
  スに着いた。

   雨は降っていないが曇り空。今日はテン場
  に着くまで、ときどき小雨があったがそれも
  パラついた程度で雨具を着るまでにはならな
  かった。

   ほくでんの取水口まで3キロちょっとを歩
  く。エゾアジサイがきれいなブルーの花を咲
  かせていた。ほかにヤマブキショウマやオニ
  シモツケ、ウドなどが咲いていた。
    エゾアジサイ 
    ここからすぐに、登山道入り口の標識があ
  る。このルート、道案内の標識があるのは、
  ここと「トッタの泉まであと約10分」とい
  うのが2箇所あるだけ。

   あとは山頂に山頂であることを現す標識が
  あるのみである。これが日高の山だ。

     
    ニの沢左岸を歩く。3mはあろうかという
  エゾニュウがいくつかあった。また、咲きは
  じめの交じったきれいなヤマルリトラノオが
  見られた。この花の色はとても清々しい。右
  の写真は帰りにとったものである。

  
  ヤマルリトラノオ
    そのうち左岸から右岸へ、そしてその反対
  へとニの沢を横切る。ここ数日雨が降ってい
  ないこともあって、水量は少なく沢靴の必要
  はない。これは予想していたことだ。

   もうダイモンジソウが咲いていた。ほかに
  ミヤマアカバナ、ミソガワソウ、初めて見た
  フキユキノシタがあった。

   10回ほど沢を横切って、右側から小滝が
  現われてきた。

   このニの沢の右岸の上のほうに、エゾキス
  ゲのオレンジ色が10株以上見えた。
   ダイモンジソウ
     
  
ここを過ぎてから尾根状の斜面に取り付く。
  粘土質の土で滑りやすい。ロープが取り付け
  られている。3年前は雨が降り続いていて、
  ここからトッタの泉までぬかるみの連続だっ
  たが、今日はこのあたりだけが滑りやすいと
  ころで、あとはかなり乾いていた。

   ここからヌカビラ岳まではほぼ急なのぼり
  の連続になる。一方で花は少ない。サンカヨ
  ウやツバメオモトが実をつけていた。コイチ
  ヨウランやミヤマチドリ、エゾノヨツバムグ
  ラ、アリドオシランなどの目立たない花がと
  きどき見られた。

   「トッタの泉まであと10分」の標識が出
  て、トッタの泉に到着する。

  二ノ沢と左岸からの小滝   
     
  
 小さな2本の冷たい水の流れが出ている。
   ここでペットボトルに補給してさらに登る。

   あたりは雲が垂れ込めているので、ヌカビラ
  岳の端っこが見えない。ダケカンバがなくなり
  ようやく花が少しづつ現れてきた。

   モミジカラマツ、マルバシモツケ、カラマツ
  ソウ、ミヤマキンポウゲ、ヒダカキンバイソウ、
  チシマフウロ、タカネバラ、ミヤマオダマキも
  一株残っていた。

   あーちゃんのペースが遅くなってくる。よう
  やくカンラン岩が出てきた。もう少しだ。

     マルバシモツケ
    ハシゴが現れてきた。ヌカビラ岳が近いこと
  が分かる。

   近くにミヤマアケボノソウがもう花を開いて
  いた。3株見たが、ここのアケボノソウは紫色
  が濃くてきれいだ。

   ここを越えてようやく尾根上に出た。しかし
  周りはガスで何も見えない。そしてヌカビラ岳
  山頂の少し下で休む。ここまで歩き始めて6時
  間。予定より少しオーバーしている。

   まあ、でもこれできつい登りは終わる。あと
  は花を見ながらの尾根歩きだ。

   腰掛けた石のそばにホソバトウキが咲いてい
  た。図鑑では知っていたがボクらははじめてみ
  た花だった。
     ミヤマアケボノソウ
 
  
 尾根上に出てもさほど風がないので、全く
  寒さは感じない。ただガスがかかっていて7,
  80m程度の視界。

   歩き出すとすぐにお花畑が出てきた。あー
  ちゃんが「これはすごい!この世のものとは
  思えない!」と歓声を上げる。

   ハイマツの稜線の下では、リンネソウやゴ
  ゼンタチバナもものすごい数で咲いている。
 
  ホソバトウキ   
 
  リンネソウ  ゴゼンタチバナ 
 

 

   
   
   
 
  
 三ノ沢源頭部もたくさんの花々で埋め尽くさ
  れている。

   北戸蔦別岳に着いた。ここで「七ツ沼まで、
  これからどのくらい?」と言うので、「今のペ
  −スではあと2時間半かな?」

   そのうち雨がポツポツ落ちてきた。すると、
  「ここに張ろう!」とあーちゃん。雨はすぐ止
  んだが、山頂後ろのきれいに整地されたテン場
  に張ることにした。

   多少風が出てきているが、岩の陰になって快
  適。しばらく休んで、まだ夕方までには相当時
  間があったため、カメラを持って花の撮影にそ
  の辺りを歩いてみた。

    テン場(翌朝写す) 
 
  エゾノウサギギク  タカネトウウチソウ 
 
  イワブクロ  チシマフウロ 
 
  ハクサンボウフウ  エゾヒメクワガタ 
 
  ミヤマアズマギク  エゾツガザクラ 
 
  イワヒゲ  ミヤマダイコンソウ 
 
  チングルマ  エゾツツジ 
 
  エゾノハクサンイチゲ  イワツメクサ 
     
  
 その後、雨も降らず、風は山頂だからある
  程度吹いているがテントは幸い岩の陰になっ
  て影響は受けない。

   今日はボクらだけだろうと思っていた4時
  ころに人の声がする。出てみたら8人のパー
  ティーが到着した。3張張るという。一つは
  平らな場所があるが、結局残り2つは尾根上
  傾斜地に何とか張っていた。

   明日は、幌尻と1967に分かれて登り、
  ここに終結して下山するという。

   ボクらはここでもう一泊すると伝えたら、
  「余裕があってうらやましいですねぇ。」と
  言われた。

  チシマギキョウ   


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