ピパイロ岳


                          2007年6月9日


 ピパイロ岳のツクモグサはすごいと聞いた。3年前に行ったが、まだ時期が早かったのか見られ
なかった。今回札幌へ出張し、その帰途に計画した。金曜日の夕方特急に乗り帯広へ。レンタカー
会社の営業時間内に着き、車を借りて帯広で一泊。翌日一日のみが行動日。天気予報はあまり良く
ないが、この日しかない。今回は見られると確信をして出かけた。


  4時ちょっと前、帯広を出たときは少し霧がかかり路面は前夜の雨で濡れていた。一路伏見岳の登山口に。
  芽室市街を過ぎたころから空が明るくなり、一部青空も見えはじめて伏見方面の残雪のある山並みが目に
 飛び込んできた。登山口についたころはもうドピーカン。予報以上に天気はよさそうだ。
  駐車場に車はない。またしても一番乗りで多分ピパイロへは一人だろう。靴の紐をしっかり締め、スパッ
 ツをつけ、はじめから半袖でこれからの長い道のりに気合を入れて5:10に出発する。

     入山届けには一週間前の6月3日にピ
  パイロまで入った記録がある。それ以降
  人が入ってないのであれば雪上のトレー
  スは残ってないだろうな。

   オオサクラソウが満開、水場にはエゾ
  ノリュウキンカが黄色の花を咲かせてい
  る。

   前回、伏見の登りは意外ときつく感じ
  たので2時間半程度でゆっくり登ること
  にした。笹が刈られて道幅が広く見え、
  笛を時々鳴らしながら登る。


   ムラサキヤシオとオオカメノキは下の
  ほうでは開花しているが中腹はまだ紫の
  つぼみが少しあるだけ。

    ムラサキヤシオツツジ
     シラネアオイも2、3本。アラシグサ、
  ツバメオモトもほとんどがつぼみ。


   3年前は、ここまでの花はかなり咲い
  ていたので、その年以上に花の状況は良
  くないのか、ツクモグサはまたも咲いて
  いないのかと不安がよぎる。
  シラネアオイ 
     さてここからは少し予想外の展開。
   今年は残雪が多いと聞いてはいたが、
  1450m付近から夏道が雪に隠れだし、
  テープを探しながらの登行が続く。雪上
  はトレースもなくステップを切ったり、
  滑った場合の負担を考えできるだけ夏道
  をとることにしたが、雪がびっしり残っ
  ている。結局伏見の山頂までは雪を踏ん
  での登行が多く、普段以上に消耗した。

   伏見山頂に到着。
   勿論快晴。十勝幌尻から札内、エサオ
  マン、遠方にカムエクの姿も見える。幌
  尻、戸蔦別、北戸蔦、1967、ピパイ
  ロ、そして右手にチロロが一望に見える。
  すごい景色だ。早速カメラと三脚を出し
  て撮影。40分くらい時間を使った。
    ピパイロから幌尻にかけての稜線
 
  幌尻と戸蔦別 エサオマン、札内方面
 
    ここまでは今年は残雪が多いと実感したが、これ以降の雪の状態は3年前とさほど違いはない
   ように感じた。今年は絶対咲いていると言い聞かせ、気合を入れなおしてピパイロへ向かう。

    風もなく気温も高く穏やかな日和。尾根道をまずは鞍部まで下る。ここから先はまだ花は咲い
   ていない。1540
の鞍部までは一部夏道が隠れていたが、その後は雪の上を歩くことになる。
   一度歩いている道なので安心感はある。軽アイゼンをはいてステップを切って行くが、50歩歩
   いては立ち止まって呼吸を整えてまた登ることの繰り返し。

    そのうち雲が出始め、霧も周囲にかかってきた。天候の悪化はないと思うが、帰りの事を考え
   て目印を確認しておく。

    1800
付近で後ろから女性が一人登ってくる。足取りは軽く歩きが早い。トレース借用の
   お礼があり、今度はこっちがトレースを借りる。やはりずいぶん楽。それから100
ほどで雪
   面を抜けて尾根に出た。

 
     キバナシャクナゲが咲き始めていた。こ
  こにはまずこの花が先に咲く。ウラシマツ
  ツジも見られた。

   11:20にピパイロ1917に到着。

   
幌尻や戸蔦の頭は霧で隠れてきた。北戸
  蔦、1967はまだ視界良好。風がでてき
  たので長袖を着て山が隠れないうちに写真
  を撮る。


   山頂からの景色は伏見岳以上なのだが、
  あいにく幌尻と戸蔦別は雲に隠れて見えな
  かった
    ウラシマツツジ
 
  1967峰 北戸蔦別岳
     1911に向けて5分ほど歩いた斜面
  にツクモグサが姿を現した。すごい数だ。


   大部分が開いた状態。午前中の太陽に
  当たったのだろう。つぼみはほんの少し
  しか見えない。1株、2株のものが多い。

   大きな株もある。大きな株、咲き始め
  たばかりの株を探しカメラに収める。今
  が最盛期と言えよう。話には聞いていた
  がピパイロのツクモグサは素晴らしい。
  ここにきて本当に良かったと感じた瞬間
  であった。

  ツクモグサ
      先ほどの女性が「何の花ですか?」と
   聞いてきた。こっちは当然ツクモグサを
   見に来たものと思っていた。

     
 
     
      コメバツガザクラ、ピパイロキンバイ
   も少し咲いていた。

    携帯を出してみたら、なんとアンテナ
   が1本立っている。早速家に電話。お昼
   を食べてあっという間に1時間45分が
   たってしまった。
 
      「お先に」といって下っていった札幌
   の女性の後からピパイロを下る。という
   より伏見に登ると言う気持ちのほうが強
   い。ここまで休憩を多めにしたが、雪の
   登行で体力は消耗している。

    18時には何とか戻りたいと思い、雪
   渓を下る。ここはかなり早い。30分ほ
   どで1540mの鞍部に着く。

    ここからは、先に下った人のトレース
   を使わせてもらいつつできるだけ夏道を
   歩く。

    日は差さないが視界は良好。伏見は見
   えず途中の尾根と妙敷山がやけに高い。
    
  ピパイロキンバイ
 
   予想より早く伏見に着いた。菓子パン
  とチョコレートを食べて小休止し、残り
  の水の配分も考え伏見を出発。
 
   ここはできるだけ雪上を歩いて5合目
  に。登山口まであと1.5kmからが結
  構長い。

   沢の流れの音が強くなり、水場でたっ
  ぷり水分を取って17:10に登山口に
  着いた。
 
 

 


    伏見までに雪が多く、以前より時間はかかったが素晴らしいツクモグサに出会えた。

    伏見以降はアップダウンもあり結構長いので、帰りは30分に一本の休憩で歩いた。それで
   も足はさほど疲労感もなく、またピパイロに来ようという気になりながら戻ってきた。

    満足感と達成感。特にツクモグサの美しさ。開花のすばらしい状況。そして思いがけない好
   天。往復12時間の最高の一日だった。




   登山口(5:10) 五合目(6:18) 伏見岳(7:52) ピパイロ岳(11:20)

    山頂発(13:05) 伏見岳(15:30) 登山口(17:10)


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