北 岳


                        2016年7月24日〜26日


   関東甲信越の梅雨がなかなか明けない。
  7月中には北アルプスと北岳に行くことにしていたが、好天が続かないため北アルプス
 の山は中止に。北岳も20日頃に行く予定だったが、天気が思わしくない。一方で花は天
 気に左右されないので、天気図とにらめっこをして25日は何とか持ちそうと判断して、
 24日に出発した。

  25日の夜から天気が崩れそうなので、23日に甲府まで入っておくことも考えたが、御池小屋テン場で
 2泊するいつものコースで行くことにした。当初は芦安9:50発の乗り合いタクシーに乗るつもりで家を
 出たが、首都高速で事故渋滞に遭い、10:50発になった。

   <1日目>  
     広河原から歩き始めて間もなく、林の中に
  一株のオオウバユリが目に留まった。

   北岳にはこの10年、毎年来ているがこの
  花に出会ったのは初めてだ。良く見ると先端
  部分が残っていてその下に花がついている。

   以前北海道に住んでいた時に、ある林の中
  でオオウバユリの群生を見つけ、翌日写真を
  撮りに行ったらほぼなくなっていたことを経
  験している。

   シカの食害に遭ったのだ。この株も多分ま
  だ芽が出始めの時にシカに食べられたが、そ
  の後、成長しても食べられずに残った株だと
  推測がついた。先端部分が変に残っているの
  はその跡なんだろう。ほかに見渡してもこの
  一株だけしかなかった。
    オオウバユリ
     昨年もほぼ同じ時期にこのコースを歩いて
  いるので、昨年の花の状態を思い出しながら
  歩く。

   今年はピンクのシモツケソウが多く、また
  この時期にもうキツリフネやクサボタンが咲
  き始めている。

   同じように咲いているのは、ヤマアジサイ
  やオニシモツケ、ヤマホタルブクロ、カイタ
  カラコウなどだ。

   日曜日とあって下山してくる登山者とすれ
  違う。
    オニシモツケ
       大樺沢を最初の橋で右岸にわたる手前から
    タマガワホトトギスが咲いていた。

     右岸にわたった後で、バイカウツギもまだ
    残っており、その後咲き始めのレイジンソウ
    が2株あった。去年はまだ咲いていなかった。

     風もなく湿気が多いのでかなり汗をかく。

     小沢を渡る近くにヒロハコンロンソウが残
    っていた。

     「このあたりがここで一番急なのよね。」
    とあーちゃんが言うところにはコバノイチヤ
    クソウが3株ほどあったが終わりかけだった。
   タマガワホトトギス  
 
   レイジンソウ ヒロハコンロンソウ
     大樺沢を左岸にわたり、沢沿いに開けてく
  る道の手前でシロバナエンレイソウが咲いて
  いた。この花も北岳では初めて見る花だ。

   あたりを眺めると、沢沿いの残雪が消えて
  それほど経っていないようで、そのお蔭でこ
  の花に出会えたようだ。オドリコソウやツマ
  トリソウも咲いていた。

   沢にはまだ残雪があり、ミヤマハナシノブ
  やタカネグンナイフウロがたくさん見られる。
  去年は沢の上部にも雪渓はなく、これらの花
  はとても少なかった。
    シロバナエンレイソウ
 
  ミヤマハナシノブ タカネグンナイフウロ
     二股周辺の花は見事だった。

   上の2つに加えて、ミソガワソウ、イブキ
  トラノオ、タカネナデシコ、ムカゴトラノオ、
  ハクサンフウロなど。「今年の花は見事ね!」
  とあーちゃん。

   二股から御池小屋の道にはマルバダケブキ
  やセンジュガンピ、セリバシオガマ、カニコ
  ウモリが咲いており、オオハクサンサイコが
  一株花をつけていた。

   たつさんが北岳で初めて見た花だ!
    オオハクサンサイコ
  <2日目>   
     御池小屋のテン場は混んでなく、ほぼいつ
  ものところに張った。

   今年は9年ぶりでテントを新調した。

   4時過ぎに起き、外を見ると北岳山頂は次
  第にガスが切れ、池山吊尾根方面もくっきり
  見えるようになってきた。

   戻ってくるまで雨には降られないだろう。
 
     二股から大樺沢沿いを歩く。上空には青空
  が広がってきた。

   ミヤマハナシノブ、タカネグンナイフウロ、
  イワオウギ、シロウマオウギ、タカネスイバ、
  ヤマガラシなどがたくさん咲いている。去年
  の花の少なさを思い出すと大きな違いだ。こ
  この花の量の多少は大樺沢の雪渓の残り具合
  に関わるようだ。

   黄色のミヤママンネングサも現れる。ヨツ
  バシオガマはこの辺りではもう終わりかけだ
  った。

   あとでも述べるが気になったのはオンタデ
  が以前にもまして多かったことだった。
  イワオウギ
 
  シロウマオウギ ミヤマハナシノブ
 
  花とバットレス
     北岳バットレスがだんだん近づてきて、ク
  ルマユリが4株、きれいにならんで咲いてい
  た。
  クルマユリ
     上二股を過ぎ、八本場のコルまでの最後の
  梯子段に取り掛かる。

   一つひとつの梯子は長いものではないが、
  次々と現れ、今までもいくつあるか数えよう
  としたことがあったが途中で数えることをあ
  きらめた。おそらく20個以上はあるだろう。

   途中にハクサンシャクナゲが咲いていた。
   北岳でこの花が見られるのはここだけのよ
  うである。

   振り返ると鳳凰三山が見え、右手にバット
  レスがそびえている。
  ハクサンシャクナゲ
 
  鳳凰三山 北岳バットレス

                                                                ≪続く≫

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