北 岳


                       2015年8月22日〜24日


   長崎の友人Kさんから北岳に連れて行ってほしいと去年から頼まれていた。Kさんが
 千葉の娘さんのところに来るので、その時に合わせていくことにした。当初の計画は、
 23日出発にしていたが、台風が二つ来ていることもあって、22日に出発とした。

  土曜日の出発は高速道路は混むし、Kさんは小屋泊まりなので小屋も混むことが予想されたが、天候を
 考えるとこの選択が妥当だ。テント泊も勧めたが、今回は登ることに集中したいから小屋泊まりにしたい
 との要望があった。
  たつさんはテント泊で、夕食は2日とも一緒にとることにし、途中のスーパーでバーベキュー用の肉と
 野菜を少し仕入れて芦安10:50発の乗り合いタクシーに乗った。

   <1日目>  
     芦安の駐車場は満車状態で、下の第5駐車
  場にしか停められなかった。ここに停めざる
  を得ないのは何年ぶりかだ。

   タクシーの運ちゃんの話では、今朝の始発
  はバスが10台、タクシーが10台出たそう
  だ。北岳には限らないが、かなりの人が山に
  入ったようだ。

   広河原から歩き出す。

   キツリフネはいつもより咲いている数は少
  なかった。クサボタンは相変わらず咲いてお
  り、白のクサボタンも見られた。ほかにホソ
  バハナウド、キオン、オオバショウマ、ハン
  ゴンソウなどがあった。
    キツリフネ
 
  クサボタン ホソバハナウド
     大樺沢を橋で右岸にわたると、コウシンヤ
  マハッカ、レイジンソウ、サラシナショウマ
  などが見られた。トリカブトが見られるが、
  この花はたつさんには同定が難しい。

   おそらく昨日か今日、雨が降ったのだろう。
  道はところどころぬかるみもあり、沢の水量
  もあった。

   さらに登って左岸にわたり、二股に至る。

   ここから御池小屋の間には、カニコウモリ、
  セリバシオガマの群落があり、オクモミジハ
  グマが咲き始めていた。
  サラシナショウマ
       御池小屋の前には大勢の宿泊客が寛いでい
    た。今日は満員で一枚の布団に二人だそうだ。

     テントも相当な数があったが、運よくいつ
    もの場所近くに張ることができた。

     体を豊富な南アルプスの天然水で拭い、ビ
    ールで安着を祝ったあと、フライパンを出し
    てバーベキューとしゃれ込む。

     家でカットして持ってきた野菜と牛バラ肉
    を塩コショウで味付けて食べた。ここは時間
    的にもこういうことができるのでとても素晴
    らしい場所だ。Kさんはフライパンで熱した
    輪切りトマトにいたく感動し、「美味いね、
    これ!」

     そのあとは、定番の焼きそばで仕上げた。
  オクモミジハグマ
   <2日目>   
     3時半過ぎ、隣のテントが起きだしたので、
  目が覚め外に出たら満天の星だった。

   その後は霧が出てきて星は見えなくなった
  が、さほど濃い霧ではない。

   昨日、隣のテントの人は、北岳に登って帰
  ってきたところだったが、山頂稜線は風がと
  ても強かったそうだ。また、ここ数日は雨が
  降って好天は続いていなかったそうだ。

   今日の天気予報も、曇り一時雨だった。た
  だ、出発時は山頂部に朝日が当たって、オレ
  ンジに染まっていた。
  北岳山頂部
     Kさんは北岳は初めてである。一緒に山に
  登ったのは2年前の八ヶ岳だ。彼はここで自
  分の体力のなさを痛感し、今回は独自のトレ
  ーニングを積んできたそうだ。

   それでも一抹の不安があるらしいので、今
  日は草すべりは登らず、二股から右股ルート
  で小太郎分岐を目指すことにした。こちらの
  方が距離は長くなるが、急な登りが少ない。

   草すべりルートと合流する手前の草地では、
  ミヤマシシウドが群生していた。合流した後
  の草地にも天を突いて花を咲かせているミヤ
  マシシウドが見られた。
    ミヤマシシウドのお花畑
       樹林帯ではマルバダケブキが大きな群落を
    作っていた。花はもうほとんど終わりの状態
    だったが。

     コバノコゴメグサ、ハクサンフウロ、イブ
    キトラノオ、ウメバチソウ、オヤマリンドウ
    などの花が見られる。

     ここは夏の始めはシナノキンバイの大群落
    が見られる場所であるが、今は一つも咲いて
    いない。
  ミヤマシシウド
 
  イブキトラノオ オヤマリンドウ
     Kさんのペースが落ちてきた。酸素が薄く
  なってきて呼吸が苦しいという。立ち止まっ
  てしばらくすれば元に戻ってまた歩き始めら
  れる。人によって心肺機能も異なるし、自分
  のペースで登ってくれることを願う。

   小太郎分岐手前にはまだきれいなウサギギ
  クが残っていた。

   小太郎分岐に差し掛かった時、Kさんに先
  に行ってもらう。と、「おーっ! これはす
  ごい!」

   山頂部は雲に覆われていたが、仙丈岳が眼
  前に姿を現した。
  ウサギギク
     山全体に雲が多く、甲斐駒は見えないし、
  中央アルプス方面も雲の中だった。でも今ま
  で歩いてきた途中ではこんな風景は見えなか
  ったので、そのことだけでも新たな元気が出
  てきたのではないだろうか。

   雄大な景色をしばし眺める。

   肩の小屋に向けて歩き始めると、その途中
  にシロバナタカネビランジが一株だけ見られ
  た。ここの道でこの花を見るのは初めてだ。
  色も名前の通り真っ白だった。
  シロバナタカネビランジ

                                                                ≪続く≫

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