<1日目> | ||
奈良田も広河原も快晴だった。少し風はあ るもののこの時期としてはやはり爽やかで気 持ちがいい。 広河原には北沢峠へ向かう登山者がかなり たくさんおり、バスを待っていた。北岳方面 に向かう人はずっと少ない。 北岳山頂部がくっきり見える。 ちょうど一ヶ月ぶりの北岳だ。先月は大樺 沢は相当の残雪であったが、この時期上の方 にまだ雪が残っているのが見える。 軽く昼食をとって歩き始める。 |
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広河原からの北岳 | ||
樹林帯はやはり風が通って気持ちよく歩け る。二股まで大樺沢ルートを行く。 二股まで意外と花が少なかった。この時期 にたくさん見られるキツリフネやコウシンヤ マハッカが少ししか見られない。年によって 相当咲くときとそうでないときがあるのは仕 方ない。クサボタンはたくさん見られたが、 それでも去年ほどではない。 ソバナは見ごろ。オオハナウドも見ごろの ものがあった。 |
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ソバナ | ||
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ヤマホタルブクロもうるさいほど咲いてい た時があったが、これも少ない。 大樺沢を右岸にわたった後に、ホソバハナ ウドがあったが、これもいつもはたくさん咲 いているのにやはり少ない。この花は南アル プスの固有種である。 花をたくさんつけているキオンが見られた。 |
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クサボタン | ||
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ホソバハナウド | キオン | |
ゴマナやコウモリソウの花が見え、レイジ ンソウもいくつか残っていた。 また、タマガワホトトギスも何株か花が見 られた。 小沢をいくつか越えるが、この時期として は水量は多い。 もうこの辺りに来ると下山者はほとんどい なくなった。クロクモソウ、サワギクが少し 見られ、きれいなセンジュガンピがあった。 |
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センジュガンピ | ||
沢の対岸に大崩れと呼ばれる土砂崩れのあ とが見られるが、あーちゃんが「大崩れが見 えだしてそれを超えるまでずいぶん長く感じ たわ。」と言っていた。 大樺沢を左岸に橋で渡るが、ここもまだ水 量がかなりあった。 樹林帯を越えて沢近くに来ると、ミソガワ ソウやクガイソウ、イブキトラノオなどのこ この草地によく見かける花が出てきた。 一方で、ミヤマハナシノブやタカネグンナ イフウロはほとんどその姿を見かけなかった。 |
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ミソガワソウ | ||
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二股にはまだ雪渓が残っていた。 ここから樹林帯を御池へ向かって歩く。 ハクサンフウロ、マルバダケブキの残り花、 シオガマギクが見られるが、ここでよく見た セリバシオガマはほとんど咲いていない。 カニコウモリはここの林でよく見る花だが、 これは例年通りたくさん咲いていた。 御池に着いた。結構テントが張られている が、いつも張る場所付近の適地が空いていた。 |
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イブキトラノオ | ||
<2日目> | ||
昨夕は半袖では寒く感じ、少し風が出ると 長袖か薄いダウンジャケットを着た。標高2 200mだと夜はとても涼しい。 朝は快晴無風。ヘリが入るのでテントは6 時には撤収してほしいといわれていたので、 いつもより早く起きて準備する。 今日は二股へ戻って右股を登り、肩の小屋 から山頂、北岳山荘方面、トラバース道から 八本場のコルへ出て、大樺沢を下って御池へ 帰ってくるコースにした。 右股を登りはじめると少しずつ花が出てく る。アキカラマツが見られた。 |
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タイツリオウギやクガイソウ、シモツケソ ウがところどころ見られる。 ミヤマシシウドはようやく咲き始めだ。 |
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アキカラマツ | ||
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草すべりからの道と合流する手前に、植生 保護柵が設けられている。 これはシカの食害を防ぐため、広い範囲を 保護柵で覆って植生を確保する試みだ。 実際保護柵の中と、柵に覆われていない場 所との違いははっきり分からないが、保護柵 に貼られていた20年前の植生を見ると、ず いぶん大きな違いが分かる。 この辺りから樹林帯を越え、草原が広がる。 ウメバチソウやホソバトリカブト、コバノ コゴメグサ、エゾシオガマなどが見えだして いるが、8月下旬に見られるミヤマシシウド の大きな群落は見られなかった。 |
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ミヤマシシウド | ||
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ウメバチソウ | エゾシオガマ | |
小太郎分岐に到着。 ここから景色は一変する。周囲の山々が一 望できるからだ。上空はうすい雲が覆ってい るが、その周囲は青空で、近くの仙丈岳、甲 斐駒ヶ岳、鳳凰三山だけでなく、中央アルプ スや遠く北アルプスの山々、八ヶ岳、富士山 などほとんどの山々が見えてきた。 北岳山頂部も見える。実はこちら側から何 回か登っているが、北岳の山頂部がこの辺り から見えたのは初めてだ。 |
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北岳山頂部 | ||
ここから肩の小屋までは初夏は素晴らしい お花畑が展開するが、この時期はほんの少し のトウヤクリンドウやコバノコゴメグサ、イ ワツメクサ、タカネツメクサあたりだけだ。 あーちゃんが「花がほとんどないね。」と 言っていた。もともとここはこの時期は少な いが、それにしても例年より花が見られない。 稜線に出て風が冷たく感じられる。二人と もレインウエアの上衣を着て歩いた。 肩の小屋に着いて30分ほど休憩した。 |
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トウヤクリンドウ |
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