北 岳


                      2014年8月20日〜22日


   鳳凰三山に行く計画だったが、7月上旬の土砂崩れの復旧が遅れており、夜叉神峠を往復しな
 ければならないため、北岳に変更した。ここも南アルプス林道が通れないため、7月中旬と同じ
 く奈良田から広河原に入ることになる。


  22日に帰宅して新聞を見て初めて広島での大規模な土砂災害を知った。我々が出発した20日に未明に
 起こったそうだが、その前日(19日)の全国の天気もよくなかったと記憶している。
  北岳も日本気象協会の「山の天気」では20日からの3日間は、曇りか霧、一時雨か雷雨であった。今ま
 での経験からあの天気図ではそんな悪くはならないと判断して、奈良田11:30発のバスに乗るよう、家
 を出た。

   <1日目>  
     奈良田も広河原も快晴だった。少し風はあ
  るもののこの時期としてはやはり爽やかで気
  持ちがいい。

   広河原には北沢峠へ向かう登山者がかなり
  たくさんおり、バスを待っていた。北岳方面
  に向かう人はずっと少ない。

   北岳山頂部がくっきり見える。

   ちょうど一ヶ月ぶりの北岳だ。先月は大樺
  沢は相当の残雪であったが、この時期上の方
  にまだ雪が残っているのが見える。

   軽く昼食をとって歩き始める。
    広河原からの北岳
     樹林帯はやはり風が通って気持ちよく歩け
  る。二股まで大樺沢ルートを行く。

   二股まで意外と花が少なかった。この時期
  にたくさん見られるキツリフネやコウシンヤ
  マハッカが少ししか見られない。年によって
  相当咲くときとそうでないときがあるのは仕
  方ない。クサボタンはたくさん見られたが、
  それでも去年ほどではない。

   ソバナは見ごろ。オオハナウドも見ごろの
  ものがあった。
  ソバナ
       ヤマホタルブクロもうるさいほど咲いてい
    た時があったが、これも少ない。

     大樺沢を右岸にわたった後に、ホソバハナ
    ウドがあったが、これもいつもはたくさん咲
    いているのにやはり少ない。この花は南アル
    プスの固有種である。

     花をたくさんつけているキオンが見られた。
  クサボタン
 
  ホソバハナウド キオン
     ゴマナやコウモリソウの花が見え、レイジ
  ンソウもいくつか残っていた。

   また、タマガワホトトギスも何株か花が見
  られた。

   小沢をいくつか越えるが、この時期として
  は水量は多い。

   もうこの辺りに来ると下山者はほとんどい
  なくなった。クロクモソウ、サワギクが少し
  見られ、きれいなセンジュガンピがあった。
  センジュガンピ
     沢の対岸に大崩れと呼ばれる土砂崩れのあ
  とが見られるが、あーちゃんが「大崩れが見
  えだしてそれを超えるまでずいぶん長く感じ
  たわ。」と言っていた。

   大樺沢を左岸に橋で渡るが、ここもまだ水
  量がかなりあった。

   樹林帯を越えて沢近くに来ると、ミソガワ
  ソウやクガイソウ、イブキトラノオなどのこ
  この草地によく見かける花が出てきた。

   一方で、ミヤマハナシノブやタカネグンナ
  イフウロはほとんどその姿を見かけなかった。
  ミソガワソウ
       二股にはまだ雪渓が残っていた。

     ここから樹林帯を御池へ向かって歩く。

     ハクサンフウロ、マルバダケブキの残り花、
    シオガマギクが見られるが、ここでよく見た
    セリバシオガマはほとんど咲いていない。

     カニコウモリはここの林でよく見る花だが、
    これは例年通りたくさん咲いていた。

     御池に着いた。結構テントが張られている
    が、いつも張る場所付近の適地が空いていた。
  イブキトラノオ
     
  <2日目>
     昨夕は半袖では寒く感じ、少し風が出ると
  長袖か薄いダウンジャケットを着た。標高2
  200mだと夜はとても涼しい。

   朝は快晴無風。ヘリが入るのでテントは6
  時には撤収してほしいといわれていたので、
  いつもより早く起きて準備する。

   今日は二股へ戻って右股を登り、肩の小屋
  から山頂、北岳山荘方面、トラバース道から
  八本場のコルへ出て、大樺沢を下って御池へ
  帰ってくるコースにした。

   右股を登りはじめると少しずつ花が出てく
  る。アキカラマツが見られた。
 
       タイツリオウギやクガイソウ、シモツケソ
    ウがところどころ見られる。

     ミヤマシシウドはようやく咲き始めだ。
  アキカラマツ
       草すべりからの道と合流する手前に、植生
    保護柵が設けられている。

     これはシカの食害を防ぐため、広い範囲を
    保護柵で覆って植生を確保する試みだ。

     実際保護柵の中と、柵に覆われていない場
    所との違いははっきり分からないが、保護柵
    に貼られていた20年前の植生を見ると、ず
    いぶん大きな違いが分かる。

     この辺りから樹林帯を越え、草原が広がる。

     ウメバチソウやホソバトリカブト、コバノ
    コゴメグサ、エゾシオガマなどが見えだして
    いるが、8月下旬に見られるミヤマシシウド
    の大きな群落は見られなかった。
  ミヤマシシウド
 
  ウメバチソウ エゾシオガマ
     小太郎分岐に到着。

   ここから景色は一変する。周囲の山々が一
  望できるからだ。上空はうすい雲が覆ってい
  るが、その周囲は青空で、近くの仙丈岳、甲
  斐駒ヶ岳、鳳凰三山だけでなく、中央アルプ
  スや遠く北アルプスの山々、八ヶ岳、富士山
  などほとんどの山々が見えてきた。

   北岳山頂部も見える。実はこちら側から何
  回か登っているが、北岳の山頂部がこの辺り
  から見えたのは初めてだ。
  北岳山頂部
     ここから肩の小屋までは初夏は素晴らしい
  お花畑が展開するが、この時期はほんの少し
  のトウヤクリンドウやコバノコゴメグサ、イ
  ワツメクサ、タカネツメクサあたりだけだ。

   あーちゃんが「花がほとんどないね。」と
  言っていた。もともとここはこの時期は少な
  いが、それにしても例年より花が見られない。

   稜線に出て風が冷たく感じられる。二人と
  もレインウエアの上衣を着て歩いた。

   肩の小屋に着いて30分ほど休憩した。

  トウヤクリンドウ

                                                                ≪続く≫

トップに戻る   次のページへ  山の花の道に戻る