北 岳


                         2011年7月22日〜24日


 今年2度目の北岳に行った。3年ほど前から会社時代の友人から北岳に連れて行ってほしいと
言われていて実現したものである。
 花に関しては、タカネマンテマとキタダケキンポウゲが咲いていれば写真を撮りなおすことと
キタダケナズナを確認することが主で、盛夏の花々を見ることも目的である。


  梅雨が明けてすぐに行きたいと思っていたが、二人とも用事があり、また台風6号が迷走して
 いたため、当初予定を一日繰り下げての出発となった。
  金曜日の朝だったので芦安駐車場は混んでいるのではと思ったが、一番上の駐車スペースは、
 まだ3分の1ほど空きがあった。広河原では青空に北岳の雄姿が見えていた。

〈第一日目〉
     山荘で入山届を出して歩き始める。昨年同様、今年も梅雨明けが例年より早かったので、この時
 期はかなりの花が見られるのではと期待しながら歩く。

  すぐに大樺沢の水量の多い流れを見て北岳がはじめての友人は、飛沫が朝日に輝いている様子に
 感動している。たつさんはいつもの見慣れた風景なので、ちらっと流れを見ながら花を探す。

      初夏の残りの花に加えてホタルブクロ
   やキツリフネが咲き始めている。

    キリンソウが日の良く当たる岩場の一
   箇所に咲いていた。

    ヤマアジサイは終わっていたが、ノリ
   ウツギがあり、コキンレイカが黄色い花
   を咲かせ始めている。

    クガイソウ、サワギクも見える。
   コキンレイカ
 
    大樺沢を渡る最初の橋付近で、ホソバハナウドが一株咲いていた。タマガワホトトギスもいく
   つか。ウツギはそろそろ散り始めていた。
    レイジンソウが咲いていないか探しながら歩いた。登りのときは気がつかなかったが、2日後
   の下りでは蕾をつけ、咲き始めているのが見られた。この時期は2、3日で花の様子が随分違う
   んだな。
 
 
   ホソバハナウド  レイジンソウ
      木々の間から大樺沢左岸の大崩れが見
   えるあたりにクルマユリが咲いていた。

    3週間前にあーちゃんとここを通った
   時、蕾が2,3見えた。
    今までここでクルマユリを見たことが
   なかったので、クルマユリなのか他の花
   の蕾なのかわかなかったが、これで確定
   できた。
  クルマユリ 
        
    二股到着。
    タカネグンナイフウロやミヤマハナシ
   ノブ、イワオウギ、ミミナグサなどが咲
   き始めている。

    アカイシミヤマクワガタの鮮やかなピ
   ンク、ミヤマハナシノブのブルー、ミヤ
   ママンネングサの黄色が実にきれいだ。

    つい3週間前まではたっぷりあった雪
   渓も、二股付近ではもうなくなっていた。
    例年より残雪が少なかったようで、こ
   の時期でも上二股までは夏道が出ている。

    この間にも上記の花に加えてミヤマキ
   ンポウゲ、ヨツバシオガマ、モミジカラ
   マツ、ヒメゴヨウイチゴなどが現われる。

  アカイシミヤマクワガタ   
 
  ミヤマハナシノブ  ミヤママンネングサ 
 
    上二股でゆっくり休憩。
    登ってきたルートと鳳凰三山を見なが
   ら友人は「良くここまで来たな!」。

    今まで大樺沢沿いはイワオウギだけと
   思っていたが、良く見るとシロウマオウ
   ギが混在していることが分かった。

    ここからは階段の急なのぼりが続く。
    いつもいくつあるか数えようとするが、
   そのうち数が多く、息も上がってくるの
   で忘れてしまう。

    ゴゼンタチバナの大きな群落があった。

    大きな岩を左に回るとコルはすぐそこ
   だ。
   ゴゼンタチバナ
      上二股あたりでは日差しがなくなり、
   やや寒さを感じたが、八本場のコルに着
   くとまた暖かくなった。

    しかし、間ノ岳や富士山は全く見えな
   い。時折、トラバース道の斜面が見える
   程度。

    ここで友人には待ってもらい、吊尾根
   の斜面の花を見に行く。
    クロユリはもう花が終わっていた。以
   前見たミヤマオダマキやクルマユリが見
   あたらない。

    テガタチドリが一株だけあった。その
   他の花はいつもどおり咲いていた。
  テガタチドリ 
 
    はしごの階段はあと残すところわずか
   だが、一本が長いものがある。

    そこを上りきったところに、シナノヒ
   メクワガタが咲いていた。たつさんが北
   岳で初めて出会う花だ。直径数ミリの白
   い可憐な花で、このあと北岳山荘周辺で
   も見られた。

    さらに岩場ののぼりの下に、アオノツ
   ガザクラが咲いていた。アオツガは山荘
   周辺の雪が遅くまで残っているところと
   3週間前に小太郎分岐周辺で見ただけだっ
   たが、北岳には他にも咲いている場所が
   あることを知る。翌日、山頂近くでも見
   ることができた。
    
  シナノヒメクワガタ
      自分がまだ知らないだけで、ここ北岳
   にはいろいろな場所に咲いていることを
   思い知らされた。

    さらにツガザクラがまだ残っていた。
   ここでは以前にも咲いていたのを覚えて
   いたが再び対面できた。

    
  ツガザクラ
      
    肩も痛くなってきたし、足取りも重くなってきたので、トラバース道は写真は撮らずに素通り
   することに決めた。
    明日、空身で花を見るためにここを通ることにしていたからだ。

    しかし、例えばこの道でははじめて見たホソバツメクサに出会うと、シャッターを押したくな
   る自分がいる。本来、山ではいい景色にあったらすぐシャッターを切らないと同じ景色は撮れな
   いものだが、今日はじっと我慢した。

    山荘近くになって、友人が「こんなところにチングルマが咲いている!イワカガミも!感動も
   のだな!」と言った。
    確かにこのようなガレ場にチングルマやミネズオウ、イワカガミが普通は咲いていない。雪が
   比較的遅くまで残る場所だからこその情景だ。

    テン場にテントは4張りだった。どこでも好きなところに張れるがこれも予想外。あとで山荘
   で聞いたら先週は小屋も廊下まで人であふれたそうだ。景色は霧で全くダメだったが、早速ビー
   ルで乾杯した。


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