〈第一日目〉 | ||
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山荘で入山届を出して歩き始める。昨年同様、今年も梅雨明けが例年より早かったので、この時 期はかなりの花が見られるのではと期待しながら歩く。 すぐに大樺沢の水量の多い流れを見て北岳がはじめての友人は、飛沫が朝日に輝いている様子に 感動している。たつさんはいつもの見慣れた風景なので、ちらっと流れを見ながら花を探す。 |
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初夏の残りの花に加えてホタルブクロ やキツリフネが咲き始めている。 キリンソウが日の良く当たる岩場の一 箇所に咲いていた。 ヤマアジサイは終わっていたが、ノリ ウツギがあり、コキンレイカが黄色い花 を咲かせ始めている。 クガイソウ、サワギクも見える。 |
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コキンレイカ | ||
大樺沢を渡る最初の橋付近で、ホソバハナウドが一株咲いていた。タマガワホトトギスもいく つか。ウツギはそろそろ散り始めていた。 レイジンソウが咲いていないか探しながら歩いた。登りのときは気がつかなかったが、2日後 の下りでは蕾をつけ、咲き始めているのが見られた。この時期は2、3日で花の様子が随分違う んだな。 |
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ホソバハナウド | レイジンソウ | |
木々の間から大樺沢左岸の大崩れが見 えるあたりにクルマユリが咲いていた。 3週間前にあーちゃんとここを通った 時、蕾が2,3見えた。 今までここでクルマユリを見たことが なかったので、クルマユリなのか他の花 の蕾なのかわかなかったが、これで確定 できた。 |
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クルマユリ | ||
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二股到着。 タカネグンナイフウロやミヤマハナシ ノブ、イワオウギ、ミミナグサなどが咲 き始めている。 アカイシミヤマクワガタの鮮やかなピ ンク、ミヤマハナシノブのブルー、ミヤ ママンネングサの黄色が実にきれいだ。 つい3週間前まではたっぷりあった雪 渓も、二股付近ではもうなくなっていた。 例年より残雪が少なかったようで、こ の時期でも上二股までは夏道が出ている。 この間にも上記の花に加えてミヤマキ ンポウゲ、ヨツバシオガマ、モミジカラ マツ、ヒメゴヨウイチゴなどが現われる。 |
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アカイシミヤマクワガタ | ||
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ミヤマハナシノブ | ミヤママンネングサ | |
上二股でゆっくり休憩。 登ってきたルートと鳳凰三山を見なが ら友人は「良くここまで来たな!」。 今まで大樺沢沿いはイワオウギだけと 思っていたが、良く見るとシロウマオウ ギが混在していることが分かった。 ここからは階段の急なのぼりが続く。 いつもいくつあるか数えようとするが、 そのうち数が多く、息も上がってくるの で忘れてしまう。 ゴゼンタチバナの大きな群落があった。 大きな岩を左に回るとコルはすぐそこ だ。 |
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ゴゼンタチバナ | ||
上二股あたりでは日差しがなくなり、 やや寒さを感じたが、八本場のコルに着 くとまた暖かくなった。 しかし、間ノ岳や富士山は全く見えな い。時折、トラバース道の斜面が見える 程度。 ここで友人には待ってもらい、吊尾根 の斜面の花を見に行く。 クロユリはもう花が終わっていた。以 前見たミヤマオダマキやクルマユリが見 あたらない。 テガタチドリが一株だけあった。その 他の花はいつもどおり咲いていた。 |
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テガタチドリ | ||
はしごの階段はあと残すところわずか だが、一本が長いものがある。 そこを上りきったところに、シナノヒ メクワガタが咲いていた。たつさんが北 岳で初めて出会う花だ。直径数ミリの白 い可憐な花で、このあと北岳山荘周辺で も見られた。 さらに岩場ののぼりの下に、アオノツ ガザクラが咲いていた。アオツガは山荘 周辺の雪が遅くまで残っているところと 3週間前に小太郎分岐周辺で見ただけだっ たが、北岳には他にも咲いている場所が あることを知る。翌日、山頂近くでも見 ることができた。 |
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シナノヒメクワガタ | ||
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自分がまだ知らないだけで、ここ北岳 にはいろいろな場所に咲いていることを 思い知らされた。 さらにツガザクラがまだ残っていた。 ここでは以前にも咲いていたのを覚えて いたが再び対面できた。 |
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ツガザクラ | ||
肩も痛くなってきたし、足取りも重くなってきたので、トラバース道は写真は撮らずに素通り することに決めた。 明日、空身で花を見るためにここを通ることにしていたからだ。 しかし、例えばこの道でははじめて見たホソバツメクサに出会うと、シャッターを押したくな る自分がいる。本来、山ではいい景色にあったらすぐシャッターを切らないと同じ景色は撮れな いものだが、今日はじっと我慢した。 山荘近くになって、友人が「こんなところにチングルマが咲いている!イワカガミも!感動も のだな!」と言った。 確かにこのようなガレ場にチングルマやミネズオウ、イワカガミが普通は咲いていない。雪が 比較的遅くまで残る場所だからこその情景だ。 テン場にテントは4張りだった。どこでも好きなところに張れるがこれも予想外。あとで山荘 で聞いたら先週は小屋も廊下まで人であふれたそうだ。景色は霧で全くダメだったが、早速ビー ルで乾杯した。 |
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