〈第二日目〉
      4時過ぎに起きて外に出てみると、大きな雲海の上に富士が見えており、北岳方面、間ノ岳方面
  が雲ひとつなくくっきりと見えていた。

   ただ、おそらく10時か11時頃には霧が出てくるだろうと予想した。

   今日は間ノ岳への稜線を歩き一旦テン場に戻って北岳を往復することにしていたが、友人は北岳
  に行きたいわけだから霧の出ない朝のうちに北岳に行くことにして食事にした。
      
      6時にアタックザックに必要なものを
   入れて出発した。
    
    すでにこの時には八本場のコル方面は
   霧が湧き出、間ノ岳も霧で見えなくなっ
   てきた。

    稜線に立つと仙丈ケ岳は山頂部に雲。
    北岳は晴れていた。

    歩き始めてすぐにチョウノスケソウの
   大きな株があり、残り花が咲いていた。
  チョウノスケソウ
   
    夏も初めに咲くミヤマシオガマの下の
   ほうが枯れ始めている株やヨツバシオガ
   マ、咲き始めたチシマギキョウがあり、
   そして待望のタカネマンテマにお目にか
   かった。

    この時期、まだ早いかなと思っていた
   が、ちょうど咲きごろ、見頃の株だ。

    風もないので顎の先にあるピンクの小
   さい花がしっかり撮れた。

    ただこのあと、山頂までの間では2株
   を目にしただけだった。

  タカネマンテマ   
 
    空は快晴ですがすがしく、花もたくさんあって気持の良い稜線をゆっくり歩く。

    コケモモやハハコヨモギ、シロウマオウギなどがあり、ミヤマシオガマのちょうど旬の株や
   大きなイワベンケイが見られた。

 
  ミヤマシオガマ  イワベンケイ 
      
    吊尾根分岐近くでキタダケキンポウゲ
   を見ることができた。

    昨年は8月上旬だったので終わりに近
   く、丈も伸びているものが多かったが、
   今日見た旬のものはどことなく若々しい。

    今年は比較的多くのキタダケキンポウ
   ゲに出会えた。アップの写真を何枚か写
   した。
  キタダケキンポウゲ
      
    ミヤマシオガマが数多く咲き、シコタンソウもそこここに咲いてきた。
    ハハコヨモギやタカネシオガマ、タカネヤハズハハコも咲きはじめの株がある。梅雨明けが
   早かったこともあって、日に日に夏盛りの花畑になっていくようだ。

    北股沢方面にミヤマオダマキの株があった。もう少し下のほうでは盛期を過ぎてきているよ
   うだが、ここは元気な姿を見せていた。

    アオノツガザクラをここでも見ることができた。
 
   ハハコヨモギ タカネシオガマ
 
  ミヤマオダマキ アオノツガザクラ
 
    この間、キタダケナズナはずっと確認
   していた。

    キタダケナズナと非常に良く似た花に
   クモイナズナ、クモマナズナ、ミヤマハ
   タザオなどがある。咲いている花の形だ
   けでは区別がつかない。もっとも専門家
   は葉のつき方や葉や茎の毛のあるなしな
   どで判別するというが、山に重い図鑑や
   ルーペなどもって行こうという気がない。

    とすると、実のでき方で判別するしか
   ないと思い、クモイナズナはハタザオ属
   なので実がさおのように長いのに対し、
   ナズナはいわゆるペンペングサのような
   実なのでその違いをずっと見てきた。

    
  キタダケナズナ
 
    山頂には14,5人がいた。多くの人の顔に達成感みたいなものが窺える。
    
    仙丈ケ岳はピークに少し雲がかかっていたが、甲斐駒はときどき頭を雲の中から現すだけ。
    八ヶ岳やその他の山はほとんど雲に隠れていた。北岳周辺は晴れて青空。昨日歩いてきた大樺沢
   ルートも良く見えた。
 
    しばらく景色を楽しんでからトラバー
   ス道に降りた。

    ここからはキンロバイ、タカネシュロ
   ソウ、ミヤマオダマキ、シナノキンバイ、
   イブキジャコウソウ、グンナイフウロ、
   ミヤマキンポウゲ、ヤツガタケタンポポ、
   ホソバツメクサ、ヨツバシオガマ、ミヤ
   マシオガマ、シコタンソウ、ミヤマムラ
   サキなどが盛り。

    タカネナデシコ、ハクサンフウロ、タ
   カネコウリンカ、ムカゴトラノオ、ミネ
   ウスユキソウが咲き始め。

    キタダケトリカブトやトウヤクリンド
   ウ、タカネニガナ、キタダケヨモギなど
   はまだ全く咲いていない。

    山荘近くになって、昨日友人が感動し
   ていたチングルマやミネズオウを撮って
   テン場に引き返した。
  シコタンソウ
 
  ミヤマムラサキ ホソバツメクサ
 
  チングルマ  ミネズオウ 
 
    戻ってきたのが10時前。北岳方面は
   晴れて青空がまだ見えているが、間ノ岳
   方面はガスがかかって見えない。

    3000mの稜線散歩はガスの中では
   さびしいということで、御池に下りるこ
   とにした。

    ゆっくり支度し、撤収して八本場のコ
   ルから2時半ごろ御池に到着し、ノンビ
   リ過ごすことにした。
    テン場から北岳方面 
 
    御池で生ビールを飲み、持参した酒を飲みながらまったりしていると、隣にテントを張る単独
   行動のオーストラリア人がいた。

    一緒に飲みながら暗くなるまで話す。沖縄でダイビングのインストラクターをしているという
   24歳の青年。聞くと、明日から、北岳〜間ノ岳〜仙丈ケ岳〜甲斐駒を4泊で縦走して広河原に
   戻ってくる計画だという。そしてここは初めてだとも聞いた。ちょっとアドバイスして激励して
   あげた。

    それにしてもたつさんでは考えられないルートで南アルプスを堪能しようという、日本に来て
   7ヶ月の若者に敬意を表した。

    ともかくも風もなく穏やかで素晴らしい3日間だった。御池での就寝までのノンビリ過ごした
   時間は特に気分が良かった。
    


  広河原6:30  二股9:20  上二股11:38  八本場のコル12:43  北岳・山荘分岐
  13:47  北岳山荘14:55

  北岳山荘6:05  北岳山頂7:35  北岳山荘9:45  山荘発10:55  八本場のコル
  12:03  上二股12:25  二股13:45  御池14:25
   

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