北 岳


                         2011年7月1日〜2日


 今年初めての北岳である。今回もキタダケソウを見ることと、キタダケナズナを確認することが
目的である。
 どのルートを歩くか決めないで出かけたが、二俣まで行って雨が降りそうな気配だったので二俣
ルートを小太郎分岐まで行き、肩の小屋に泊まることにした。肩の小屋まであと15分ほどの地点
で結構な雨が降ってきた。


  今年は梅雨入りが早く、しかも雨の日が多い。6月25日から広河原までのバスが開通してい
 るが、ヤボ用があったりして7月1日、2日で行くしかなくなった。天気予報もこの時期として
 はまあまあなので出かけてみた。
  平日でもあり芦安の駐車場はすいていた。広河原への途中で見える北岳は山頂に雲はかかって
 いるもののくっきり見えていた。

〈第一日目〉
     昨年はちょうど同じ時期に来ているが、二俣ルートは橋がかかっておらず、御池ルートで登った
 が、今回はどちらも通れる。6月下旬から7月上旬の時期にはまだ二俣を登っていないので、今回
 はここを歩くことにした。

  ハルゼミの声が林に聞こえる。
  早速、クルマバソウやウワバミソウ、キリンソウが見られる。そのうち、オドリコソウやヒロハ
 コンロンソウ、バイケイソウも姿を見せる。これらは特に二俣までの間にたくさん見られる。
      この時期はまだ白い色の花が多い。

    オドリコソウはまさに旬。この花は、
   やや斜め上の笠をかぶった方向から見る
   のが相応しいと思う。下方から見てみた
   が、笠をかぶった顔が蛇のように見え、
   興ざめしてしまう。

    ミヤマカラマツも下のほうから咲いて
   いた。これも二俣までの間にたくさん見
   られた。また、カラマツ類はモミジカラ
   マツもあり、カラマツソウも咲きはじめ
   ていた。

    ほかに、ユキザサやクリンユキフデな
   どがあり、驚くべきことに大樺沢に架か
   る最初の橋の付近にはグンナイフウロが
   咲いていた。
   ミヤマカラマツ
 
   ユキザサ  グンナイフウロ
      
    「ミヤマハナシノブが咲いてるわ」と
   あーちゃん。「もう咲いているのか、こ
   の辺だけだろうね。」

    7月に入ったばかりだというこの時期
   に見られるとは思わなかったので、アッ
   プで撮ってみた。
      
  ミヤマハナシノブ  
 
    ここからもう一度大樺沢を橋でわたる
   が、そこまでの道にノビネチドリが一株
   あった。

    先を行くあーちゃんが最初に見つけ、
   「エビネランみたいのがあるよ。」と。
    そこに行ってじっくり見、撮ったが、
   はたして何かは分からなかった。

    ノビネチドリと確認したのは、帰って
   から図書館で調べたときだ。いままで、
   ノビネチドリは北海道の山々や尾瀬など
   でも見てきているが、それらと比べて花
   の数や色、花序の長さがかなり違うので
   わからなかったのだ。

    また、ツマトリソウやマイヅルソウも
   ところどころに白い可憐な花を見せてい
   た。

    二俣到着。
    二俣にはこの時期3度目であるが、今
   年は雪の量が少ないと感じた。

 
   ノビネチドリ
      ここで少し休んでいると、背負子に発
   泡スチロールの箱と大きなザックをくく
   りつけた若い女性がいた。

    話を聞いて見ると肩の小屋の従業員の
   方だ。6月5日に一度小屋に入り、一旦
   戻ってまた今日、小屋に入る途中だそう
   だ。20キロを背負っている。

    「今日、お世話になります!」と言っ
   たら、「毎日のように午後は雨が降って
   ますので早めに着いたほうが良いですよ。」
   とのアドバイス。

    途中で追い越して行くことになったが、
   彼女はあとでずぶぬれになって小屋に着
   いた。
   ツマトリソウ  
 
    二俣ルートを歩き出す。
    ヒメゴヨウイチゴ、キバナノコマノツメやサンリンソウが咲いている。

    今日はたつさんの足取りが思い。いつもよりずっと呼吸が荒く、100歩程度歩いては息を
   整えている。すでに天気は曇っていて、蒸し暑い。水分の補給が欠かせない。

    クロツリバナ、クロウスゴ、ケヨノミなどの木本の花がときどき見られる。ミネザクラもま
   だ花をつけていた。
 
    随分ゆっくり歩いたようだったけど、
   二俣から1時間40分程度で御池との分
   岐に到着。

    去年は御池から草すべりを登ったが、
   このあたりには残雪があり、ショウジョ
   ウバカマがたくさん咲いていたが、今年
   は雪は見当たらず、ショウジョウバカマ
   もほんの少し見えただけ。

    その代わり、もうシナノキンバイがた
   くさん咲いていた。
  シナノキンバイ
      ここから25分ほどで小太郎分岐に出
   た。分岐付近の雪は例年よりやはり少な
   かった。

    視界は全くなし。天気がよければまず
   目に飛び込んでくる仙丈ケ岳が見えない
   のは残念。

    ハイマツの下にアオノツガザクラやイ
   ワカガミが見えた。アオノツガザクラは
   北岳の登山道であまりお目にかかれない
   が、ここで見たのは初めて。周辺を見回
   したがこれだけしかなかった。
  アオノツガザクラ
      ここからは道の両側にこの時期の花が
   たくさん咲いている。中白根沢方面では
   ミヤマキンバイ、キバナシャクナゲ、ハ
   クサンイチゲが。オヤマノエンドウやチ
   シマアマナはいつもの年より数が少ない。

    左側の岩場には、ウラシマツツジ、コ
   メバツガザクラ、タカネグンバイ、イワ
   ウメなどがある。いつもの光景だ。
  イワカガミ
 
   ミヤマキンバイ ハクサンイチゲ 
 
  ウラシマツツジ  タカネグンバイ 
      突然雨が降ってきた。
    小屋まであと15分程度なのでこのま
   ま歩こうと思ったけど、あーちゃんが「雨
   具を着ようよ」と言ったのですぐにザッ
   クから出した。

    結構な降り方で、着いたときにはザッ
   クはびしょぬれ。中にポリのシートで荷
   をくるんでいたので問題なかったが…。

    花の写真どころではなかった。

  イワウメ   
 
    小屋についてしばらくして雨は小止み
   になった。ときどき止んではまた降りだ
   す。仕方ないので今日の行動はこれまで。
   ビールを飲んで休憩。

    4時ころになって気温がぐっと下り、
   雨は止んで、だいぶ明るくなってきた。

    山頂方面へキタダケナズナを探しに出
   かける。南アルプスにあるナズナ類は、
   ある本によると、キタダケナズナ、クモ
   イナズナ、クモマナズナがあるそうで、
   たつさんにとっては同定が難しく、事前
   に勉強してきたがいざ株を見て、これが
   キタダケナズナだ!というわけには行か
   なかった。
    それでも株の根本のロゼット、茎や葉
   の毛のあるなしをじっくり見てみた。

    上記3つはいずれも「ナズナ」という
   名がついているもののハタザオ属もあり、
   ナズナかハタザオかは、結局のところ実
   ができる頃に確認するしかないだろう。
 

キタダケナズナ?
     


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