〈第一日目〉 | ||
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昨年はちょうど同じ時期に来ているが、二俣ルートは橋がかかっておらず、御池ルートで登った が、今回はどちらも通れる。6月下旬から7月上旬の時期にはまだ二俣を登っていないので、今回 はここを歩くことにした。 ハルゼミの声が林に聞こえる。 早速、クルマバソウやウワバミソウ、キリンソウが見られる。そのうち、オドリコソウやヒロハ コンロンソウ、バイケイソウも姿を見せる。これらは特に二俣までの間にたくさん見られる。 |
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この時期はまだ白い色の花が多い。 オドリコソウはまさに旬。この花は、 やや斜め上の笠をかぶった方向から見る のが相応しいと思う。下方から見てみた が、笠をかぶった顔が蛇のように見え、 興ざめしてしまう。 ミヤマカラマツも下のほうから咲いて いた。これも二俣までの間にたくさん見 られた。また、カラマツ類はモミジカラ マツもあり、カラマツソウも咲きはじめ ていた。 ほかに、ユキザサやクリンユキフデな どがあり、驚くべきことに大樺沢に架か る最初の橋の付近にはグンナイフウロが 咲いていた。 |
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ミヤマカラマツ | ||
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ユキザサ | グンナイフウロ | |
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「ミヤマハナシノブが咲いてるわ」と あーちゃん。「もう咲いているのか、こ の辺だけだろうね。」 7月に入ったばかりだというこの時期 に見られるとは思わなかったので、アッ プで撮ってみた。 |
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ミヤマハナシノブ | ||
ここからもう一度大樺沢を橋でわたる が、そこまでの道にノビネチドリが一株 あった。 先を行くあーちゃんが最初に見つけ、 「エビネランみたいのがあるよ。」と。 そこに行ってじっくり見、撮ったが、 はたして何かは分からなかった。 ノビネチドリと確認したのは、帰って から図書館で調べたときだ。いままで、 ノビネチドリは北海道の山々や尾瀬など でも見てきているが、それらと比べて花 の数や色、花序の長さがかなり違うので わからなかったのだ。 また、ツマトリソウやマイヅルソウも ところどころに白い可憐な花を見せてい た。 二俣到着。 二俣にはこの時期3度目であるが、今 年は雪の量が少ないと感じた。 |
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ノビネチドリ | ||
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ここで少し休んでいると、背負子に発 泡スチロールの箱と大きなザックをくく りつけた若い女性がいた。 話を聞いて見ると肩の小屋の従業員の 方だ。6月5日に一度小屋に入り、一旦 戻ってまた今日、小屋に入る途中だそう だ。20キロを背負っている。 「今日、お世話になります!」と言っ たら、「毎日のように午後は雨が降って ますので早めに着いたほうが良いですよ。」 とのアドバイス。 途中で追い越して行くことになったが、 彼女はあとでずぶぬれになって小屋に着 いた。 |
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ツマトリソウ | ||
二俣ルートを歩き出す。 ヒメゴヨウイチゴ、キバナノコマノツメやサンリンソウが咲いている。 今日はたつさんの足取りが思い。いつもよりずっと呼吸が荒く、100歩程度歩いては息を 整えている。すでに天気は曇っていて、蒸し暑い。水分の補給が欠かせない。 クロツリバナ、クロウスゴ、ケヨノミなどの木本の花がときどき見られる。ミネザクラもま だ花をつけていた。 |
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随分ゆっくり歩いたようだったけど、 二俣から1時間40分程度で御池との分 岐に到着。 去年は御池から草すべりを登ったが、 このあたりには残雪があり、ショウジョ ウバカマがたくさん咲いていたが、今年 は雪は見当たらず、ショウジョウバカマ もほんの少し見えただけ。 その代わり、もうシナノキンバイがた くさん咲いていた。 |
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シナノキンバイ | ||
ここから25分ほどで小太郎分岐に出 た。分岐付近の雪は例年よりやはり少な かった。 視界は全くなし。天気がよければまず 目に飛び込んでくる仙丈ケ岳が見えない のは残念。 ハイマツの下にアオノツガザクラやイ ワカガミが見えた。アオノツガザクラは 北岳の登山道であまりお目にかかれない が、ここで見たのは初めて。周辺を見回 したがこれだけしかなかった。 |
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アオノツガザクラ | ||
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ここからは道の両側にこの時期の花が たくさん咲いている。中白根沢方面では ミヤマキンバイ、キバナシャクナゲ、ハ クサンイチゲが。オヤマノエンドウやチ シマアマナはいつもの年より数が少ない。 左側の岩場には、ウラシマツツジ、コ メバツガザクラ、タカネグンバイ、イワ ウメなどがある。いつもの光景だ。 |
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イワカガミ | ||
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ミヤマキンバイ | ハクサンイチゲ | |
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ウラシマツツジ | タカネグンバイ | |
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突然雨が降ってきた。 小屋まであと15分程度なのでこのま ま歩こうと思ったけど、あーちゃんが「雨 具を着ようよ」と言ったのですぐにザッ クから出した。 結構な降り方で、着いたときにはザッ クはびしょぬれ。中にポリのシートで荷 をくるんでいたので問題なかったが…。 花の写真どころではなかった。 |
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イワウメ | ||
小屋についてしばらくして雨は小止み になった。ときどき止んではまた降りだ す。仕方ないので今日の行動はこれまで。 ビールを飲んで休憩。 4時ころになって気温がぐっと下り、 雨は止んで、だいぶ明るくなってきた。 山頂方面へキタダケナズナを探しに出 かける。南アルプスにあるナズナ類は、 ある本によると、キタダケナズナ、クモ イナズナ、クモマナズナがあるそうで、 たつさんにとっては同定が難しく、事前 に勉強してきたがいざ株を見て、これが キタダケナズナだ!というわけには行か なかった。 それでも株の根本のロゼット、茎や葉 の毛のあるなしをじっくり見てみた。 上記3つはいずれも「ナズナ」という 名がついているもののハタザオ属もあり、 ナズナかハタザオかは、結局のところ実 ができる頃に確認するしかないだろう。 |
![]() キタダケナズナ? |
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