〈第二日目〉 | ||
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4時に起きて外に出てみると、何と360度見渡せ、下のほうは雲があるが、青空となっている。 昨夜、あーちゃんと話していて、雨が降ってなくて見通しが良かったら今日のルートをキタダケ ソウを見たあと八本場から大樺沢を下りることにしていた。 いろいろな花を見たいというわれわれの思いがあって、空身でキタダケソウを見てから折り返し、 草すべりから御池ルートも考えたが、昨日二俣ルートを登ってきて、いつもの年より花が早く咲い ていると判断し、ラン科の植物が結構見られる御池ルートでは初夏(晩春)の花は終わっていると 考えたからだ。 |
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小屋を5時に出発した。 昨日は小屋も結構人がいて、5時から の朝食に列を作って待っていた。 風もなく快晴で、この時期としては申 し分のない天気。 昼頃に広河原に着けば十分なのでゆっ くり歩く。もちろんキタダケナズナを確 認しながら。 途中にチョウノスケソウの株がいくつ もあったがまだ蕾すら見えない。 |
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山頂からの仙丈ケ岳 | ||
40分ほどで山頂到着。もうすでに2パーティーが到着していた。 間ノ岳や塩見岳、仙丈、甲斐駒、中央アルプス、北アルプス、八ツ、もちろん富士山も。360度 の絶景だ。 しばし眺望を楽しみ、吊尾根分岐に向かう。 |
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吊尾根までの道はタカネグンバイやチ シマアマナ、ミヤマキンバイ、ハクサン イチゲなどがところどころに見られたが、 まだまだ花の種類は少ない。 ミヤマシオガマの蕾はあったが、ムカ ゴユキノシタは蕾もつけてなかった。 吊尾根分岐にオヤマノエンドウとチョ ウノスケソウの岩場があるが、チョウノ スケソウは一つだけ蕾をつけていたに過 ぎない。 下のほうでは花の開花が早いのに、上 のほうは去年よりも遅い気がする。 |
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オヤマノエンドウ | ||
カメラだけを持った元気な女性が下りてきた。 肩の小屋に泊まっていた人だ。昨日、キタダケソウを撮ってきたつもりだったがどうも違う 花だと言われたらしい。「おそらくハクサンイチゲを撮ったんじゃあないですか?」と聞くと、 「どうもそうらしいです。」「キタダケソウはもう少し下にありますよ」「そうですか。じゃ あお先に」と走るように下りていった。 |
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八本場・北岳山荘の分岐までキタダケ ソウを探しながらゆっくり歩く。そう、 今年は“探しながら”だ。このあたりは もう終わりに近く、最盛期の株はほとん どない。また、花の数も少ないと感じた。 また、2パーティーが降りてきた。キ タダケソウを探している。このあたりは ハクサンイチゲと混生しているので、教 えてあげた。トラバース道にもあること も。 間ノ岳との組合せで撮りたいと思って いたが、適当な株もなかった。 左の写真はトラバース道で何とかいい 状態で見られたキタダケソウ。 |
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キタダケソウ | ||
八本場・北岳山荘分岐近くで咲きはじ めのツガザクラの比較的大きな株が見ら れた。 ツガザクラも北岳登山道ではあまり多 く見ることができず、また今まで見頃の 株に出会えてないので嬉しかった。 ここに荷物を置いて、トラバース道を 散歩することにした。 山荘から降りてきた男性に、「昨日は 山荘は人が一杯だった。今日はどこに行 かれるんですか?」と聞かれたので「八 本場を下ります。」といったら「下りは 大丈夫なんですか?私は山頂に上って小 太郎から下ります。」と話していった。 あーちゃんが少し不安になる。「この 天候だし、雪も硬くはないので慎重に歩 けば大丈夫だよ。」 |
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ツガザクラ | ||
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トラバース道のキタダケソウのほうが 今年はまだ見頃のものが多かった。特に 陽の光が少しさえぎられる場所ではきれ いだった。 残念ながら、キタダケソウと間ノ岳の ツーショットは撮れなかったので、仕方 なくハクサンイチゲとのツーショットを 狙った。 レンズを荷物においてきてしまったの が残念だったけど。 ここではチョウノスケソウの開花株が 見られた。そのほかはミヤマオダマキの 蕾くらいだった。 |
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ハクサンイチゲと間ノ岳 | ||
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チョウノスケソウ | ミヤマオダマキ(蕾) | |
トラバース道でまずまずのキタダケソ ウとチョウノスケソウの咲きはじめにも 出会えたので分岐に引き返す。 八本場のコルに向かう途中、鳳凰三山 側に雲海の雲がまるでナイヤガラの滝の ように流れ落ちているのが見えた。雲の 滝だ。 八本場のコル周辺でもイワカガミが見 られた。 ここからいくつあったか数え忘れたが ハシゴを下り、雪渓に出た。夏道はほと んど出ていない。 あーちゃんはアイゼンをつけ一歩一歩 慎重にステップを切る。雪は硬くはなく 表面はザラメであり、大きな問題はない。 |
![]() 雲の滝 |
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下を見ると二俣周辺に大勢の人の姿が見える。またさらにその下にも次々と登山者が上って くるのが見える。 バットレス下部の沢との合流付近で大樺沢を登ってくる最初の人にあった。その後次々と雪 渓を直登としてくる。 「やっぱり北岳は人気のある山ね」「ホントにそうだね。しかも7月のこの時期にこれだけ 人が入るとは…」 途中われわれが夏道を歩いているとき、雪渓上で大きな二つの落石があった。幸い二つとも 平たい石で落下速度も早くなく、すぐ下の雪の割れ目に落ちた。 雪渓を歩いていた人も「らくーっ!!」の声で十分よけられる速度だったようで事故には至 らなかった。 |
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二俣でお腹に少しエネルギー源をいれ、 広河原に向かう。 二俣からちょっと歩いたところで、今 回の花に関しての3つ目の驚きに出会っ た。 シコタンソウが咲いていたのだ! 北岳山頂付近のシコタンソウの群落は それは見事なものだが、今はまだその時 期ではない。ところがこんなところに比 較的大きな株で花をつけている。上りと 同じ道を通っているのに行きには気がつ かなかった。 でも、なぜこんなところに咲いている んだろうとの疑問は残ったままだ。 |
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シコタンソウ | ||
7月2日、まさかこんな快晴に恵まれるとは全く思っていなかった。 キタダケソウは全体としては終わりに近い状態だったが、今年も見ることができた。 キタダケナズナの同定は20日過ぎにまた北岳を訪れて確かめようと思う。 広河原7:35 二股10:05 御池との分岐12:00 小太郎分岐12:32 肩の小屋 13:15 肩の小屋5:00 北岳山頂5:43 吊尾根分岐6:15 八本場・北岳山荘分岐6:30 トラバース道散策 八本場のコル7:30 二俣9:10 広河原11:27 |
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