笠取山


                          2014年6月16日


   手元に2004年朝日新聞社発刊の「週刊花の百名山」がある。これは田中澄江さんの「花
 の百名山」、「新・花の百名山」をもとにしたビジュアル誌で、花を見る山旅を計画するとき
 に参考にしている。ここに笠取山で6月中旬にレンゲツツジが咲き、サラサドウダンもあると
 出ており、また多摩川源流の山だというので行ってみることにした。


  奥多摩や秩父の山に車で初めて行く場合は、駐車場の情報がまず必要になる。いまはネットの時代なので、
 調べれば写真付きで丁寧に解説している情報が手に入る。今回もこれらをもとにして、都心の混雑を避けるた
 め、5時半に家を出た。
  今日の山梨の最高気温は30度と予想されていた。2000mに満たない山だがかなりの暑さを想定する。

     駐車場までの林道の入り口はすぐにわかり、
  林道も舗装されていて、難なく着くことがで
  きた。

   すでに10台ほどの車があった。朝まだ早
  いせいか、気温は16度と涼しい。風はほと
  んどない。

   カラマツなどの針葉樹の森を歩きだす。道
  は枯葉で敷き詰められた歩きやすい道だ。ハ
  ルゼミの鳴き声が賑やかで鳥の声も交じる。

   ヤブ沢沿いを行くと、咲き残りのヤマツツ
  ジが見られた。
    ヤマツツジ
     シロバナヘビイチゴがたくさん咲いていた。
   これはこのあと笠取山山頂付近までところ
  どころで見られた。

   バイカオウレンと思われる花も咲いていた
  が、後で調べるとキクバオウレンのようだ。

   この辺りではスミレは終わっていて、ニリ
  ンソウが少しとクワガタソウが残っていた。

   また、クリンソウの何とか花が残っている
  株があったが、ほとんど終わっていた。
   キクバオウレン
       ただ、クリンソウのほとんどで花のついて
    いる茎が途中で折られている。想像するに鹿
    に食べられたのかと思う。

     ところどころにベンチが置かれていて休め
    るようになっている。ウグイスが鳴く練習を
    しているが、まだ若い鳥のせいか、なかなか
    「ホーホケキョ」と鳴くことができないでい
    る。

     ここの道にはカエデやモミジが相当に多い。
    おそらく紅葉時にはきれいだろうと思う。
  クワガタソウ
     ヤブ沢分岐に着いた。ここまでも帰りも含
  めてその後もそうだが、この山の道はとにか
  く歩きやすい。木の根が出ているところは少
  なく、岩もほとんどない。

   ここから笠取小屋までの林道は車が通れる
  広さだ。現に小屋には車があった。小屋のベ
  ンチで少し休んで先に行く。このあたりにサ
  ラサドウダンがあると書いてあったが、花は
  なかった。

   分水嶺の看板があり、近くにはミヤマザク
  ラの花が何とか残っていた。
  分水嶺の看板
 
     足下には三角柱の標識があって、多摩川、
    富士川、荒川とあった。ここに雨が降れば、
    3つに流れが分かれるのであろう。

     ここまでの間にレンゲツツジがあるはずな
    のに見当たらない。まだ開花が早いのかと思
    ってみてみたが、ツツジの木そのものもない。

     そのまま笠取山への直登に向かう。ここだ
    け時々ジグを切るが、ほとんどまっすぐな急
    な道だ。あーちゃんが「ここで雨に降られた
    ら大変だね。」

     この間、咲いている花はミツバツチグリだ
    けだった。
   ミヤマザクラ
 
  笠取山山頂部  ミツバツチグリ
     この道の両側の木々は、一本一本にネット
  がかけられたり、全体をフェンスで覆われた
  りしている。シカの食害を避けるためだ。

   数か月前に、ようやく鹿を今の数から半減
  させる駆除のことが報道されていたが、本当
  に何とかしないと観光にも大きく影響してし
  まう。

   そのとき、レンゲツツジも鹿の食害に遭っ
  て無くなったのかと思ったのだが、帰ってか
  ら調べたらレンゲツツジの葉や花には毒性が
  あり、鹿は食べないとあった。

   笠取山頂は写真の頂のもっと東側で、急な
  岩肌の尾根を歩く。ここに来て「やっと登山
  道らしいところがあったね。」とあーちゃん。
  シカの食害から木を守るネット
     山頂は狭く、南の一部が開けているだけで、
  眺望は良くない。また10人も立てば一杯と
  いう場所だった。我々が着いた時に休憩して
  いた4人が出発してしまったので、そこで昼
  食にした。後から来る人もなく、少しゆっく
  りした。

   山頂周辺にはアズマシャクナゲやトウゴク
  ミツバツツジなどでかろうじて残っているも
  のがあった。

   岩場にはウラベニダイモンジソウがあった
  が、まだ花はつけていなかった。
    アズマシャクナゲ
       このころは雲が出て日差しはなく、標高が
    2000mということもあって、涼しく感じ
    た。

     東へ尾根を少し歩いて、水干に下った。
    「多摩川の源頭 東京湾まで138km」の
    標識が立っていた。ここに水は湧き出してお
    らず、約60m下ったところまで行って、多
    摩川の一滴を飲んできた。

     ついでに明日の朝、この水でコーヒーを飲
    もうと1リットルほどいただいてきた。
  トウゴクミツバツツジ  
 
  水干 多摩川の源流
     ふと目を上にすると、ちょうど日差しが当
  たってきて新緑がとてもきれいだった。

   分水嶺の近くまで戻ると、鹿防除のネット
  越しに山頂を目指していく団体が3組ほど見
  えた。

   笠取小屋に戻り、一休坂を歩くことにした。
  新緑の木々
     水場があってそこにもクリンソウが咲いて
  いた。あーちゃんが、「ここのクリンソウの
  色は赤が濃くてきれいだね。」

   ここから下にもまだ咲いているクリンソウ
  が何株も見られた。
 
 
    クリンソウ 
        沢沿いの道には、ほかにキバナノコマノ
     ツメとミヤマキンポウゲがほんの少しと、
     シロバナヘビイチゴが見られたに過ぎなか
     った。

      ヤブ沢への道と合流すると、ミズナラや
     カエデ、ブナ、コシアブラなどの広葉樹林
     の気持ちの良い森を歩くことになった。
  クリンソウ   
 
  キバナノコマノツメ ミヤマキンポウゲ
 

 


    「週刊 花の百名山」は発刊から10年経っているので、花の状況は変わっていて不思議は
   ないが、そこに載っている花の写真に比べてどうもここ何年かがっかりすることが多い。

    笠取山は期待していた花は見られなかったが、山頂こそ眺望が良くないものの、途中の周囲
   の山並みはきれいだったし、登山道は大変歩きやすく、近いうちに孫と一緒に歩いてみたいと
   話しながら下ってきた。



   作場平登山口 9:06  ヤブ沢峠 10:22  笠取小屋 10:36  笠取山頂

   11:33  水干 12:22  多摩川源流 12:30  笠取小屋 12:50

   登山口 14:06



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