笠ヶ岳


                        2017年9月8日〜10日


   3年前から計画していて今まで実現できなかった笠ヶ岳に行ってきた。今回の一番の狙い
 は笠ヶ岳から抜戸岳、弓折岳の稜線を、穂高、槍、薬師、黒部五郎などの大展望を見ながら
 歩くことにある。
  そのためには第一に入山2日目の天気が良いこと、第二に9月以降の空気の乾いている時
 期を選ぶことであり、ちょうど8日から11日の間が絶好の条件と考え、新穂高温泉に前泊
 することとした。

  9月に入ってからほぼ毎日天気図をチェックしていた。当初は9日から11日を考えていたが、天気の
 回復が早まる様子だったので一日前倒しにした。新穂高温泉は雨で、蒲田川は濁流が流れていた。この日
 は夕方から曇りになる予報だったが、夜も雨は降り続いていた。

   ≪1日目  
     朝5時はまだ小雨が降っていたので、出発
  を30分遅らせた。天気予報では8日は10
  時頃から晴れとなっているので、雨はもう降
  らないと考え、ちょうど止んできたので、登
  山届を提出して出発した。

   槍ヶ岳方面に向かう登山者が多いが、笠ヶ
  岳や双六方面の人たちもちらほら左股林道を
  登っていた。

   林道歩き約50分後、笠新道手前で雨が一
  時強く降ってきたのでカメラはザックにしま
  い、レインウエアを着て登りはじめた。
    笠新道入口の標識
     笠新道は北アルプス屈指の急登と言われて
  おり、まずは標高約1350mの登り口から
  2450mの杓子平まで一気に1100m登
  る。ここまでのコースタイムは4時間20分
  と書いてある。

   雨は止むわけではないが、レインウエアを
  着るほどではなくなってきたのでたつさんは
  脱いで登る。

   今日は1ピッチ40〜45分で歩くことに
  した。標高100mを登るごとに標識がでて
  くる。

   1時間半を過ぎて、オヤマリンドウが見ら
  れた。
     オヤマリンドウ
       濃い霧がかかっていて、眺望は全くない。

     霧雨のような、木々の葉から時々雫が落ち
    るような感じで降っているのかいないのかと
    いう状態。

     時々空が明るくなるがそれもほんのひと時
    でまた元の暗い空に戻ってしまう。たつさん
    がもうそろそろ空が晴れてくるはずだと何度
    も言うのであーちゃんも少し呆れている。

     オヤマリンドウに加えて、ソバナやアザミ
    が見られたほかは、景色はとうとうなにも見
    えず、何度かの小休止ののちに杓子平に着い
    た。4時間半かかった。
  100mごとの標識  
 
   ソバナ アザミ
     杓子平ではわれわれを追い越して行った人
  たちが休憩していて、着くとすぐにそのうち
  の一人が「今、緑ノ笠が一瞬だけ見られたん
  だけど、見えました?」と聞いた。

   見えなかったと答えたら、残念でしたねと
  言われてしまった。ほんの一瞬霧が晴れて見
  えたそうだ。

   稜線に出てから分かったが、カール地形に
  なっていてハイマツが覆っていて緑ノ笠と言
  われることがわかった。

   ここでお昼にしている間にみんなは登って
  行った。杓子平ではイワショウブが咲いてい
  た。
  イワショウブ
     杓子平は小さな窪地があって、その周囲は
  コバイケイソウだらけだ。さぞかし花の時期
  は素晴らしいだろうと思った。いまは黄色に
  葉っぱが色づいている。

   ここから緩い登りになり、トリカブトやサ
  ラシナショウマ、オヤマリンドウ、クロトウ
  ヒレンなどがまだ見られた。
  杓子平のコバイケイソウ
 
   トリカブト   サラシナショウマ
       杓子平の上部からは稜線まで標高差にして
    350mほど登る。杓子平までほどの斜度は
    ないが、疲れてくるのでペースは遅くなる。

     ここの間にも綿毛となったチングルマがあ
    ちこちにあり、ウサギギクのきれいな株がい
    くつも見られた。

     また、ダイモンジソウやウメバチソウもま
    だ咲いていた。

     稜線に近づくにつれて、霧が薄れてきて、
    前を歩く人の姿が見えるようになった。
   クロトウヒレン
 
  チングルマの綿毛 ウサギギク
 
   ダイモンジソウ  ウメバチソウ
     稜線にでると、上空に青空が見えてきて近
  くのピークなどは見えているが雲がまだ多い。

   小休止していると、2人組の男性が戻って
  きた。先に一人が戻ってきていたので、笠ヶ
  岳日帰り組の3人目だ。

   あーちゃんが前方に見えるピークを指し、
  「笠ヶ岳はあの先ですか?」「あの左のピー
  クのさらに先で、まだ雲の中ですよ。結構こ
  こからもあります。」と聞いて少しがっかり。

   「明日はここを双六に向けて歩きます。」
  と伝えたら、「うらやましいですね。明日は
  素晴らしい天気でしょうね。」

   抜戸岩を通った。
    抜戸岩
     だんだん視界が開けてくる。天気は確実に
  良くなっている。

   テン場が見えてきて、山荘まで最後の岩場
  の上りの大きな岩にペンキでガンバレと励ま
  しの言葉が書いてあった。

   ハイマツの実を食べているホシガラスがい
  て、山荘までの道のいたるところに食べ残し
  があった。
 
       山荘に着き、荷物を整理して着替えたのち
    外に出てみると笠ヶ岳がくっきりと見えだし
    た。

     笠には明日の早朝に登ることにした。

     夕食後は雲海の中から槍や穂高が見えてき
    た。風もないので寒さは感じない。

     夜は満天の星だった。
   ホシガラスの食べ残し  
   
  笠ヶ岳山頂部 
 
  雲海上の槍と穂高

                                                                     ≪続く≫

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