涸沢紅葉(奥穂高岳)


                         2010年10月5日〜7日


 「今年の秋は涸沢に紅葉を見に行ってみたい。」・・・あーちゃんが、2010年の山行計画を話して
いた今年の春に言った一言で秋の涸沢行きがすんなり決まった。
 せっかく行くのなら、紅葉の最盛期と天気がいいときが一致する日を決め、5日から7日が最適と
判断してスタートした。ついでに奥穂高岳にも登ってくることにした。
 ウィークデイにもかかわらず山小屋は満員だったが、素晴らしい天気と見事な紅葉を満喫できた。


  今回は新宿から高速バスを使った。上高地までの往復が一人8000円と安い。何より行き帰り
 にビールが飲めること、運転に気を遣わなくていいことが多少時間はかかったとして嬉しい。
  上高地は40年ぶり。釜トンネルも河童橋もその他の建物もみんな新しく立派になり驚いた。天
 気も思惑通り上々。40年前も確か10月の連休時で、そのときは上高地周辺もきれいに紅葉して
 いたが、今日の上高地周辺は紅葉はまだまだ。標高2000メートル以上では最盛期を迎えている
 だろうと期待してスタートする。

〈第一日目〉
      河童橋から見た穂高連峰は少し雲がか
  かっているが、やはり素晴らしい風景だ。

   今回は週の半ばのウィークデイでもあ
  るし、山小屋素泊まりで行くことにし、
  それでも寝袋だけは持っていった。

   ただ、あんなに山小屋が混んでいると
  は思わなかったのが唯一の誤算。

   横尾まで約11キロの平坦な道のりだ
  が、随分遠いなと感じる。
   どうも花が咲いていないのがそう感じ
  させるようだ。キノコ類はこの時期だか
  らいろいろ見られるが、キノコは全く詳
  しくない。

    河童橋から穂高連峰
 
    明神岳の上のほうはきれいに紅葉し
   ているのが見える。

    横尾まではほとんど木々の紅葉はな
   い。それでもいろいろな木の実、高山
   植物の実が、涸沢付近のものも含めて
   たくさん見られた。いくつか列挙して
   みる。

    はじめに明神周辺で見たマムシグサ。
   ついでカンボク?とマユミ。徳沢周辺
   で見たフッキソウ。フッキソウは、白
   い実と来年雪解け後に咲く蕾も一緒に
   見られた。
  マムシグサ  
 
   カンボク?  フッキソウ
 
   マユミは横尾までの実はまだはじけて
  なかったが、涸沢付近にあったマユミは
  中のオレンジの実がはじけていた。

   徳沢付近では、ツルリンドウが見られ
  た。この実は、花に比べてとても大きく、
  また、色がやや紫がかってきれいだ。

   さらにマイヅルソウやゴゼンタチバナ
  の実も、涸沢までの山道にたくさん見ら
  れた。


      
   マユミ
 
  ツルリンドウ  マイヅルソウ
      涸沢付近では、ツリバナ、ヒョウタ
   ンボクが赤い実をつけていた。
    
    さらにザンテングラードには、シラ
   タマノキの白い実も見られた。

    もちろん、ナナカマドの赤い実はた
   くさんあった。 
 
  ツリバナ   
 
   ヒョウタンボク シラタマノキ 
     さて、花は?というと、この時期はも
  うほとんど見られない。
   横尾まででは、徳沢付近でトリカブト、
  その後、ゴマナ、タカネコンギク、コウ
  シンヤマハッカ、アザミ、フジアザミの
  残り花があった程度。
   センジュガンピの小さな花も一つだけ
  見られた。

   横尾から上でヤマボクチも見られた。

 
 
    フジアザミ 
 
   横尾からは登山道らしくなり、ゆるい
  登りにかかる。

   屏風岩が見えてくる。垂直に切り立っ
  た岩の下部は黄色が多いが、しっかり紅
  葉している。

   本谷橋を過ぎると横尾本谷の右股方面
  の紅葉がきれいに見え、沢の水の白い流
  れとあいまって素晴らしい風景だ。

   さらに登ると、涸沢ヒュッテの屋根が
  ずっと遠くに見え、涸沢の紅葉を見なが
  ら歩く。北尾根も色づいてきている。

   上空は雲がかかっているので、陽のあ
  たらない紅葉は少し物足りない気がする。

   涸沢に近づくと岩だらけの道になり、
  あたりにはナナカマドの赤が多くなって
  素晴らしい紅葉が続く。
   特に、涸沢小屋との分岐あたりから上
  は見事だ。あーちゃんも「すごいね!す
  ごいね!」の連発。
 
 
屏風岩
 
  横尾本谷右股の紅葉 涸沢への道の紅葉
 

 


    涸沢ヒュッテ到着。

    大きなテラスがあり、人で一杯。さすが北アルプスの小屋だけあって、ここには生ビールも
   おでんもある。途中の宿泊施設も含めて、食事もできるし自販機もあり、トイレもきれいだ。

    北アや八ヶ岳はめったに訪れないが、山小屋のトイレも含めた最近の快適性にはびっくりす
   る。このルートでは、天候の急変や特別の事態が起こらないなら、食料も水も持たなくても十
   分に山旅ができそう。それに慣れてしまうのは怖いことだが・・・・。

    昔から山をやっていて、しかも北海道の山でしばらく過ごしていたたつさんにとって、ここ
   2300メートルの山の中に都会とあまり変わらない便利さがあるのはなんとなく違和感を覚
   える。しかし多くの登山者はこれが当たり前と思うのだろうし、女性の中にはきれいなトイレ
   があることが山に登る条件という話も聞く。

    近年、北海道の夏山で無謀とか安易と感じる事故が多く起きているが、自然の中で何日か過
   ごすための自己責任のあり方を今一度考えてみる必要性を痛感する。何もないことが一番であ
   るのは間違いないが・・・。

    それにしても最近は若い登山客をよく目にする。あーちゃんが「若い人が楽しそうに足早に
   歩いて追い越していくのを見ると元気をもらえる。」と言っていたが、若い人が多く山に戻っ
   てきているのは嬉しいし、自然の中で過ごすことの素晴らしさを体感してほしいと思う。一方
   で各施設にとっても多くの登山者の要望にこたえることも大事なのだろうと理解している。
    
    風は弱く吹いているだけなので寒さはない。
    部屋は満員。布団一枚に二人だそうでそれでもまだいいほうらしい。多少覚悟はしてきたが
   シュラフ持参は正解だった。

    明日の好天を期待する。


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