五色が原、化雲岳


                         2010年7月28日〜29日


 五色が原から化雲岳、忠別岳、高根が原、白雲を経由して大雪高原温泉へ下山する大雪の花を
満喫する計画を立てた。しかし天気が悪く、結局五色から化雲に行き、忠別避難小屋で泊まって、
翌日引き返すことになった。
 でも五色が原や化雲平の誰一人とも会わない「カムイミンタラ」のお花畑を十分に堪能できた。


  27日、クチャンベツの登山口に5時過ぎに着いた。雨は時々強く降っている。風はどうか分か
 らないがおそらく上のほうは強いだろう。天気予報では昼過ぎから雨となっているが、ここではす
 でに朝から雨。
  約1時間半待ったが停滞を決意し、層雲峡に戻った。層雲峡では雨は上がり曇りで風もなく、昼
 ころには時々薄日が差す天気。やっぱり行けばよかったかと悔やむが判断は判断。結局翌日の忠別
 避難小屋で先着の方から聞いてこの判断が良かったことが分かった。
  28日もNHKの予報では朝から雨。一方、山の天気予報では15時から雨となっており、行け
 るところまで行くことでクチャンベツをスタートした。

〈第一日目〉
      幸い雨は降ってはいない。

   車は3台のみ。
   入山届にあーちゃんが記載したところ、
  今日の日付では初めてだったとのこと。

   昨年から新たに設けられた登山道は、
  これで2回目だが、今までのほうがずっ
  と歩きやすく、距離も近かったような気
  がしてならない。

   沢を倒木の大木の橋で渡ると、登山道
  は小さな沢のよう。これが沼の原の木道
  までずっと続いた。今までの雨でかなり
  水量が増しているようだ。

   花はコバノイチヤクソウがところどこ
  ろ見られるに過ぎない。

   急斜面の登りでふと見ると、小さな花
  が二つ、見えた。コイチヤクソウだ。
   近くにも2つほど見られた。初めて見
  る花だ。
 
     コイチヤクソウ
 
    スタートから40分程度で急斜面を
   登りきり、「沼の原2K」の標識に着
   いた。木道入り口周囲も水量が多い。

    「ほらあ、トムラウシだ!!」「ホ
   ントだね。」と、ガスの彼方に、本来
   晴れていれば見えるはずのトムラウシ
   の姿を幻で見た二人がいた。
    
    沼の原分岐を過ぎて、ツルコケモモ
   が見られ、モウセンゴケも白い蕾を付
   けていた。モウセンゴケは晴れていれ
   ば花が開いているのだろうな?
    そのうち、ホソバノキソチドリとタ
   チギボウシがところどころに現われた。
   タチギボウシは何故か先へ進むほど開
   花している株が多かった。
  ツルコケモモ  
     
   ホソバノキソチドリ  タチギボウシ
 
   ガスはかかっているが見通しは結構効く
  のでうれしい。

   大沼は周囲の地面がほとんど隠れるくら
  いの水量だった。
   木道の架け替え工事が一部で行われてい
  て、通行禁止の箇所があった。木道のない
  ところは大きな水溜りがいたるところにあっ
  て、できるだけよけて歩いたが帰りには靴
  に水がしみこんできた。


   五色の水場の少し手前から蚊が襲ってき
  た。予想されたことですぐスプレイを使っ
  たが、二人とも何箇所か刺された。雨具を
  上下付けているが、ほんの少しの肌が出て
  いる部分をうまく探り当てられたようだ。

   水場からのぐちゃぐちゃ道はそれまでの
  雨で泥が流されたようで、比較的固い土が
  出ていて、「ぎゃあ!」ってなことには今
  回はならなかった。

   ここからの登りの途中に、タカネトンボ
  が二つだけ見られた。これもはじめて見る
  花だった。 
   タカネトンボ
 
   このあたりから、振り返ると晴れていれば大きな沼の原とその後ろに石狩の山々がみえるはず
  と、そんなこと言っても始まらないのに思ってしまう。

   沢を渡り、ジンヨウキスミレが5株ほど咲いているところがあった。残っている雪田が二箇所
  あったがいずれももう少しでなくなりそうだ。ただ表面は結構滑る。
   このあたりから、エゾコザクラ、チングルマ、アオノツガザクラがでてくる。
   また、道端には、ミヤマリンドウ、チシマヒョウタンボク、サンカヨウ、オオバタケシマラン
  も見られた。
 
     
   チシマヒョウタンボク  サンカヨウ
     
    標高1700mあたりから五色が原の核心部に入る。
    主に木道の左側にチングルマ、エゾツガザクラ、アオノツガザクラの大きな群落が続く。
   そこに時々ミヤマキンポウゲが混じる。

    比較的見通せるのでやはり素晴らしい光景だ。まだ雨は降らないのが幸い。
 
   
   
 
    足元には、チシマフウロ、エゾヒメ
   クワガタ、ムカゴトラノオ、ヨツバシ
   オガマ、エゾウサギギク、ミヤマリン
   ドウ、ウメバチソウなどが目を楽しま
   せてくれる。

    ただ、気になることは以前に比べて、
   ササが増えたことだ。木道を覆い尽く
   している箇所が2,3箇所あった。

    温暖化による環境の変化のなかでも
   乾燥化によるササの繁殖や増えるシカ
   の食害などが、特に木本でない多くの
   高山植物の減少を促進している大きな
   原因のではないだろうか?

    チングルマヤツガザクラ類はさほど
   でもないが、ヨツバシオガマやエゾウ
   サギギク、ミヤマキンポウゲ、チシマ
   ノキンバイソウといった花々が木道周
   辺で随分少なくなってきたと感じざる
   を得ない。

 
 
    エゾウサギギク 
      前方に五色岳が見えてきた
    このあたりから山頂にかけて、チシマノキンバイソウが左側、右側にも見られるが、これも
   以前の同じ時期に比べて少ないと思う。

    もっとも、20年程度前を知っている方から見たら100分の1程度に減少しているのかも
   しれない。
    よく写真に出てくる、あたり一面のチシマノキンバイソウとトムラウシの風景はもう過去の
   写真でしか見られないのだろう。

    でも、我々にとっては広大で素晴らしい花畑である。
     

               五色岳を望む
 
    チシマノキンバイソウ 
      ササ原の中で、クルマユリを計3株
   見つけた。
    まだ蕾のナガバノキタアザミの中に
   見られたものも、周囲はササに覆われ
   てきている。球根なので何とか増えて
   ほしいと願う。
  クルマユリ 
      山頂までもう少しのところにホソバ
   ウルップソウの群落があったが、もう
   すでに花は落としていた。

    ここにはシロウマチドリがいくつか
   見られた。ミヤマアケボノソウもある
   とのことだったが、まだ咲いていなかっ
   た。

    さらに山頂近くでハイオトギリの満
   開の株が見られた


      
  シロウマチドリ 
 

 

    五色岳山頂到着。
    とうとうここまで雨に降られずに済んだ。また風も時々吹いたが強風というものではなく、
   眺望は効かなかったが五色が原を二人占めしてしまった満足感があった。

    ここまでの間で、五色の水場付近で2パーティ4人にお会いしただけだった。


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