忠別岳(高根ヶ原)


                          2013年7月13日


  2010年7月下旬には、クチャンベツから五色が原を通って忠別避難小屋で一泊し、
 高根ヶ原を歩いて白雲避難小屋に泊まって帰ってくる計画を立てた。北海道に行く前の天
 気予報は概ね良好だったが、道内に入って2日目から崩れ始めた。予定の日はクチャンベ
 ツまで行ったが雨が強く、結局その日は断念した。翌日も雨は降ってはいないものの霧で、
 行けるところまで行こうということになり、忠別避難小屋までは行けたが、その翌日は雨
 と風で帰り便の予定もあり、クチャンベツに引き返したことがある。今回は何としても高
 根ヶ原を歩きたい。


  12日の夕方は夕立があった。小屋の中だったので濡れることはなかったが、今日の天気に一抹の不安は
 あった。

     空が薄明るくなってきたころからゴソゴソ
  起きだす人たちがいる。

   今日は高根ヶ原往復なのでそんなに早く出
  ることはないが、寝てもいられない。

   4時過ぎに外に出てみると、高根ヶ原の上
  を雲が流れているもののトムラウシの頭が見
  え、陽が差し込んでいるのがわかる。

   今日は天気がいいだろう。
    日の出時刻の高根ヶ原に雲が流れる
     ゆっくりとパンとコーヒーとチーズとミニ
  トマトで朝食を食べ、荷物を整理して必要な
  ものだけをアタックザックに詰めて出発する。

   それでも5時半だ。高根ヶ原を通って忠別
  の避難小屋やヒサゴ沼の避難小屋に行く人が
  どんどん出ていく。

   小さな雪渓を斜めに歩いて、ナナカマドの
  低木やハイマツを過ぎると台地上に着く。高
  根ヶ原の入り口だ。さっそくチシマキンレイ
  カとコマクサ、エゾツツジが迎えてくれた。
  チシマキンレイカ
       今日の行程は往復で約16キロ。

     白雲避難小屋の標高が1990m、忠別岳
    は1962m、高根ヶ原の最低鞍部は171
    4m、280m下がって250m登る。帰り
    はその逆だ。

     したがって、ゆるーい上り下りの、山とし
    てはほぼ平坦な道である。

     振り返ると白雲岳が青空に映えて見えた。

     そして前方の高根ヶ原にかかっていた雲が
    消えてきた。
  エゾツツジ
   
  白雲岳
   
  雲が切れた高根ヶ原と忠別、トムラウシ
     ホソバウルップソウが出てきた。数はもの
  すごい。穂先に紫の花が少しついているもの
  もあるにはあるが、多くが花をつけてない株
  ばかりだ。

   足元は、キバナシオガマ、チシマキンレイ
  カ、エゾツツジなど、黄色とピンクが目立つ。

   このあたりまでは8年ほど前に一度来たこ
  とがあり、7月上旬だったためイワウメの見
  事なカーペットだった。しかし今は小泉岳周
  辺で見たイワヒゲの花盛りだ。

   レブンサイコの蕾がもうすぐ開こうという
  状態になっていた。
  ホソバウルップソウ
       コマクサがすごい数だ。

     八ヶ岳にある硫黄岳の山小屋周辺がコマク
    サ日本一だそうだが、おそらくそれ以上じゃ
    ないだろうかとあーちゃんと話す。

     ほかにもクモマユキノシタやシロサマニヨ
    モギが見られる。

     とにかく広い。空も台地も広い。最高に爽
    快な気分だ。
     
  レブンサイコ
 
   クモマユキノシタ  シロサマニヨモギ
 
   リシリリンドウも白雲分岐で見たような小
  さな株ではなく、大きな株がたくさんある。
  ただ、まだ朝が早いせいか、開き切ったもの
  が少ないので、帰りに撮ることにする。

   高原温泉への三笠新道分岐に来た。三笠新
  道は現在通行禁止でトラロープが張ってある。
  理由はヒグマの出没だ。ここを下った高原沼
  一帯はヒグマの住処だ。

   このあたりにもホソバウルップソウがあり、
  よくあたりを探したら一株だけ咲き始めのも
  のがあった。

   コマクサがまたも出てきた。
  ホソバウルップソウ
       われわれよりも5つ、6つは年齢の高いだ
    ろう男性が一人、80リットルはあるザック
    を担いで後ろから近づいてくる。「今日はヒ
    サゴですか?」と尋ねると、「テントだから
    気の向くままさ。ヒサゴかもしんねえし、南
    沼にするかもね。」とスタスタ追い抜いて元
    気良く歩いて行った。

     感心しきりだった・・・・。

     ボクらもこれからもあのくらい元気で山に
    登れるだろうか? 少なくとも健康と体力の
    保持は大事だよね。
  コマクサ
     左手下方に大雪高原の沼が見えてくる。お
  そらく空沼と思われる。

   高原沼は大小たくさんの沼から構成されて
  おり、高原温泉から木道がついていて一周で
  きる。特に秋の紅葉はそれは見事だ。ただヒ
  グマの出没が多いので、その時期は常に監視
  員が見張っていてくれ、状況によって半周し
  かできないときもある。
  左手下方に高原沼が見えた
     カラフトゲンゲと思われる花が出てきた。
   チシマゲンゲという情報も見ていたが、実
  がつかないとその違いは分からないのでカラ
  フトゲンゲとしておく。

   表大雪で初めて見た花だ。
    カラフトゲンゲ

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