赤石岳


                           2022年8月2日


    赤石岳には7年前に挑んだことがある。この時は悪沢岳を越えて南アルプス随一のお花
  畑を堪能し、荒川小屋に着いたところで雨になった。昼食と雨宿りを兼ねて雨が上がった
  あと向かったが、一帯にはガスがかかり、東尾根の分岐付近で上から降りてきた2人組の
  男性から、全く何も見えなかったと聞いて登頂をあきらめ赤石小屋に降りたことがあった。

  その時以来の赤石岳である。昨日、中盛丸山でネットがつながっていたので今日の天気予報を見てみ
 るとほぼ一日晴れだった。赤石岳からの眺望が望めることを期待して出発した。

     今日は赤石小屋泊まりであり、今回の縦走
  で一番余裕がある日なので、小屋を出たのは
  最後から2番目だったと思う。

   テント場を過ぎると急な登りとなり、前方
  にこの登りを歩いている人たちが見える。

   一昨日、昨日と風は弱かったが、今日は少
  し吹いている。そのためか朝早いためか登り
  でも汗はかかない。

   標高差250mを登って百間平の入り口に
  着いた。南アルプス北部の山々がまず目に飛
  び込んできた。すごい景色だ。
    素晴らしい景色
     東に進んでいるので、赤石岳の方角から陽
  が出てきており、赤石岳は逆光になっている。

   背の低いハイマツの中に、ゴゼンタチバナ
  やウサギギク、コバノコゴメグサ、タカネツ
  メクサなどが見られた。
  逆光の赤石岳 
 
  ウサギギク コバノコゴメグサとタカネツメクサ
     15分ほどで百間平に着いた。とにかくす
  ばらしい眺望だ。やや後方を見ると遠く白山
  が見える。さらに御嶽山や北アルプスも槍の
  穂先まで見える。

   右手を見ると百間平の標識の向こうに昨日
  登った聖岳から兎岳などが見える。

   さらに左前方に目を向けると、南アルプス
  北部の山々、遠方に仙丈ヶ岳、北岳と甲斐駒
  の頭の部分、間ノ岳、少し手前に塩見岳が山
  座同定できた。

   さらに一番手前は悪沢岳、千枚岳、赤石岳
  だ。
    百間平標識と聖岳
 
  百間平から南アルプス北部の山々と悪沢岳、千枚岳、赤石岳
     言葉もなくしばらく立ち止まって眺めてい
  た。最後に小屋を出た方が追いついて、すご
  い景色ですねと通り過ぎて行った。

   百間平を過ぎると馬の背と呼ばれる尾根歩
  きとなる。短い尾根だが風がさわやかなこと
  もあって気持ちが良い。

   前方を見ると、赤石岳の山腹の大斜面をト
  ラバースしていく人が見える。この斜面は岩
  だらけで南アルプスの山としては特異だ。

   エゾシオガマやミヤマダイコンソウが見ら
  れ、タカネヤハズハハコも咲き始めていた。
    エゾシオガマ
     トラバース道はきれいに整備され、とても
  歩きやすくなっているが植物は一つもない。

   とにかく山自体が大きい。

   トラバースを過ぎるとガレ場のジグを切っ
  た登りとなり、ミヤマダイコンソウやチシマ
  ギキョウなどが現れる。

   さらに登ると赤石岳避難小屋が見え、左の
  小さな尾根に出ると前方に富士山が見えた。
  赤石岳避難小屋
       赤石岳避難小屋に近づくとそこはお花畑に
    なっていて、チシマギキョウやミヤマダイコ
    ンソウのほかに、ヨツバシオガマやキバナノ
    コマノツメ、ハクサンイチゲ、チングルマ、
    コバノコゴメグサなどが咲いており、イワカ
    ガミも一株残っていた。

  山頂付近で見えた富士山
 
  ヨツバシオガマ キバナノコマノツメ
 
  ハクサンイチゲ チングルマ
     まずは山頂だと避難小屋を右に見てすぐ先
  の頂を目指す。

   やや風はあるものの、快晴で360度見渡
  せる。今まで見た景色の中でも圧巻だ!!

   深田久弥が「日本百名山」の赤石岳の中で
  『私の記憶にあるあらゆる頂上の中で、赤石
  岳のそれほど立派なものはない。それは実に
  おおらかな風貌をそなえている。広々として
  いるがただの緩慢ではなく、キリッとした緊
  まりがある。これほど寛容と威厳を兼ねそな
  える頂上はほかにあるまい。』と書いている。
    赤石岳山頂標識 

                                                                      ≪続く≫

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