赤岳・白雲岳・緑岳


                         2015年8月6日


   友人2人と計3人で大雪連峰の山々を歩いてきた。ここ何年か4人や5人のグループで
 山に登っているが、そのうちの一人が大雪にぜひ行きたいという。そこで、層雲峡まで入
 り銀泉台から赤岳、白雲岳、緑岳に登って白雲避難小屋で泊まる計画にした。

  昨夜から雨が降り続いている。朝は止む時間もあるが強く降るときもある。銀泉台へのバスを待っている
 間も強く降ってきた。バスの乗客は全部で5人。
  われわれ以外の二人は銀泉台で降りはしたが、また戻りのバスに乗って帰っていった。北海道のひとで、
 白雲でテント泊の予定だったが、こんな日に登っても景色も見えないし、またの日にしようと判断して車上
 の人になった。
  われわれはそうはいかない。おそらく午前中で雨は上がるだろうと歩き出した。

     赤岳登山口まで林道を歩く。ここは以前、
  大雪山を横断して東川町へ抜ける観光道路を
  作る計画があったところで、一部にその痕跡
  が残っている。

   コバノイチヤクソウやエゾノレイジンソウ、
  ミヤマアキノキリンソウ、オオバミゾホウズ
  キなどが少し咲いていてきれいなウメバチソ
  ウがあった。

   少し登ったところで、Sさんが「ここは紅
  葉がきれいだろうなぁ」と言ったので、秋に
  はここまでは紅葉の写真を撮りに大勢の観光
  客が来ると教えてあげた。 
    ウメバチソウ
     第一花園にはモモジカラマツやウサギギク、
  ミヤマホツツジ、アオノツガザクラなどが見
  られたが、この辺りのチングルマは花が終わ
  って綿毛をつけていた。

   雨に打たれた綿毛もきれいなものだ。
    アオノツガザクラ
       第二花園、奥の平ともに雪渓はとけて夏道
    となっている。奥の平には斜面下部に雪が少
    し残っていたが、この時期に雪渓を歩かない
    のは初めてだ。

     エゾウサギギク、エゾツツジ、エゾコザク
    ラが見られた。エゾコザクラは雨で花弁が下
    を向いている。

     エゾツツジはその後、まばらで見られたが、
    咲いているのは残り花でもちろん数が少ない。

     雨脚が弱くなって、時々止むようになった。
   チングルマの綿毛
 
  エゾウサギギク エゾツツジ
     アオノツガザクラと少しのエゾツガザクラ
  があり、チシマクモマグサがきれいに咲いて
  いる。

   花に詳しくないNさんも、「この花はきれ
  いだな。」と声を発していた。

   コマクサ平に着いた。雨はほとんど止んで、
  空が明るくなってきた。いい流れだ。

   コマクサはもう終盤。雨の影響もあるが色
  は褪せてきている。イワブクロもあった。こ
  の辺りでは7月中旬までなら大雪にしかない
  キバナシオガマが見られるがもう終わってい
  た。
  コマクサ
       近くの山並みが見えるようになり、時々雨
    は来るがレインウェアも脱いで歩き出す。

     マルバシモツケが咲いていた。

     第3雪渓は全く雪がない。ここは全く夏道
    がなかったこともあるが、8月中旬で雪がな
    かったことは記憶にない。

     タカネトウウチソウがいくつもあるが、雨
    に打たれてなんとなくみすぼらしい。

     ミヤマサワアザミやヨツバシオガマ、ユキ
    バトウヒレンが見られた。
  イワブクロ
 
  マルバシモツケ ヨツバシオガマ
       第3雪渓と第4雪渓の間でチシマツガザク
    ラが咲いており、これは大雪の山中でたくさ
    ん見られた。Sさんは初めて見たこの花が大
    層気に入ったようだ。

     第4雪渓ももちろん夏道。エゾヒメクワガ
    タやチングルマ、ミヤマリンドウ、ミヤマキ
    ンバイ、アオノツガザクラ、エゾコザクラ、
    エゾツガザクラ、エゾウサギギクなどが見ら
    れた。
  ユキバトウヒレン  
 
   チシマツガザクラ エゾヒメクワガタ
 
  ミヤマリンドウ ミヤマキンバイ
     赤岳山頂に到着。お鉢は見えるがお鉢を取
  り囲む山々は山頂部が見えない。白雲山頂が
  中に隠れている岩山は時々顔を出すが、旭岳
  はガスの中だ。

   幸い風が弱くここでしばし休憩する。

   この間、一人も出会っていない。このコー
  スで登りも下りも一人にも出会わなかったの
  は初めてだ。出発しようとする頃、一人の若
  者が傘をさして登ってきた。

   白雲分岐に向けて歩きだす。大雪山固有種
  のエゾハハコヨモギが見られた。
  エゾハハコヨモギ
     「やぁ、雄大だね!」「大雪ってすごいね」
  この言葉を今回の山旅で二人から今回何度聞
  いたことか。

   白雲分岐までのひろ〜い、ひろ〜い礫地の
  高原には、メアカンキンバイやタカネツメク
  サの残り花、イワツメクサ、そしてこれも大
  雪山固有種のキバナシオガマの残り花が見ら
  れた。二人に見せたかった花だ。

   Sさんにこの花を指さして、「花の形をよ
  く見て名前を言ってみて」と伝えたら、「キ
  バナシオガマ」と見事に言い当てた。写真の
  ものは白雲避難小屋付近にあったものである。
  キバナシオガマ
     少ない草地にはムカゴトラノオがもうムカ
  ゴをつけて咲いていた。

   また礫地に良く咲く、メアカンキンバイも
  見られた。

   白雲分岐近くにはリシリリンドウが咲いて
  いたが、どういうわけか茎が根元から折れて
  いたものが多かった。茎も葉も黄色くなって
  いたので強風で折れてしまったのだろうか?
  ムカゴトラノオ
      白雲分岐に到着。ここにも人の姿がなかった。
  メアカンキンバイ

                                                                ≪続く≫

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