夕張岳(蛇紋岩崩壊地まで)


                           2016年7月31日


   ニペソツ山から下山し、帯広に宿をとった。当初の計画ではニペソツをゆっくり歩くので
 夕方帯広に着き、翌朝夕張まで走行して夕張岳ヒュッテに荷物をおき、この日は途中まで花
 を探しながら歩いてヒュッテに泊まり、翌日山頂付近まで登ることにしていた。
  しかし結果としては8月1日の天候状態と登山道の状況から1日は登ることを断念した。

  北海道に住んでいた10年以上前までは、お盆の時期でも予約などしなくても行ったところで宿は見つけら
 れた。しかし最近は海外の旅行客が多くなり、かなり前もって宿を確保する必要がある。
  夕張岳ヒュッテに一泊するので荷物を仕分けし、翌朝出ようとしたら帯広は雨が降ってきた。相変わらず天
 気は不安定だ。

     道東道は途中雨が降ったりやんだり。ただ
  夕張市内に入ったら少し晴れ間も覗きだした。

   この日は日曜日なので駐車場は相当混雑し
  ているだろうと予測していたが、10台くら
  いで奥の方の路肩に駐車できた。やはり道内
  の登山者は最近の天気を見定めて訪れてない。

   気温も高く風がないのでヒュッテまで20
  分の間に汗が噴き出す。

   3年前に建て替えられたヒュッテに泊まる
  のは初めてだ。手続きをして荷物を預けて歩
  きだす。

   すぐにウメガサソウが見られた。
  ウメガサソウ
     ウメガサソウを見たのは初めてである。こ
  れは幸先がいいな。

   林の中をゆっくり登るが、湿度と気温が高
  く風もないので大量に汗をかく。

   エゾアジサイがところどころに爽やかなブ
  ルーを見せてくれる。エゾヒョウタンボクが
  見られた。これも初めて見る花だ。

   ほかにはズダヤクシュやミヤマトウバナ、
  キンミズヒキなどが見られる。ここの登山道
  を歩くのは4年ぶりであるが、以前よりも道
  が雨によってえぐられたように感じる。
    エゾアジサイ
       1時間ほど歩いて冷水の沢に到着。

     水量が多い。ヒュッテの管理人の話ではこ
    このところ毎日雨が降っているそうだ。

     冷たい水がおいしい。帽子も水に濡らして
    かぶると冷たく気持ち良いので、水につけて
    木の枝にぶら下げておいた。

     すぐ近くにフキユキノシタが咲いていた。
    この花は夕張では初めて見た。

     ここからは花の数が増えてくるので、一休
    みしてから歩き出す。
  エゾヒョウタンボク
       少し歩いて帽子を置き忘れたことに気づい
    た。帰りはここを通るつもりはないので取り
    に戻る。今日は15時から16時の間にヒュ
    ッテに戻れるところ辺りまで歩くつもりなの
    で、戻る時間がもったいないなんて言う感じ
    が全くない。

     戻る途中で登ってきた時見なかった花に出
    会えたのが嬉しかった。

     アリドオシランがたくさん咲いており、こ
    れも夕張で初めて見たコイチヨウランに出会
    えた。背丈がせいぜい10センチ、花の径は
    7〜8ミリほどの小さなランである。

     そして咲き終わって実の形になったギンリ
    ョウソウがあった。この形は他の山でも見て
    いるが何という植物か分からなかった。今回
    改めて調べてみたら、花が終わって実となっ
    たギンリョウソウであることがわかった。
  フキユキノシタ
 
  アリドオシラン コイチヨウラン
       花はこの後、ツルリンドウやヨツバヒヨド
    リ、コバノイチヤクソウなどが現れ、前岳の
    沢に出た。

     ここからすぐに、馬の背コースとの分岐と
    なりやや急な道を登る。

     ホソバキソチドリが現れ、まもなく石原平
    に出た。ここはシラネアオイの群生地である
    が、もう終わっており種をつけていた。ここ
    には以前クルマユリが見られたが、見たのは
    1回だけで、今回も咲いていなかった。

     ヤマラッキョウが岩の上にあり、ダイモン
    ジソウが咲き始めていて、シュロソウが一株
    咲いていた。
  ギンリョウソウ花後
   
  ホソバキソチドリ シュロソウ
     ここまでで雨が2回落ちてきたが、通り雨
  のようですぐに止んだ。ほどなく望岳台に到
  着。到着して昼食を終えた後、風が出てきて
  雨が今度は長く降ってきて雨具を着こんだ。

   上から足早に登山者が降りてくる。

   望岳台にはカノコソウが咲いていると多く
  のガイドブックに出ているが、今まで何回も
  登っているのに一度も見たことがない。今回
  初めてこれが見られた。やや終わりかけの花
  ではあったが、2株咲いていた。

   ここからはがぜん花が多くなってくる。

   ミソガワソウ、チシマノキンバイソウ、エ
  ゾウサギギク、シオガマギク、オオバミゾホ
  ウズキ、アカモノ、エゾグンナイフウロ、イ
  ワイチョウ、ヒオウギアヤメ、ハクサンボウ
  フウ、アラシグサ、オニシモツケなどだ。
     カノコソウ
 
   ミソガワソウ チシマノキンバイソウ
 
  エゾグンナイフウロ オニシモツケ
     憩沢に着いた時には雨は止んだが、霧が濃
  くなってきた。雨が降ったのは30分程度だ
  った。

   前岳湿原でこれもここでは初めて見るシロ
  ウマチドリがいくつも咲いていた。

   望岳台のカノコソウといいシロウマチドリ
  といい、夕張岳には7月中旬から8月上旬に
  かけて何度も登っているが、初めて出会った
  ということは、タイミングがいいというか運
  が良かったというしかない。

   前岳湿原にはミヤマアケボノソウも7月下
  旬から咲いているが今回は一株も見えなかっ
  た。

   咲き始めのエゾウサギギクがここでも見ら
  れた。
 
  シロウマチドリ
       登山道はここから笹かぶりがひどくなる。
    夕張岳の登山道でこれほどササが刈られてな
    いのは初めて。背丈より高いところも多く、
    登山道が隠れて見えないのでかき分けながら
    進むしかない。あとでヒュッテの管理人に聞
    いたら、刈る許可は得ているが天気が悪くて
    整備できていないと言っていた。

     ひょうたん池を過ぎて蛇紋岩崩壊地に着い
    た。風が出て霧の中でやや寒い。

     ここにはカトウハコベ、シロウマアサツキ、
    アズマギク、チシマワレモコウ、ホソバトウ
    キが見られた。ホソバトウキもここでは初め
    て見る花だ。
  エゾウサギギク
       時計を見ると13時半だ。できればこの先
    の湿性お花畑までと思っていたが、この天気
    ではシロウマアサツキの大群落は見れそうに
    ない。

     山頂まで行っていた最後の3人組が降りて
    きたこともあって、ここで引きかえすことに
    した。
  ホソバトウキ
     15時半にヒュッテに着いた。新しいヒュ
  ッテは二段ベッドで中はまだ新しい畳敷きだ。
  ユウパリコザクラの会の会員が寄付を募って
  廃材などを利用して立てた小屋だ。

   今日は泊り客は一人。管理人さんも札幌の
  人で管理人業務は今日が初めてだという。会
  の人がかわるがわる秋までボランティアで管
  理している。

   太陽光発電で電気を得ており、中はランプ
  型の電灯にLED電球をつけている。入口や
  トイレの入り口も人が立つと点灯する仕組み
  になっていてとても工夫されている。なんで
  も酔った複数の会員が階段から足を踏み外し、
  トイレにも自動点灯させるべきということか
  ら点いたとか。

   持参して冷やしておいたビールが美味い。

   営業小屋ではないため、寝具、食糧は持参
  だ。管理人さんも当然自炊。夕食にはジンギ
  スカンとみそ汁をごちそうになり、持参した
  ものに加えて豪華な夕食となった。


ヒュッテ内部
   
       夕食後は消灯まで二人で酒を飲みながら、
    北海道の話や山の話に花が咲いた。

     天気が良くないし、道も悪いし、一方で結
    構新しい花も見られたということで明日の登
    山は五分五分かなと思って寝についた。

     翌朝、ヒュッテの前の川は白く濁っていた。
    昨夜雨が降ったためだ。ここは沢の下流の樹
    林帯の中にあるが、風が吹いている。空は一
    部晴れているが雲の流れが早い。携帯が通じ
    ないので天気予報はラジオだけの情報だが、
    今日も不安定で北空知には大雨洪水警報が出
    ている。

     今日の山頂までは中止し8時ころまでヒュ
    ッテでノンビリしてから下山することにした。
  夕張岳ヒュッテ
 

 


    下山し、車で市内のユウパロの湯に行った。そのころから雨。風呂から出て、千歳空港へ向か
   う途中も降ったりやんだり。千歳ではやや激しく雨が降っていた。今日の中止は正解と思いたい。

    夕張岳は途中までだったが、ここで初めて見た花が数種類あった。また撮り直したい花もかな
   り撮れた。何より新しいヒュッテに泊まってゆっくりしたことで、天候不安定な今回の山旅が心
   地良いものに変わった気がする。


   ヒュッテ 9:26  冷水の沢 10:30  前岳の沢 11:11  石原平 11:40

   望岳台 11:48  ひょうたん池 13:12  蛇紋岩崩壊地 13:25  馬の背・冷水

   分岐 14:30  ヒュッテ 15:25


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