ここから荒川小屋に向けてさらに下って
  いくが、その途中になんとイワインチンが
  咲き始めていた。

   この花は秋の花だ。通常8月下旬から咲
  き始め、去年は9月下旬の鳳凰三山できれ
  いに咲いている花にたくさん出あった。

   また、マツムシソウが千枚岳を越えたと
  ころでも見られたが、ここでも開花してい
  た。
  イワインチン
       千枚岳からここまで、雪解け後に一番に咲
    くウラシマツツジやコメバツガザクラはもう
    残っていなかったけれど、初夏でも早くに咲
    くキバナシャクナゲやイワウメが残っていた
    し、また盛夏から咲くシロバナタカネビラン
    ジやシコタンハコベ、トリカブト、マツムシ
    ソウ、さらには秋の花のイワインチンまでが
    この時期に咲いていたのが見られた。

     このような不思議な状態は初めの経験だ。

     ミヤマダイコンソウ、シナノオトギリが咲
    いていた。シナノオトギリはまだ咲き始めで、
    蕾の赤がきれいだ。
  マツムシソウ  
 
  ミヤマダイコンソウ シナノオトギリ
     荒川小屋に着いて、小屋で食事を注文し、
  靴を脱いで中で少し長く休憩することにした。

   しばらくすると急にガスが出て、雨が降り
  始めた。今までの晴れ間からは予期していな
  いことだった。結局小屋で50分ほど休憩し
  た。

   幸い、雨具を着るほどではなく時々霧雨と
  なるガスの中、大聖寺平に向けて歩きだす。

   ウサギギク、ツマトリソウ、ハクサンシャ
  クナゲが新たに見られた。
    ウサギギク
 
  ツマトリソウ ハクサンシャクナゲ
     大聖寺平から小赤石岳の頭までやや急なジ
  グザグの登りとなる。

   尾根上に出るころはあたりはガスに包まれ
  て視界が悪い。

   そんなとき、ライチョウの親子に出会った。

   ハイマツの陰に雛が2羽餌を探していた。
    ライチョウの親子
     再び標高は3000mを越えた。

   ここではアカイシミヤマクワガタが新たに
  見られた。これはミヤマクワガタの一種であ
  るが、通常は青紫であるのに対して南アルプ
  スのものは濃いピンクをしている。赤石岳で
  発見されたのでこの名がついたのだろう。

   視界は効かないが風はなくなっていた。

   ミヤマキンバイも見られた。
  アカイシミヤマクワガタ
       赤石岳と赤石小屋との分岐に来て、山頂へ
    は25分程度だが、眺望が効かないので行か
    ないことにした。

     ちょうど、山頂方面から若者2人が降りて
    きた。「どうだった? 眺望は?」「まった
    く見えませんでした」

     北沢源頭に向かって下る。

     バイケイソウとテガタチドリが見られた。
    いずれの花も咲き始めでとてもきれい。
  ミヤマキンバイ
 
  バイケイソウ テガタチドリ
     北沢源頭付近もずっと花が続く。

   雪田性のコイワカガミ、チングルマ、アオ
  ノツガザクラ、ハクサンイチゲなどに加えて、
  クロユリ、ミヤマキンポウゲ、シナノオトギ
  リ、シナノキンバイ、バイケイソウ、ウサギ
  ギク、ハクサンフウロ、イブキジャコウソウ
  などなど。

   また、コイワカガミやミヤマキンポウゲ、
  シナノキンバイなどは株が大きいうえ、花の
  色が鮮やかだった。
  コイワカガミ
       分岐から北沢源頭を通って富士見平までは
    実際に歩いてみると2.5万図には現れない
    小さなアップダウンがかなり続く。

     今まで歩いてきた疲れもあり、かなり長く
    感じる。あとで見てみるとコースタイムより
    15分程度遅いだけだったが・・・。

     途中でエゾシオガマを今回の山行で初めて
    見た。
  ミヤマキンポウゲ
       富士見平への途中の2700m付近でとて
    もきれいなダケカンバの林が現れた。

     小雨に濡れていたことも美しさを増幅して
    いるのかもしれないが、思わずシャッターを
    押した。

     岩場にダイモンジソウは一株だけ花をつけ
    ていた。

     休憩時間も含めてであるが、花を撮るため
    に立ち止る時間も多く、この日の行程は11
    時間40分で、われわれの山旅では最も長
    くなった一日だった。
  エゾシオガマ
 
  ダケカンバの美林 ダイモンジソウ
     赤石山荘までは霧雨が降ったりやんだりだ
  ったが、夕方には赤石岳も時々見えていた。
  ただ夜になって雨と風の音が聞こえた。

3日目

   出発時はさほどではなかったが、途中一時
  少し強く降った。それでも大した雨ではなか
  ったものの、椹島に着いた時は雨と汗でびっ
  しょりだった。
    ハクサンフウロ
 

 


     南アルプスの奥深い山々とたくさんの花々、広大なお花畑を堪能した山旅だった。

     梅雨明けしたと同時に入ったので、後半は天気が悪かったものの、主要ルートでは好天に恵まれ
    素晴らしい3日間だった。


   椹島 5:43  清水平 9:12  駒鳥池 11:48  千枚小屋 12:35

   千枚小屋 4:00  千枚岳 4:55  悪沢岳 6:43  中岳 8:40  荒川小屋
   9:57  大聖寺平 11:23  小赤石岳 12:50  赤石小屋 15:40

   赤石小屋 5:30  椹島 8:38


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