樽前山


                          2017年7月17日


   今年の北海道の山旅の最後は夕張岳を計画していたが、昨年8月の北海道を襲った台風によ
 って林道が一部崩壊し、通行できなくなっている。今年中の復旧ができないことがわかり、樽
 前山に変更した。

  樽前山は苫小牧在住時に良く遊びに行った山である。簡単に登れてスケールの大きなわれわれ二人にとっ
 ては懐かしい場所である。あーちゃんにとっては12年ぶり、たつさんは2年ぶりになる。

     2日前までの天気予報では樽前山のある苫
  小牧は朝から雨だったが、昨日になって午前
  中の後半までは曇りに変わり、夕方になって
  確認したら午前中一杯は曇りになっていた。

   前日は千歳に泊まっていたので、比較的早
  くに宿を出発した。今日は3連休の最終日な
  ので、駐車場がいっぱいになることが予想さ
  れたためだ。

   ついてみたら予想に反して数台が停まって
  いるだけで、整理をしてくれる人が一人いた。

   トイレが新しくなっていた。支度をして歩
  きだす。
    登山口
     上空には青空が見える。駐車場までの道か
  ら樽前山が見えるところがあるが、山がくっ
  きり見えていた。

   登山口から数分登ると視界が開けて支笏湖
  が一望できる場所があり、ここにベンチがい
  くつか置かれている。そこで景色を見ながら
  朝食を摂ることにした。

   あーちゃんが、「これこれ、この景色。」

   日蔭になっているベンチで朝食を摂り、歩
  き出す。さっそくミヤマホツツジの咲き始め
  が見られた。
    支笏湖を望む 
       ここからしばらく樹林帯の道になるが、マ
    イヅルソウがたくさん見られる。もう花はす
    べて終わって実をつけていた。

     マルバシモツケの残り花も見られた。

     樽前山は活火山であり、花の種類は少ない
    が、数種類の花はそれこそたくさん見られる
    ものがある。マイヅルソウもそのうちの一つ。

     樹林帯が一部切れたところで風不死岳と支
    笏湖が見えた。あーちゃんが、「ここは紅葉
    もきれいだけど緑もきれいだね。」
   ミヤマホツツジ
 
  マイヅルソウ マルバシモツケ
       ほどなく樹林帯が過ぎ、火山礫や火山灰の
    積もった崩れやすい道を山肌に沿って登る。

     左手に今日は太平洋も見えてきた。すぐに
    樽前山の花、イワブクロが出てきた。この花
    はこの山に多いことから別名タルマイソウと
    も言われているが、樽前山がタルマイサンと
    も呼ばれるからなのだろう。

     ここからずっとこの花が続く。まだ咲き始
    めでこの山全体に咲く花だ。
   風不死岳を望む  
       次いでシラタマノキの花。これもこの山全
    体に見られ、秋になると花よりも大きな白い
    丸い実をつけ、この実がサロメチールのにお
    いを放つ。

     そしてモウセンゴケが見られた。

     まだ蕾をつけているだけだったが、樽前山
    を一周して戻る地点で一株だけ白い花をつけ
    ているのが見られた。
  イワブクロ
 
   シラタマノキ モウセンゴケ
 
    モウセンゴケは通常湿地帯に生育する食虫植物である。これがなぜ火山の樽前山のしかも岩の
   隙間にあるのか? 樽前山は非常に霧の多い山である。関東地方が梅雨明けするころ以降は特に、
   この山のある苫小牧は毎日のように霧がかかり、視界が数十メートルという時もある。それが8
   月中旬まで続く。そんな山なので霧を水分として十分に生育できるらしい。

    登山口から朝食を含めて1時間ほどで、山頂近くに到達し、溶岩ドームと西山が目に入った。

   
  西山と溶岩ドーム
     樽前山は溶岩ドームを囲んだ溶岩丘になっ
  ていて、そこに道がついているが火口には降
  りられない。写真にドームに向かって道らし
  きものがあるが、これは観測用で一般の人は
  歩くことができない。

   溶岩丘に沿って東側の山頂まで行き、そこ
  から時計回りに丘を4分の3周して、支笏湖
  を見ながら下山するルートを歩く。

   山頂標識から南に向かい、樽前神社の奥宮
  を通って西、北と溶岩ドームの周りを歩く。
  山頂からの溶岩ドーム
 
  西側から見た溶岩ドーム 北側から見た溶岩ドーム
     溶岩ドームを西から見るあたりから、太平
  洋からの霧がかかってきた。

   このあたりにもイワブクロが群生し、シラ
  タマノキやオンタデの群生の中にイワギキョ
  ウが見られるようになってくる。
  イワブクロ
       北側からドームを見るころには霧はなくな
    ったが、青空も見えなくなってきた。

     以前ここを歩いて必ず休憩した岩の横で今
    回も休憩。あーちゃんが、「これ。これ。こ
    の景色よ。懐かしいなぁ。」

     支笏湖が見えだして振り返ると、溶岩丘の
    最高地点が見え、この位置が樽前山でもとて
    もきれいな景色だ。
  イワギキョウ   
   
  山頂部と溶岩丘
     ゆるい下り道の樹林帯に入る少し手前で、
  オニノヤガラが一株花をつけていた。

   ラン科の腐生植物でわれわれも初めて目に
  した花だ。

   駐車場に戻ると車はほぼ一杯だったが、路
  肩に停める車はなく、予想外だった。いつも
  なら土日は大変混む山だが、この日は天気が
  昼から崩れる予報が出ていたためかもしれな
  い。

   予報よりもずっと早く、支笏湖温泉に向か
  う途中から激しい雷雨になった。あと20分
  遅かったらずぶ濡れになっていたことだろう。
  間一髪、雨に遭わず静かな樽前山に登れたこ
  とはラッキーだった。
  オニノヤガラ
 

 


    久しぶりに樽前山に登り、久しぶりに周辺が見渡せる樽前登山となった。

    イワブクロ(タルマイソウ)も咲き始めでたくさん見られた。登山口に下りる少し前に、これ
   から登る3人組と出会い、「雨に遭わないでよかったですね。」と声をかけたら、「ホントです
   ね。昨日まですごい雨でしたから。」と話していた若者はあの雨でどうしただろうと二人で心配
   したほどの雨だった。


  登山口 6:28  山頂 7:40  樽前神社奥宮 8:09  登山口 10:12



トップに戻る  山の花の道に戻る