平標山


                          2014年6月29日


   片道300キロ以上を走って越後の守門岳まで行ったので、帰りにもう一つくらい寄って行
 かないともったいない気がして、平標山に行くことにした。以前から登ってみたい山の一つで
 もあった。


  前日の夕方から雨になり、この日早朝はかなりの降りだったようだ。天気予報では一日雨マーク。山の天気
 予報では雨のち曇りとなっていたので、強く降った場合は途中から引き返してくることを前提に登山口まで行
 った。駐車場には数台の車があり、準備している間にもワゴン車で6、7人が到着していた。今日は松手山か
 ら平標に登って、平標山之家から平元新道を降りてくる周回コースを歩くことにした。

     駐車場に着いた時には雨は全く降っていな
  いが、あたりは霧がかかっている。気温も結
  構涼しく、18℃だ。風はない。

   二居川を渡って少し左に行くと登山口が見
  えた。すぐに結構急な登りが続く。階段が多
  い深い森の道だ。木々が高く密生しているた
  め、陽が差さないせいか花はない。

   少し歩いてヤマツツジの残り花が見えた。
   このあと、ヤマツツジは松手山あたりまで
  続いていたが、ほぼ終わりの状態だった。
    ヤマツツジ
     ようやく咲き始めのカラマツソウが出てき
  たが、送電線の鉄塔まではヤマツツジとこの
  花だけだった。

   ガスの中から鉄塔が見えてきた。想像して
  いたよりずっと大きな鉄塔だった。先端部分
  は霧に隠れて見えない。ここまでおよそ1時
  間10分。

   ここで少し休憩。湿度は高いが気温があま
  り高くないので、思ったほど汗はかいていな
  い。

   再び樹林帯に入ると、タニギキョウの小さ
  な花がところどころで見えていた。周囲が開
  けてくるとともに、ウラジロヨウラクがたく
  さん出てきた。ここから先にもたくさん咲い
  ていた。
   カラマツソウ
       さらにベニバナドウダンツツジも現れ、一
    つの木に多くの花を咲かせた姿は圧巻でもあ
    る。

     また足元にはアカモノが咲き始めており、
    これは道の両側にたくさん咲いていた。これ
    だけのアカモノを見たのは初めてだ。

     また、咲き始めたばかりのハクサンシャク
    ナゲも顔を出してくれた。咲き始めの花はど
    れもきれいだ。
   ウラジロヨウラク
 
  ベニバナドウダンツツジ アカモノ
       尾根のなだらかなところでは特にウラジロ
    ヨウラクやベニバナドウダンツツジがたくさ
    んあって素晴らしい。

     やや急な登りの後、松手山に着いた。

     おそらくここからも眺望がいいのだろうが、
    あいにくあたり一帯は霧がかかってなにも見
    えない。

     ここからササの尾根道となり、ニガイチゴ
    やツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、イワカガ
    ミなどがアカモノに交じって見られるように
    なった。
  ハクサンシャクナゲ
 
  ニガイチゴ ツマトリソウ
     緩やかな登りとところどころ階段があって
  急な登りが少しの間続く。

   ハクサンチドリが群生している場所があっ
  た。ハクサンチドリはこれ以降もところどこ
  ろで見られた。

   さらにヨツバシオガマが出てきた。これも
  この先かなり見られるが、咲き始めて間もな
  くの株が多く、色がとても鮮やかだった。
  ハクサンチドリ
       このころ、雨が落ちてきた。大した雨では
    ないが、気温も低いのでレインウエアの上だ
    けを着ることにした。幸い雨は10分くらい
    でやんでくれた。

     ハクサンイチゲが少し群生している。雨に
    打たれたため、白い花の部分が一部透明にな
    ってこれもなかなか面白い。

     ただ、ササの中の群落なので、今後ササに
    浸食されて個体が減るような気がしてならな
    い。

     そのうち、白いハクサンチドリの小型のよ
    うな花が出てきた。結構数多く咲いている。
    たつさんは初めて目にする花だ。

     あーちゃんが、「ギンランじゃあないかな
    ?」 「そうかギンランかなぁ。」などと話
    していて、そのうち「もしかしてオノエラン
    かもしれないよ。」とたつさんが言う。
  ヨツバシオガマ  
 
   ハクサンイチゲ オノエラン
     これも車に戻ってからスマホで確認したら、
  オノエランだった。しかし我々の経験上、ラ
  ン科の植物の多くはひっそりと咲くことが多
  いように思い、これだけ多く咲くのを見たこ
  とがないので、オノエランとはすぐには思い
  出せなかった。

   広いササ原の緩やかな道を登る。コケモモ
  も少し咲いており、普通は樹林帯に多いマイ
  ヅルソウも見られる。

   あーちゃんが、「大雪の山の様子に感じが
  似ているわ。」と言っていたが、たつさんに
  は幌尻岳方面から登る戸蔦別岳の山頂部に似
  ているような気がした。
    マイヅルソウ
     いくつかピークらしきものがあって、そこ
  が山頂かと思うとその先にまだ道が続く。ぬ
  かるみ道を越して山頂に出た。

   晴れていれば眺望はいいはずだが、ここも
  全面霧。一組の夫婦が先着しており、その後
  一組が登ってきたにすぎなかった。

   ここまで、初めて登った平標に高山植物が
  多くあることを知った。山頂から仙ノ倉まで
  行って、途中にお花畑があるそうなので見て
  こようかと思ったが、次回の楽しみにとって
  おくことにし、山之家への下山を始め、少し
  したら階段の向こうに視界が開けてきた。
  霧が晴れて見えた平標山之家
     山頂から山之家までは階段の木道を下る。

   ハクサンコザクラが2株ほど見られたが、
  遠くの雪解け後にはちょっとした群落もあっ
  た。まだ多く咲くには時期が早いのかもしれ
  ない。

   また、イワカガミやツマトリソウも咲いて
  いた。
  ハクサンコザクラ
       ワタスゲもたくさん見られた。ただ、今ま
    での雨に打たれたためか、綿毛は濡れそぼっ
    ているままだった。

     イワイチョウもいくつか見られ、タテヤマ
    リンドウもたくさんあった。タテヤマリンド
    ウは個体の大きさがかなり小さい。それでも
    薄いブルーの花がきれいだ。
  イワカガミ コバイケイソウ
 
  ワタスゲ イワイチョウ
       山之家のベンチには平元新道から登ってき
    た人たちが休憩していた。なんでも4時ころ
    に駐車場に着いた時はかなりの雨だったらし
    い。

     そうこうしているうちに、平標山の方角に
    青空が見え、霧が晴れてきた。
  タテヤマリンドウ   
       少し休んで平元新道を下る。

     すぐにオオナルコユリがあり、「絶対に採
    らないでください」の標識があった。
  平標山頂部   
         きれいに咲いていたタニウツギが見られた。
     松手山周辺でも見られたが、そちらの方は
    もう終わりの状態だった。

     この道も階段が多いが、その階段はきれい
    に整備されている。何といっても歩幅がとて
    も下りやすく(登りやすく)設置されている。
    この登山道を整備してくれた人たちのこまや
    かな心遣いを感じる。

     大きなブナの木もある。ここの樹林帯は松
    手山へ登った時の樹林帯と違って、疎になっ
    ていて光がたくさん入るようになっているの
    で、もう種をつけてはいたがエンレイソウや
    クルマバソウがたくさんあった。

     登山口に着き、見ると可愛いお地蔵さん
    がレリーフに刻まれていた。
  オオナルコユリ  
 
  タニウツギ
 

 


    高山植物が見られる山だと知っていたが想像していた以上に多く、視界は効かなかったがかなり
   楽しい山行になった。

    特に初めて見たオノエランが、これだけ群生しているとは初めての経験だった。

    平元新道からの林道で再び10分程度の雨にあったが、天気予報がこの山に関しては外れてくれ
   たのはラッキーだった。



   駐車場 6:22  鉄塔 7:34  松手山 8:23  平標山 10:06

   平標山之家 11:06  平元新道登山口 12:04  駐車場 12:54



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