新大日岳


                         2011年5月15日


 丹沢でコイワザクラとアカバナヒメイワカガミが見られると聞き、調べてみると西丹沢でも表尾根
でもあるようだ。そこで今回は表尾根を歩くことにした。もちろん、この二つの花を見ることが目的
である。


  バスを使ってヤビツ峠から表尾根を歩いて大倉尾根を回ろうか、それとも車で菩提峠まで行って
 往復するか迷ったが、結局車にした。車にして同じ道を往復したことが、結果としてコイワザクラ
 の群生を見られることになり今回の選択は正解だった。
  丹沢の表尾根を歩くのは実に40数年ぶりであり、昔の記憶はほとんどない。さて今回はこれら
 の花がどの程度見られるのか、またその他はどんな花が見られるのか期待を持って歩き出す。

      天気は快晴。予報では気温が24度く
  らいまで上がるそうだが、風はヒンヤリ
  している。

   菩提峠から林道を少し歩く。ここには
  ヤマルリソウ、マムシグサ、スミレ、ム
  ラサキケマン、フタリシズカ、カタバミ
  などが咲いている。

   トウダイグサ科の花があった。かなり
  たくさんある。ほとんど花は終わりかけ
  ていて、何という名だろうと話していた
  が、帰ってから調べたら、トウダイグサ
  だった。
    ヤマルリソウ
 
    ニノ塔に向かう道に出る。入り口付近
   は左手にスギの人工林右手が自然林だっ
   たが少し行くと両側がスギの植林となる。

    ところどころベンチも置いてあり、ヤ
   ビツ峠から登ってくる人が多い。

    あーちゃんが「今日はあたし達のよう
   な年配の女性組が少ないね。」と言って
   いたが、なるほど若いカップルや家族連
   れが随分見られる。勿論中年やアラカン
   世代の人も相変わらず遭遇したが・・・。

    花はこの辺りはもっぱらスミレ。紫色
   がところどころで目に付く程度に咲いて
   いる。
  トウダイグサ  
 
    二ノ塔到着。正面に雪をかぶった富士山
   が見える。空は青く、風は爽やか。
   
    ここまでは道についている階段がさほど
   気にならなかったが、ここからは階段や木
   道が続く。地質が雨が降ると流れやすいた
   めか登山者の安全上も仕方ないとは思うが、
   直登が多く、どうも山道の階段はいただけ
   ない。

    サクラの大きな木があり、葉桜にはなっ
   ているがまだ随分花がついていた。

    アセビがいくつもあり、登山道の両脇に
   はスミレや黄色いカタバミが見られる。
    
  アセビ 
      三ノ塔の手前でフデリンドウが咲いて
   いた。近くに白のフデリンドウも3株見
   られた。

    三ノ塔に着くとさらに視界が開け、こ
   れから歩く尾根筋が良く分かる。新緑も
   きれいだ。

    ここから烏尾山まではかなり下って登
   る。

    道の両側にスミレとミツバツチグリが
   たくさん咲いていて、紫と黄色できれい
   だ。アセビもたくさんあった。
  カタバミ
 
  フデリンドウ  三ノ塔からの表尾根 
 
  スミレ  ミツバツチグリ 
 
   烏尾山から行者岳の間の尾根筋には、トウゴクミツバツツジとシロヤシオがいくつかある。いずれ
  もまだやっと咲き始め。もう少し経ったら満開で気持ちのよい歩きができそうだ。
 
 
  トウゴクミツバツツジ  シロヤシオ 
     烏尾山から行者岳の間にもヤマルリソ
  ウが数株見られた。今回の歩いた道では
  菩提峠付近とここだけで見られた。

   行者岳を越えたあたりから、ポツポツ
  とコイワザクラが見え出す。株も小さく、
  つけている花も終わりに近い。

   このあたりに鎖場があり、下りはかな
  り行列ができている。塔ノ岳方面からの
  登山者が声をかけて下りの人に少し待機
  してもらうほど。

   ここの岩場にアカバナヒメイワカガミ
  があった。まだほとんどが蕾でそれも低
  木の陰になっているが、蕾の鮮やかな赤
  が印象的だ。数は少ない。
  アカバナヒメイワカガミ
 
   ここを過ぎて、右側に落ち込む斜面の
  岩場にコイワザクラがいくつか咲いてい
  た。

   さらに進んで岩場の横に黄色いショウ
  ジョウバカマが数株あった。

   ショウジョウバカマは多くが雪解け後
  の湿った場所に生えるが、こういう岩場
  に咲くこともあり、それはニペソツでも
  経験している。

   また、花の色が黄色いものははじめて
  見たが、いろいろな色があってとても面
  白く思う。ピンクから紫が多いが、今ま
  で見たものの中には真っ赤なものも雨竜
  沼で見たことがある。

   おそらく土質が花の色に影響している
  んだと思うが、これまで見たショウジョ
  ウバカマのいろいろな色の写真を見比べ
  てみたくなった。
  ショウジョウバカマ
     コイワザクラとアカバナヒメイワカガ
  ミは、政次郎の頭を過ぎると見当たらな
  くなる。
 
   これらが咲いている岩場の環境とは異
  なる地質の尾根筋となるためだろう。そ
  こで昼食をとって引き返すことにした。

   すると、行者岳の間の沢地形の岩場に、
  大きな群落が見られた。行きの道では右
  にカーブを切った下方にあり、前方ばか
  り見ていたので気づかない角度だった。

   30メートルくらい下って写真に収め
  た。

   近くにはバイカオウレンも咲いていた。
    コイワザクラ
 
    同じように、今度は右側にも小さな群
   生があり、これも行きでは振り返らない
   と見えない場所にあった。

    今回、菩提峠の往復をすることで、特
   にコイワザクラの群落が見られたのが収
   穫だった。
  コイワザクラ
 
   それ以降、戻る道筋でクルマバソウ、キランソウ、センボンヤリなど行きに気づかなかった花が
  見られた。
 
   クルマバソウ センボンヤリ 
 

 


    コイワザクラもアカバナヒメイワカガミもはじめて見た花である。といっても見慣れた花で
   あることは間違いない。アポイ岳で見たヒダカイワザクラにそっくりであり、南アルプスにあ
   るクモイコザクラはコイワザクラの変種だという。

    ただ、コイワザクラが狭い範囲ではあったが登山道から見られる限り、想像以上に沢山あっ
   たのは嬉しい。

    表尾根は多くの登山者がいたが、これらの花にカメラを向けている人はほとんどいなかった。

    本来は塔ノ岳まで行くつもりだった。あーちゃんが「われわれの山歩きは面白いね。途中で
   引き返しちゃうんだから」「そう、ピークハンターじゃないからね。目的の花が見られれば、
   それで満足なんだ!」



    菩提峠(8:15)〜 二ノ塔(9:18)〜 三ノ塔(9:39)〜 鳥尾山(10:14)〜 行者岳(10:40)

   〜 新大日岳(11:30) 発(11:45)〜 鳥尾山(12:45)〜 三ノ塔(13:20)〜菩提峠(14:20


  いくつかの色のショウジョウバカマを並べてみた。場所によって花の色の違いが分かる。

 
ややくすんだピンク(夕張岳)  赤(雨竜沼湿原)   茶色に近い(ニペソツ)
   
鮮やかな紫(大雪赤岳)  比較的鮮やかなピンク(北岳)

 

   

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