新大日岳


                           2015年4月30日


   コイワザクラが咲き始めたという情報を入手し、丹沢表尾根を歩くことにした。
  今年はサクラの開花も例年より早く、4月に入ってからも暖かな日が多いので花の開花も
 早いようだ。29日から大型連休がスタートし、天気予報は曇りがちではあったが谷間にな
 る30日に出かけた。


  4年前には5月中旬にコイワザクラを同じ場所に見に行った。コイワザクラは日陰に咲いているので、
 花の時期は長いはずだが、その時はやや終わりに近かった。菩提峠から歩き始める。

     ヤビツ峠への道路では、路線バスのほかは、
  まったく車とすれ違わなかった。大型連休が
  始まったとはいえ平日であるからだろうか?

   菩提峠の駐車場には5台ほど停まっていた。

   やや風が冷たく、一枚余計に着て歩き出す。

   車は通行止めのゲートを通って700mば
  かり林道を歩く。

   ヤマルリソウ、キケマン、ムラサキケマン
  が見られた。トウダイグサもたくさんあった
  が、花は終わっていた。
    ヤマルリソウ
 
   キケマン ムラサキケマン 
     林道から表尾根への登山道に入る。

   すぐそばにクサボケの鮮やかな橙色が咲い
  ていた。

   尾根に入ってすぐからスミレのオンパレー
  ド。ずっとずーっと咲いていた。

   登る道の左側はスギの植林が続くが、右側
  は自然林で新緑が見え始めている。ブナの木
  もある。少しの間だが、いい森が見られた。
  しばらくするとスギの中の道になる。
  クサボケ
        二の塔までの登りは途中3か所ほどにベ
     ンチがある。後方に大山が見え始めると、
     二の塔は近い。

      その手前で視界が開けてきて、春紅葉が
     見られた。春紅葉という言葉は、秋の紅葉
     に比べるとその色合いは薄くなるが、木々
     の新芽のころ、木によって新芽の色が少し
     ずつ違い、それが秋の紅葉のようにも見え
     ることからきている。
      ただ、それには落葉広葉樹の雑木林(自
     然林)である必要がある。
      ここはヤマザクラの薄いピンク、ミツバ
     ツツジの濃いピンクが少しずつ色合いの違
     う木々の新緑に交じっている。
  スミレ
 
   二の塔手前の春紅葉
     登山道からほんの少し離れた場所に一本の
  大きなミツバツツジが満開になって咲いてい
  た。標高は1000mほどなので、今が見ご
  ろのようだ。

   二の塔で相模湾方面が見通せたが、富士山
  は雲に隠れていて山裾だけが見えた。まだし
  っかり残雪がある。

   二の塔から少し下って今度は登り返し、三
  の塔に着く。ここには休憩小屋が立っており、
  その周りにベンチが置いてある。

   それまでやや風があったが、それも収まっ
  てきた。

   エイザンスミレが見られた。
     ミツバツツジ
        三の塔を少し過ぎたところで、表尾根全
     体が見渡せる。左下の台地が烏尾山で、烏
     尾山荘が立っている。そこからアップダウ
     ンのある尾根が続き、一番高い山が塔ノ岳
     だ。
   エイザンスミレ  
 
  丹沢表尾根
     三の塔を過ぎると標高差140mほどの
  下りになり再び烏尾山までの登りとなる。

   丹沢山地は数百万年前に太平洋から日本
  列島に付加し、その後今から100万年前
  くらいに伊豆半島がそれに衝突してできた
  らしい。

   地質は崩れやすい岩石からできている。
   関東大震災でも大きく崩壊したらしいが、
  三の塔からの下りも崩れやすい地質がむき
  出している。
   常に整備する必要がありそうなところだ。

   まだヤマザクラが咲いていた。
  ヤマザクラ
      烏尾から行者岳へもアップダウンがあ
   る。鎖場が2か所あり、この周辺にはア
   カバナヒメイワカガミがあるが、まだ蕾
   をつけているのがほんの少しあっただけ
   だった。

    このあたりも木の階段がつけられてい
   る。地質がもろく、雨による土の流失が
   ありそうなところだ。

    ミツバツチグリとハルリンドウが見ら
   れた。ハルリンドウは花の径が1センチ
   もない小さな花だがきれいな色をしてい
   る。
  ミツバツチグリ
        やや鞍部になったところにアセビの群落
     があった。全体としては花は終わりである
     がまだ咲ている株も見られた。

      二の塔あたりからアセビはたくさん見ら
     れるが、これだけの群落は見事だ

      行者岳を過ぎるとコイワザクラがところ
     どころで見られるようになるが、崩れやす
     い下方の斜面にあり、登山道からは直接撮
     れない。

      咲いたばかりのセンボンヤリが見られた。
  ハルリンドウ
 
  アセビ センボンヤリ 
      平日なので登山者は少ない。
    コイワザクラが見られたので、新大日
   岳を今日の引きかえし点にした。

    ここから再びアップダウンの表尾根を
   降りる。コイワザクラは帰りの道では登
   山道際にも見られたが、株が小さかった
   ので、少し斜面を降りて群生していると
   ころで撮った。

    コイワザクラは絶滅危惧U類(VU)
   に位置づけられ、「絶滅の危惧が増大し
   ている種」とされている。

    近くにバイカオウレンも見られた。
  バイカオウレン
 
  コイワザクラ コイワザクラ
 

 


    帰る途中で出合った人に、あーちゃんが「コイワザクラが咲いてましたよ。」と声をかけたが、
   ほとんど興味を示さなかったという。

    ある調査によると、山に登る人にはいくつかのタイプがあり、一番多いのはスポーツとしての
   登山を楽しむ人で約半数、次にストレス解消や癒しを求めるタイプで約3割、これらはいずれも
   自然にはあまり関心がないそうだ。残り2割が高山植物や自然景観を楽しむ人だそうで、たつさ
   んとしてはそういうものにもっと関心を持つ人が増えてくれればさらに山の楽しみが増えるのに
   と思っている。

    新緑も出始めて静かな表尾根だった。


   菩提峠 7:50  二の塔 8:54  三の塔 9:19  烏尾山 9:45

   行者岳 10:16  新大日岳 11:02  三の塔 13:16  菩提峠 14:23


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