仙丈ケ岳(途中退却)


                         2012年8月10日


 甲斐駒からテン場に戻って、あーちゃんの靴に不具合があり足に痛みがあった。
 そもそも7月末に幌尻に行った時の2日目に靴の半分から踵の部分のゴムがはがれ、パカ
パカになってしまった。テン場に近かったので翌日にテーピングのテープで応急処置をして
下ったが、途中一度テープを巻き直して何とか普通に下山できた。新たに購入することにし、
帰ってからいつもの店で勧められたものを今回初めて使ったわけである。靴のベロの部分が
薄く紐が食い込むそうで、行けるところまで行こうということにした。仙丈ケ岳は3回目の
山である。

  紐の締め具合を調整したり、靴擦れ防止のテープを張ってその上でハンカチをはさんだり、いろいろしたが
 3時間くらいで痺れもあるということで引き返すことにした。
  仙丈は甲斐駒と違って花の多い魅力的な山であり、途中での引き返しにはあーちゃんも残念がったが靴によ
 る足の痛みではどうしようもない。

     問題なく歩けた場合、帰りは北沢峠15時
  半のバスなので、テントの撤収などの時間も
  見込み早めにスタートする。

   今日は花の多い薮沢新道を歩くことにする。
  北沢峠を過ぎて大平山荘まで下るが、この林
  の道にオオレイジンソウやミミコウモリ、ヨ
  ツバヒヨドリ、コバノイチヤクソウなどが咲
  いていた。
    北沢峠にあった案内図
       ここから登りにかかる。
     コイチヨウランがたくさん咲いている。こ
    れほどの量のコイチヨウランを見たのは初め
    て。キソチドリが少し見られ、コフタバラン
    ももう花は終わりかけだったが見られた。

     ギンリョウソウがところどころで見られる。
  
     コウシンヤマハッカがもう咲き始めていた。
  ヨツバヒヨドリ  
 
  ギンリョウソウ  コウシンヤマハッカ 
     右側に沢が確認できるようになる頃、左手
  の山肌から水が染み出ているところが何箇所
  か出てくる。そこにはクロクモソウや
   カイタカラコウが見られるようになった。

   クロクモソウは地味な花であるが、陽がう
  まく当たるととてもきれいに見える。

   ダイモンジソウも咲き始めていた。中には
  ピンク色の花も見られた。
  クロクモソウ
       ほどなく薮沢を左岸に渡り、沢沿いの道を
    歩くようになると、花の種類が俄然多くなっ
    てくる。

     また上部ではまだ雪渓が残っているところ
    もある。

    ヨツバシオガマ、シナノオトギリ、タカネグ
   ンナイフウロ、ミソガワソウなど新たに現われ
   
る。

  ダイモンジソウ   
 
  ヨツバシオガマ シナノオトギリ 
 
   シロバナヘビイチゴやミソガワソウ、カイ
  タカラコウなどが出てくる。
   ミソガワソウは花を正面から見ると、とて
  も清楚な感じがする。今回じっくりと見てみ
  たが、この花の美しさを改めて知った。

   きれいなクルマユリが2輪ほど咲いていた。
  クルマユリそのものは珍しい花でもなく、全
  国どこにでもある花だが、山の中でこのよう
  なオレンジ色に出会えるのは嬉しい。

  ミソガワソウ
     
  カイタカラコウ   クルマユリ
     ミヤママンネングサの鮮やかな黄色、タカ
  ネグンナイフウロの爽やかな紫、シナノキン
  バイの鮮烈な黄色が続く。
    
   薮沢の上部はまだかなりの雪渓が残ってい
  る。
    ミヤママンネングサ 
 
  タカネグンナイフウロ  シナノキンバイ 
       空は快晴だ! 沢筋では風もほとんどない。
     尾根に飛び出しても風はなかった。

     ここまではほぼ同じような勾配で登ってき
    ているが、あーちゃんの足は具合がよくない
    ようだ。そこで、薮沢小屋のルートから引き
    返すことにした。
     ただ、どうにも歩けない状態ではないので、
    北沢峠でバスを待つ時間を減らしてその分、
    花を見る時間に費やすのと馬の背ヒュッテで
    休むことも入れてあと小一時間歩いてみるこ
    とにした。

     花は、ミヤマハタザオ、トモエシオガマが
    咲き始めており、イワオウギ、タカネナデシ
    コが見られた。
  薮沢上部に残る雪渓
 
  ミヤマハタザオ  トモエシオガマ 
 
   イワオウギ タカネナデシコ 
 
   ほかに、タカネヨモギやキバナノコマノツ
  メ、ヤマガラシなども咲いている。

   雪渓際に近いところに、ハクサンイチゲも
  一株あった。ハクサンフウロも少し見えてい
  る。
    
    ハクサンイチゲ
       馬の背ヒュッテへの道に入ってすぐ、鹿の
    食害から高山植物を守るためのネットが張ら
    れていた。

     1998年のほぼ同じ頃、このあたりを歩
    いたことがある。ガイドブックにはお花畑と
    なっていると書いてあったようだが、その当
    時から花は少なかったと記憶している。

     ここだけでなく、全国的に鹿が増えすぎて
    いる。鹿だけでなく猿も増えて高山植物を餌
    にしている。個体数が増えると自然界のバラ
    ンスが崩れ、食物連鎖の下位にある植物が被
    害を受けてしまう。

  ハクサンフウロ   
       ネットが張られてから4年が経過している。
     鹿から守られている範囲には確かにハクサ
    ンフウロやウサギギクなどが咲いているが、
    以前のような状態に果たして戻るのだろうか
    と心配になる。

     馬の背ヒュッテでは、「仙丈小屋の水場が
    枯れているのでここで補給してください。」
    との親切な張り紙があった。聞いてみると2
    週間ほど前に枯れたという。

  ニホンジカの防除柵   
     ここからウサギギクやツマトリソウの咲く
  場所を通って、尾根に出る。

   仙丈のカールが見えてきた。山頂に人の姿
  が見え、大勢のツアー客らしき団体が仙丈小
  屋方向から降りてくるのが見える。

   ここ(2755m地点)で引き返すことに
  した。昨日登った甲斐駒ケ岳もきれいに見え
  ていた。

    仙丈ケ岳 
 

 


    薮沢小屋の道は小さな流れがいくつも横切るので、そのたびにカイタカラコウやクロクモソウ、
   モミジカラマツなどの花が見られる。

    また鋸岳の荒々しい姿も見られ、小仙丈からの道に合流する。
    その後、駒仙小屋のテン場でテントを回収して、13時のバスに乗って帰った。



    テン場5:01 北沢峠5:12  五合目7:38 馬の背ヒュッテ8:00  2755m地点

   8:26  テン場11:10


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