ニペソツ山(前天狗まで)


                           2016年7月30日


   2年ぶりのニペソツで、前回は咲き始めのツクモグサ狙いだったが今回は山頂付近に見ら
 れるエゾウスユキソウを撮ることが目的である。ニペソツ山は山頂付近に多くの種類の花が
 咲く山であるがそこまでのアプローチも長く、日帰りで登らなければならない山でもある。
  本州の梅雨が例年通りに明けていればこの時期北海道は概ね晴天が望まれるが、今年は関
 東甲信越の梅雨明けが28日でその数日前から道内の天気はずっと悪い。

  今回は夕張岳とセットで日程を組み格安航空券も手に入れていたので、始めから雨なら行かない、小雨程度
 なら行けるところまで行くというつもりで千葉を出発した。前日着いた糠平温泉では夕方少し晴れ間も出てい
 た。翌朝、登山口の駐車場に着いたら雨が降り出した。

     駐車場には一台の車も停まっていなかった。
   この日は7月の最終土曜日。いつもなら多
  くの車が入っているはずだが、さすがに道内
  は悪天で登山者が行かないようだ。この日は
  たつさんを含めて結局山に入ったのは4人。
  戻った時には4台の車のうち2台が道外ナン
  バーだった。

   今日は降っても長続きはしないと予測して
  いたので、車内で待っていたら15分ほどで
  雨は上がった。

   十六の沢にかかる丸木橋を渡ってすぐ、エ
  ゾノレイジンソウやコモチミミコウモリが見
  られた。
  エゾノレイジンソウ
      針葉樹の林の中を登る。今日は往復で10〜
   11時間かけてゆっくり登って花を撮ってくる
   つもりで歩く。

    時々背後から陽が射すので、期待できる。

    この林の中は陽が射しこまないので花は多く
   ない。初夏に咲くツバメオモトやミズバショウ、
   ミツバオウレンなどはもう終わっている。

    チシマアザミ、エゾノヨツバムグラ、ヤマブ
   キショウマなどがあり、ギンリョウソウとオオ
   バスノキが見られた。実はこのギンリョウソウ
   とオオバスノキは、06年に撮って以来の出会
   いだ。
   コモチミミコウモリ
 
  ギンリョウソウ オオバスノキ
     そのころはまだフィルムのカメラだったの
  で、デジカメにしてからは初めて写す。今回
  そういう花がほかにも撮れた。

   ゴゼンタチバナが見られ、1時間少しで尾
  根筋に出た。

   ここにはハクサンシャクナゲがあるのだが、
  06年以降咲いている状態を見ていない。今
  回も残念ながら花は終わっていた。

   アカミノイヌツゲ、ツルツゲ、ミヤマホツ
  ツジが咲いており、咲き始めのウメバチソウ
  が見られた。
  ゴゼンタチバナ
       木の間に南側の山の稜線が見えていたので、
    天気は良くなる方向かと思い、急登を5,6
    分歩いて大きな岩に着く。

     前天狗が見えるはずだが、ガスがかかって
    見えない。ここから少し下りになり、ウラジ
    ロナナカマドやマルバシモツケが見られた。

     ヒメマイヅルソウもまだ十分花をつけてい
    た。
  ウメバチソウ
 
  マルバシモツケ ヒメマイヅルソウ
     きれいなウサギギクが咲いていて、ほどな
  く天狗のコルに到着。

   ここは窪地になっており、遅くまで雪が残
  る場所だがもう残ってはいない。そういう場
  所なので雪田性の植物が結構みられるところ
  である。

   アオノツガザクラがまだ少し残っていた。
   ハイオトギリが蕾の方が多いが咲き始めて
  おり、エゾヒメクワガタ、ハクサンチドリ、
  ウズラバハクサンチドリがあった。

   チングルマも残り花があり、ホソバキソチ
  ドリがたくさん咲いていた。
  ウサギギク
 
  アオノツガザクラ エゾヒメクワガタ
     
  ハクサンチドリ ウズラバハクサンチドリ
     ここからハンノキの茂る中にハイマツが交
  じる道になるが、ここでミヤマフタバランを
  みたいと思って探したが見当たらなかった。

   アラシグサは咲いていたが、コミヤマカタ
  バミは咲いていなかった。

   一旦岩場となり視界は開けるが、あたりは
  霧が濃く、風も強くなった。再びハンノキと
  ハイマツの道を登り、森林限界を超えて岩場
  となる。晴れていればここからは右手に大雪
  連峰やトムラウシが見えるところだ。

   遮るものがないため、風はさらに強くなる。

   イワブクロだけがたくさんある。
  イワブクロ
     ナキウサギの「ピチッ、ピチッ」という鳴
  き声が聞こえるが姿は見えない。

   ここの岩場をトラバース気味に登っていく
  が、いつもならこの時期咲いているチシマツ
  ガザクラが一つも見えない。

   風は相変わらず強く、視界は50mくらい。

   一株のコマクサが霧に濡れていた。ここで
  見たのは初めて。もっと上でしか見たことが
  なかった。

   イワギキョウが見られ、前天狗に出た。
     イワギキョウ
     前天狗に出て何も遮るものがないので風は
  強くなったと感じる。ここまで登山口から雨
  に降られてはいないが、あたり一帯はガスが
  かかって視界は50mくらい。

   晴れていればここに出た時、ニペソツが初
  めてその姿を見せる場所だ。しかし、今日は
  なにも見えない。

   前天狗の手前の少し風がよけられる岩場で
  しばらく待つことにした。
  晴れていれば前天狗から見える景色(06.8.撮影)
     20分くらい待っただろうか。下から登山
  者が登ってきた。神戸から来たという。花の
  写真がこれでは撮れないのでここで引きかえ
  すところだというと、私は登りますと言って
  ガスの中に消えた。

   帰りがけの道でミヤマチドリと出会った。
 
    ミヤマチドリ
 

 


    あいにくの空模様だった。雨が降っていなかったので、霧は出ていても風さえなければ山頂
   までは行っていた。風も吹いたり止んだりを繰り返すようであればまだいいが、吹き続けるこ
   の風では花が揺れて満足に写真が撮れないと判断し、前天狗で引き返した。

    また次回に期待しよう。


   十六の沢駐車場 5:13  天狗のコル 7:18  前天狗 8:30  駐車場 11:30


トップに戻る  山の花の道に戻る