天狗のコルから上には夏道に少し雪が
   残っているところがあった。ショウジョ
   ウバカマがほんの2、3株咲いていた。

    今までニペではショウジョウバカマは
   天狗平以降の東側に開けた場所でのみ見
   ていたので、きれいな色の花を見て嬉し
   い気持ちになった。

 
     ショウジョウバカマ
      ササからナナカマドの木々の間の道に
   なり、ミヤマカタバミがちょっとした数
   で現われた。まだしっかりとは開いては
   いなかった。

    ナナカマドもようやく葉を出した程度
   で、花はまだ当然つけていない。

    ここのやや急登をゆっくり登る。一旦
   右に出て、ガレ場が開ける。オッパイ山
   が右手に見え、大雪からトムラウシも目
   でははっきり見える。

    ここのガレ場でさっそくナキウサギに
   出会った。後から友人が着いたときには
   岩の巣に入ってしまったのが残念だった。
  コミヤマカタバミ
      
    今度はハンノキ主体の木々の道になる。
   ハンノキはちょうど花をつけたものから
   終わりかけものまであり、体が触れると
   花粉が随分飛び散るものもあった。そし
   てハイマツが出てきて再び前天狗の横腹
   の部分に出た。
   
    視界が開け、トムラウシもその雄大な
   姿を見せてくれた。友人ははじめて見る
   トムラウシ。歓声を上げていた。

     
  ミヤマハンノキ   
 
    ここからはトラバース気味に前天狗に
   岩と岩とを渡り歩きながら進む。

    ハンノキとハイマツが切れたそこに、
   メアカンキンバイが咲いている。ここの
   ほんの一画にだけ見られる。ボクがこれ
   をここで見てから8年経つが、最もきれ
   いな旬な状態で見られた。

    花の色だけを見るとミヤマキンバイが
   オレンジに近い黄色に対して、メアカン
   キンバイはクリームに近い黄色だ。
  メアカンキンバイ 
      イワウメが沢山咲いている。右を見ても左を見てもイワウメの絨毯だ。表大雪の小泉岳周辺や
   板垣新道周辺の絨毯とは大きさが違うのは仕方ないが、素晴らしい。

    友人はイワウメに感動してしきりに短歌をひねっている。内心、前天狗でニペが現われるまで
   にできていれば良いと思った。
 
   イワウメ イワウメのカーペット
      
    イワウメの間に、ミネズオウ。そして
   コメバツガザクラやウラシマツツジも。

    ミヤマキンバイが時々黄色で彩りして
   くれるが数は少ない。

    キバナシャクナゲを含めてこれらの花
   はここから山頂部まで咲いていてくれた。

     ミネズオウ
 
   コメバツガザクラ ウラシマツツジ 
      ここでも道の左側でナキウサギを見る
   ことができた。また右のガレ場でも姿は
   確認できないが鳴き声は時々聞こえてい
   た。

    前天狗に近づいて最後の20mほどの
   登りは友人に先に行かせた。そしてニペ
   が姿を現したとき、「うわーっ、すげぇ
   ー!」としばらくして、「あそこのてっ
   ぺんまでまだあるの?3時間以上はかか
   るねぇ。」

   キバナシャクナゲ  
   
  前天狗からのニペソツ 
 
    誰もが初めてここについたときに漏ら
   す感想だろう。今日はここまで3時間4
   5分かかっているからそれだけかかって
   ようやく目指す山が見えたわけだ。
    見え方も感動的だが、同時にまだあん
   なに遠い!というのが率直な気持だろう。

    「大丈夫あと2時間で行くよ!」と励
   ました。

    一旦下って天狗平に行き、それから天
   狗岳をトラバースしてだいぶ下る。

   チングルマやミヤマキンバイが見られた。

   
    チングルマ 
      そしてニペがいよいよ間近に迫ってく
   る。最後の急下降とそれ以上の高度の上
   りが待っている。と同時に今日の最大の
   目的のツクモグサも待っている。
  ミヤマキンバイ   
   
   
      期待していたツクモグサはもう終わり
   かけだった。6月上旬のヤマレコでツク
   モグサの状態を確認していたので、ここ
   の登山道脇にあるこの花はもう開いては
   いないと思ってはいた。でも気温が低い
   という情報でもしかしたらという期待も
   あった。

    まあ今日は曇りということもあるし、
   花が横を向いたり、垂れていないのが救
   いだった。

    ほかのどの山でも特別な気候状況をの
   ぞくとほとんどで6月上旬に旬の状態を
   見ているので、この時期はもう遅いのは
   分かっていた。3年前の6月29日の状
   態より少し良かったことをよしとしよう。

    最低鞍部に下っていよいよ最後ののぼ
   りにかかる。途中、エゾコザクラ、ハク
   サンイチゲ、ミヤマアズマギクを見た。

    またもう一箇所ツクモグサの場所を確
   認したが、同じ状態だった。
    ツクモグサ
 
  エゾノハクサンイチゲ ミヤマアズマギク
      
    頂上付近で比較的きれいなチシマアマ
   ナがみられた。

    この日は単独の人が5人、二人パーテ
   ィーが3組、3人連れが1組だった。

  ニペソツ山頂部 チシマアマナ
 
     山頂でゆっくりして、360度の大展望を満喫した。下る頃からニペ上空は相変わらず曇っ
    ているが大雪方面は快晴に近くなってきた。十勝連峰、トムラウシ、大雪連峰をしばし眺めな
    がら下山した。

 
   トムラウシを見ながら下山
 
    微風のニペを満喫できた。ツクモグサは少し残念だったが、また何かの機会にいい状態の花
   を見に来よう。

    一日たっぷり遊ばせてもらった。ほぼ、当初の計画通りの時間だった。
    


  
登山口5:05  天狗のコル7:20  前天狗8:50  天狗平9:15 ニペソツ山10:45

  山頂発11:36  前天狗13:11   登山口15:58



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