釈迦ヶ岳・黒岳


                           2016年6月3日


   前日、3日が移動性高気圧に覆われるとの予報でどこかに行こうと考えた。この時期入笠
 山が良いかなと思ったが、やや遠いのでどこかもう少し近くに花のある山はないかと検索し
 たところ、御坂山地の黒岳にカモメランが咲いているとの情報に出合った。
  近くの釈迦ヶ岳も富士山や南アルプスの眺望がいいとのことだったので、そこに出かける
 ことにした。

  笛吹市の芦川にスズランの群生地があり、駐車場があるとのことでそこを目指した。
  河口湖周辺は快晴で、富士山がまだ雪を残し雄大な姿を見せていた。この分だと南アルプスの山々も見られ
 ると期待して歩きだした。

     二つの山とも山梨百名山に数えられている。

   「アタック 山梨百名山」の本で駐車場の
  位置を確認すると、釈迦ヶ岳に登って眺望を
  楽しみ、そのまま黒岳に行って周回して戻っ
  てくるのがよさそうだった。

   ところがもっと上にも大きな駐車場があり、
  さらに釈迦ヶ岳への道もあることがわかり、
  少し往復する部分はあるがここを行くことに
  した。

   駐車場から歩くと3分程度で登山口があり、
  標識があった。
  標 識
        すぐそばにクサタチバナの群落があった。
     われわれが初めて目にする花だった。これ
     は関東以西、四国に分布する植物だそうだ。

      道は歩きやすく、ミズナラの林の中にヤ
     マツツジがたくさん咲いている。下の方は
     花が終わりかけているが尾根上では見ごろ
     になっていた。

      道は岩もほとんどない土の道で、周回コ
     ース全体で階段になっているところもほと
     んどなく、またたくさんの木の花が見られ
     た。その一つがコツクバネウツギだ。ウツ
     ギであることはわかったが名前は帰ってか
     ら調べて分かった。
   クサタチバナ
 
  ヤマツツジ コツクバネウツギ
     20分少しで尾根上の分岐に出た。ここか
  ら短いアップダウンが続く尾根上の道となる。

   ヒメマイヅルソウがたくさん咲いており、
  ところどころでシロバナヘビイチゴが見られ
  た。

   トウゴクミツバツツジはほとんど残ってい
  なかったが、散った花びらが道に残っていた。
  ベニバナツクバネウツギもあったが、ほぼ終
  わりかけていた。

   一か所でサラサドウダンがあったが、この
  木は大きく花は上方につけていた。
  ヒメマイヅルソウ
 
  サラサドウダン シロバナヘビイチゴ
     歩き始めてからエゾハルゼミだろう、鳴き
  声がずっと聞こえている。

   尾根上は両側が樹林になっていて眺望は効
  かない。途中府駒山の三角点を過ぎ、急な岩
  場を3か所登って視界が開け、釈迦ヶ岳に着
  いた。

   富士山は半分より上を雲に覆われ見えない。
   八ヶ岳と南アルプスの北岳と間ノ岳は見え
  たが、南部の山々は雲の中だった。

   釈迦ヶ岳は信仰の山でもあるらしく、山頂
  には2体のお地蔵さんがあり、近くに旬のベ
  ニバナツクバネウツギが咲いていた。
    間ノ岳と北岳
 
   お地蔵さん ベニバナツクバネウツギ
     釈迦ヶ岳をあとに辿ってきた道を分岐まで
  戻り、さらに日向坂峠(どんべえ峠)を越え
  て黒岳へ向かう。

   晴れてはいるが気温は予想外に低く、手元
  で10℃から12℃だった。帰りの河口湖畔
  は16℃だった。もっとも帰ってからのニュ
  ースで今日は長野の菅平などで最低気温が氷
  点下だったそうだ。

   山頂から降りてすぐに4人の人に出合った
  が、黒岳山頂までほかに出合った人はいなか
  った。

   あーちゃんが、「風が爽やかというより空
  気が気持ちいいね!」

   府駒山を過ぎ分岐を過ぎたところで、ササ
  バギンランが見られた。
  ササバギンラン
      日向坂峠から細い尾根を一旦下って黒岳
   の山腹を登る。ここもミズナラが多い自然
   林だ。このころから雲が出始め、やや森の
   中が暗くなる。気温が低いのであまり汗を
   かかないのは何より。

    標高1500m付近からブナの木が見ら
   れるようになった。ブナも新緑がとてもき
   れいだ。巨木も数本見られた。

    今回の一つの目的が、富士山と南アルプ
   スの山々を見ることだったが、これは今日
   の天気図からは期待外れだった。

    もう一つがカモメランを見ることだが、
   あーちゃんが「これでカモメランが見られ
   ないとしたら残念だね。」と言っていたが、
   たつさんは必ず見られると信じていた。

    ギンリョウソウ、クルマバツクバネソウ、
   ユキザサ、チゴユリが見られたが数は非常
   に少なかった。
  ブナの巨木
 
  ギンリョウソウ クルマバツクバネソウ
 
  ユキザサ  チゴユリ
      標高1750m付近で3株のカモメラン
   が咲いていた。花の径は1センチにも満た
   ず、株全体の高さも5センチ程度の小さな
   花だ。

    たつさんもあーちゃんも初めて見る花だ。

    ここから黒岳はわずかであるが、途中に
   もいくつか咲いており、山頂付近には保護
   されて咲いていた。
    カモメラン
        山頂付近では数種類の樹木の花が見られ
     た。帰ってから調べて分かったのはサワフ
     タギとミヤマザクラだった。

      このころから陽が照りだし、日蔭で昼食
     とした。あーちゃんが、「今日は4人以外
     人にまったく合わなかったね。北海道以外
     にもこんなに静かな山があるんだね。」と
     言っているときに、展望台の方から30人
     くらいの団体が賑やかに登ってきた。

      彼らは、「食事中お騒がせしますね。」
     と言いながらも集合写真を撮ってほんの少
     しで下山してしまった。
  カモメラン
 
  サワフタギ ミヤマザクラ
      せっかくここに来たのなら、あと十数歩
   東に歩けばカモメランが見られるのにと団
   体の後ろの方の人に伝えたが、あまり興味
   がないようだった。

    われわれも展望台に行ってみたが、河口
   湖はきれいに見えるもののその後方の富士
   山は雲がまだかかっていた。近くにトウゴ
   クミツバツツジの花が残っていた。

    すずらん峠に下る途中でミヤマキンポウ
   ゲがいくつか咲いていた。

    すずらん峠から林道に下りて駐車場に向
   かった。バイカウツギが咲き始めていた。
  ミヤマキンポウゲ
 

 


    期待した富士山と南アルプスの山々の眺望は残念だったが、カモメランを初めて見ることが
   できた。

    花は少ないがこの日はとても静かな山歩きだった。樹木の花が多かったのは予想以上だった。


   駐車場 8:34  分岐 8:57  府駒山 9:15  釈迦ヶ岳 9:59  日向坂峠

   11:19  黒岳 12:35  すずらん峠 13:25  駐車場 14:05


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