稜線なので風がややあって、雨は降ってい
  ないがレインウェアの上衣は着て歩く。

   ほどなくツガザクラが見えた。

   八本場のコルへの登りでもところどころで
  見られたが、登山道近くのものは花の落ちて
  いるものが多かった。

   さらにアオノツガザクラが顔を出した。
    ツガザクラ
       トラバース道の花を見て、北岳山荘から中
    白根まで行って、運が良ければ北岳の写真を
    撮って、と考えてトラバース道に入った。

     この日は3連休の最終日なので、下山客も
    多いのかと思ったが、八本場のコルからトラ
    バース道で会ったのは2パーティー6人だっ
    た

     トラバース道にはまだハクサンイチゲやオ
    ヤマノエンドウ、チョウノスケソウなどの初
    夏の花がかなり見られる。

     反対に盛夏の花はようやく咲き始めといっ
    た感じ。
   アオノツガザクラ
 
  チョウノスケソウ オヤマノエンドウ
     初夏と盛夏の間にあってちょうど見ごろな
  のが、ミヤマシオガマとミヤマムラサキ、イ
  ワベンケイだ。

   ミヤマシオガマが北岳山頂部一帯で見られ
  るのに対して、ミヤマムラサキはここトラバ
  ース道でしか見ていない。日本の特産種で岩
  の隙間に多くみられる。数が少ない希少種で
  もある。

  ミヤマシオガマ
       ようやく咲き始めたのが、シコタンソウ、
    イワオウギ、シロウマオウギ、タカネグンナ
    イフウロ、タカネシュロソウ、ハゴロモグサ、
    ヨツバシオガマ、ミネウスユキソウといった
    ところ。

     それもほんの数株で開花が見られた程度。
    今年は全体に花が遅い感じがする。盛夏で見
    られるハクサンフウロやタカネコウリンカ、
    タカネニガナなどは全くその姿を見なかった。
  ミヤマムラサキ  
 
   シコタンソウ タカネグンナイフウロ
 
     北岳山荘に近い草原は、ミヤマシオガマ、
    ミヤマオダマキ、チョウノスケソウ、キバナ
    ノコマノツメなどのお花畑が展開していた。

     さらに進むと、残雪が一部に残り、キバナ
    シャクナゲやチングルマ、ミネズオウ、コイ
    ワカガミなどの雪田性植物やタカネヤハズハ
    ハコ、コケモモ、ウラジロナナカマドなどが
    咲いていた。
  タカネシュロソウ
 
  色とりどりのお花畑
 
  キバナシャクナゲ チングルマ
       北岳山荘には立ち寄らずに、そのまま30
    00mの稜線を進む。相変わらず霧がかかっ
    ていて時々中白根が現れる程度。

     中白根まで行く目的は、イワヒゲを撮り直
    すことだった。北岳周辺ではイワヒゲを目に
    していない。イワウメの後に同じ岩場に咲く
    ケースが多いのであるが、今まで目にしてい
    なかった。

     中白根周辺で今回も見たが、そのあと肩の
    小屋周辺でも小太郎分岐周辺でもわずかに見
    ることができた。

     中白根途中で、思いがけずチシマゼキショ
    ウを見つけることができた。
  コイワカガミ
 
  イワヒゲ チシマゼキショウ
     チシマゼキショウは北岳に通って初めて見
  た花だ。あたりを探したが数株しかなかった。
  大雪で見たチシマゼキショウよりずっと小さ
  い。個体数が少ないため劣性遺伝があるのか
  もしれない。このまま何とか残ってほしいと
  願った。

   北岳山荘からこちらには、それまであれだ
  け見られたミヤマシオガマは全くない。その
  かわりヒメヨツバシオガマだけがところどこ
  ろに見られ、またタカネツメクサも多く見ら
  れた。
  ヒメヨツバシオガマ
 
     引き返して北岳に向かう。途中で霧が晴れ
    一部青空ものぞいたので、しばらく待ってみ
    たが、結局北岳の全容は見られなかった。

     北岳への途中の花もまだ初夏の花が多かっ
    た。チョウノスケソウがこんなにたくさん咲
    いていたのを見るのは初めてのような気がす
    る。ハクサンイチゲも旬。ミドリハクサンイ
    チゲも見られた。ミヤマキンバイ、オヤマノ
    エンドウ、キタダケナズナなども十分きれ
    いに咲いていたが、夏の花々はまだだった。

     ほかにチシマアマナも残っていた。タカネ
    マンテマが見たかったがまだ蕾が顔を出した
    程度だった。
  タカネツメクサ  
 
  ハクサンイチゲ ミドリハクサンイチゲ 
 
    山頂の上空は青空だった。20人程度の登山者が休憩していた。周囲は仙丈岳が見えるが、
   ほかの山々はほとんど見えない。

    肩の小屋に降りて休憩。ここで今回の土砂崩れの影響を聞いてみたら、宿泊客もテント泊も
   例年の半分だそうだ。

    小太郎分岐から草すべりへ下る。シナノキンバイの大群落が見られた。

   
   草すべり上部のシナノキンバイ
     このお花畑で、ハクサンチドリが見られ、
  さらに下ったところからハクサンフウロやタ
  カネグンナイフウロ、ミヤマハナシノブなど
  の夏の花が少し咲いていた。

   翌日、梅雨が明け、快晴の中で北岳が見ら
  れた。
  ハクサンフウロ
 
  ミヤマハナシノブ 広河原から見えた北岳
 

 


    天気には必ずしも恵まれなかったが、この時期の花を堪能してきた。特に今年は花の開花が遅い
   ようで、初夏の花々もたくさん見られた。

    2日目、あーちゃんとは結局途中での合流はできなかったが、小太郎分岐から右股を下ってくる
   途中でオオタカネバラを見て撮ってきてくれた。この花も我々にとっては北岳で初めて見る花だっ
   た。





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