トラバース道は大満足だったが、山荘から山頂までの花は、過去のこの時期と比べてとても寂し
  く感じた。

   タカネヒゴタイ、イワツメクサ、ミヤマコゴメグサ、コケモモ、チシマギキョウ、ミネウスユキ
  ソウにタカネシオガマといったところ。ここにもまだトウヤクリンドウは蕾の見える株がいくつか
  見られただけ。

      八本場のコルとの分岐付近で、コメバ
   ツガザクラの真っ赤に紅葉した葉を見た。

    ウラシマツツジの葉が真っ赤になるの
   は知っているが、コメバツガザクラの葉
   がこれほどまでに鮮やかな赤になるのは
   はじめて見た。


  コメバツガザクラの葉
      分岐から山頂付近は種類は今までと同
   じくらいあったと思うが、もう終わりか
   けの花が多かった。

    例えばシコタンソウはそこここで群落
   を作っているがもう終わりかけ。ヨツバ
   シオガマやシナノキンバイもほとんど終
   わり。

    ムカゴユキノシタはこの時期咲いてな
   いだろうと思ったが、岩の間にあるもの
   はまだ残り花が見られた。

    ハハコヨモギやタカネヤハズハハコも
   少ない。

    シコタンハコベはようやく咲き始めた
   株がいくつか。

    そんな中で、タカネシオガマの多さに
   はびっくり。タカネシオガマは一年草な
   ので、開花の条件が今年はよかったのか、
   当たり年だった。
  ムカゴユキノシタ 
 
  タカネヤハズハハコ  シコタンハコベとタカネシオガマ 
 
    山頂に近づくにつれて、雨がポツポツ降ってきた。
    それほどの雨ではなかったがレインウェアを着て歩く。山頂はガスで全く何も見えず。
    少しいただけで、下山。
 
    まもなく雨も上がり、ときどき陽もさ
   してきた。雲は多いもののこれ以上雨は
   降らない気がした。

    途中に雨に濡れたイワギキョウが陽の
   光を浴びていた。イワギキョウは北岳で
   は肩の小屋と山頂の間だけでしか見たこ
   とがない。

    肩の小屋は1時前だというのにツアー
   客など結構泊まりの人が多いみたい。わ
   れわれは早速うどんを注文した。美味し
   かった。
  イワギキョウ
      肩の小屋から小太郎分岐までの花は、
   ムカゴトラノオ、タカネシオガマ、タカ
   ネツメクサ、ミヤマコゴメグサ、イワツ
   メクサ、チシマギキョウと終わりに近い
   ミヤマダイコンソウだった。

    小太郎分岐を下るとまた様相が違って
   きた。オンタデがたくさんあり、その中
   にバイケイソウがこれもたくさん咲いて
   いる。確かに標高は高いし雪も比較的遅
   くまで残っていただろうが、これだけ夏
   の花が早く終わっているときにバイケイ
   ソウがこれだけ旬に近いとはどういうこ
   とだろうか?
    
  ミヤマバイケイソウ
      この高茎草原には、クルマユリ、エゾ
   シオガマ、ウサギギク、イブキトラノオ、
   ミヤマアキノキリンソウが分岐に近いと
   ころに咲いていた。シナノキンバイはほ
   とんど見られなかった。以前は大きな群
   落で黄色一色だった記憶があるが・・・。

 
    クルマユリ 
 
  エゾシオガマ  ウサギギク 
 
    ウメバチソウが咲きはじめだった。
   さらにハクサンフウロ、ミヤマキンポ
   ウゲ、タカネナデシコ、シナノオトギ
   リ、ヤマハハコなどが見られた。

    そして樹林帯に入るとマルバダケブ
   キのすごい数が咲いていた。

    08年、10年、今年と8月5日か
   ら11日までの間に3回来ているが、
   以前と比べて今年の花は、
   @多く咲いていたのが、ハクサンフウ
    ロ、タカネシオガマ、キンロバイ、
    ミヤマバイケイソウ
   A終わりに近く少なかったのが、シナ
    ノキンバイ、ミヤマハナシノブ、ミ
    ソガワソウ、ヨツバシオガマ、タカ
    ネグンナイフウロ
   Bまだ花が見られなかったのがトウヤ
    クリンドウ
   だった。
   ウメバチソウ
      白のタカネナデシコを一株見つけ、御
   池が見える急斜面にミソガワソウ、クガ
   イソウ、シモツケソウなどを見て、テン
   場に戻った。

    ビールの旨かったこと!!
    
    この日はそれから何回かごく短時間雨
   が降った。
  タカネナデシコ(シロバナ)
 
    今回はトラバース道は素晴らしかったが、他については少し残念だった。

    今年の大樺沢の雪渓は非常に少なかった。原因として冬から春の降雪量の少なさが挙げられ
   よう。また春から夏にかけての気温の高さ、雨の多さも関係するだろう。気温に関しては6月
   下旬に東京で最高気温が35度になった日があり、その前後一週間は30度を超えていた。ま
   た梅雨明けが早かった。一方降水量は梅雨入り後比較的雨が多かった。

    そんなわけで今年北岳を歩いた7月上旬、下旬、今回ともそれぞれの時期で過去に行った時
   と比べて雪渓の量が非常に少ないと思う。そのために大樺沢では花が早く咲き、ごく短時間で
   終わってしまったものと思う。

    山頂部はどうかというと、6月下旬の高温でキタダケソウの盛期が短かった。同様にその他
   の山頂部の花も開花時期も早く終わるのも早かったと思う。キタダケトリカブトやシコタンハ
   コベが咲きはじめがほんの少しだとかトウヤクリンドウが全く開いていないのは日照時間の関
   係か?

    一方でタカネシオガマのような一年草にとって、今年はいい年だったのかもしれない。

    自然の営みはだから面白く興味深い。


  広河原12:22  二股15:06  御池15:35

  御池6:48 八本場のコル8:24  北岳・山荘分岐9:12 北岳山荘10:04

  吊尾根分岐11:38  北岳山頂12:05  肩の小屋12:44  御池14:48

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