再び二人で北岳に向かう。もうこの頃には雲がかかってきて、直射日光はほとんどない。
   風も弱く、こういう状態のほうが歩くのも楽だし、花を撮るには都合がよい。
      
      小さな株のミヤマホツツジがきれいな
   花を咲かせていた。

    ミヤマセンキュウ、キンロバイ、コバ
   ノコゴメグサが咲き、チョウノスケソウ
   の種子がくるりと巻いた姿を見せていた。
    キンロバイはたくさん咲いている。

    タカネツメクサやチシマギキョウもあ
   る。
 
    シラネヒゴタイが二つ、花をつけてい
   た。
  シラネヒゴタイ 
      ハハコヨモギやシコタンソウ、タカ
   ネヤハズハハコも現われる。ホソバツ
   メクサも一株見えたが、花の数がやや
   少ない。

    この道では、まずタカネマンテマを
   探したいと思っていたが、あった!。
   しかし、筒状の顎が上を向いている。
   つまり花が終わった証拠だ。もっと上
   のほうには、まだ花をつけている株も
   あるのではと期待をかける。

    ムカゴトラノオ、タカネシオガマも
   たくさん咲いている。トウヤクリンド
   ウはほとんどがまだ小さな蕾。 
   キンロバイ
      八本場のコルとの分岐に到着。

    このあたりには、ウラジロキンバイ
   がある。北岳のほかのところではほと
   んど見かけないが、ちょうどこの分岐
   の岩陰に咲いている。今が見ごろだ。

    ここは6月下旬にはオヤマノエンド
   ウやチョウノスケソウもかなり咲くと
   ころだが、今はすでに終わっている。
  ウラジロキンバイ
      ここから山頂へ向かう。
    ここからの道には、シコタンソウやタカネツメクサ、イワツメクサなどの小さな花がかなり
   大きな群落を作っている素晴らしいところだ。後で行く東南斜面のトラバース道とはまた違っ
   た趣のあるところだ。

    さっそくシコタンハコベが見られた。
   この花を見るのは3年ぶりで、たつさんの好きな花の一つだ。
   12枚ほどの白い花弁。花の真ん中は黄緑色でタカネツメクサに色の配合が似ている。そして
   赤いおしべがアクセントになっているうえ、葉の色合いがエゾルリソウに似た白みがかった緑
   である。
    すぐ近くに、シコタンハコベ、シコタンソウ、チシマギキョウの群生がきれいだった。 
   
   シコタンハコベ  シコタンハコベのアップ
 
シコタンソウ、シコタンハコベ、チシマギキョウ、タカネシオガマ 
   
      ムカゴユキノシタもまだ大分残ってい
   た。およそ一ヶ月前にここを歩いたとき
   に、大分大きくなった蕾を見ていたので、
   まだ咲いているだろうかと思っていた。
    この花は岩陰を好んで咲くので、場所
   によって残っていた。2つ以上咲いてい
   る株はなかなか見られなかった。

    さらに、岩場に張り付いて咲く花々が
   たくさん見られた。

    タカネマンテマは数株あったが、いず
   れも花が終わっていた。
   ムカゴユキノシタ
     
   シコタンソウとタカネシオガマ ハハコヨモギ、ミヤマキンバイ、イワオウギ、タカネツメクサ 
      そしてキタダケキンポウゲがやっと見
   つかった。ものの本にキタダケキンポウ
   ゲは中白根から間ノ岳にあるとあったの
   で、今回は結構目を皿にして探したが見
   つからなかった。「でもこれから北岳の
   ほうで執念で探すぞ!」とあーちゃんに
   言っておいた。

    はじめ見たところではミヤマキンバイ
   に寄り添う形で一株見つけたが、もう少
   し勢いのある株がないかと再び探し始め
   た。
    花の大きさと茎の高さの関係から、も
   う終わりに近いのかもしれないが、数株
   見られた。

    さらに、ホソバツメクサもまあまあの
   株が見られた。

    山頂到着。
    展望はよくない。かなりの人数が山頂
   で憩っていた。
  キタダケキンポウゲ 
      再び八本場のコル分岐へ戻り、少し
   下がってトラバース道を北岳山荘へた
   どる。昨日通った道で、花々はずっと
   見てきたが、写真には収めていない。

    キンロバイ、シラネヒゴタイ、タカ
   ネナデシコ、タカネシュロソウ、シコ
   タンソウ、コバノコゴメグサなどが東
   南斜面の登山道の上と下にびっちり咲
   いている。
   
    イブキジャコウソウ、タカネシオガ
   マ、タカネヤハズハハコ、タカネコウ
   リンカ、タカネグンナイフウロなどな
   ど。

    ひとつところにこれだけの種類が咲
   いているところも珍しい。何時来ても
   素晴らしいところだ。
  ホソバツメクサ
 
  タカネナデシコ  タカネシュロソウ 
 
  タカネヤハズハハコ  タカネシオガマ 
      
    ちなみに、トラバース道に入って少し
   の地点で、立ち止まって自分の周囲およ
   そ5,6メートルの範囲にいったいどれ
   だけの花が見られるかを数えてみた。

    タカネナデシコ、キンロバイ、ムカゴ
   トラノオ、ミネウスユキソウ、トウヤク
   リンドウ、チシマギキョウ、タカネツメ
   クサ、タカネシオガマ、タカネイブキボ
   ウフウ、イワオウギ、イワベンケイ、ミ
   ヤマキンポウゲ、タカネシュロソウ、ミ
   ヤマセンキュウ、ハクサンイチゲの15
   種類だった。

  タカネニガナ 
   
   ハゴロモグサ イブキトラノオ
      そんなトラバース道でも、どこでも同
   じ花が続くのではなく、場所によって花
   の種類が違ってくるからますます楽しく
   なってしまう。
    ハシゴのかかっているちょうど中間あ
   たりで、もう一度同じことをやってみた。

    ヤツガタケタンポポ、ホソバツメクサ、
   ウメバチソウ、イワオウギ、タカネイブ
   キボウフウ、ミネウスユキソウ、タカネ
   ミミナグサ、イワベンケイ、ムカゴトラ
   ノオ、タカネコウリンカ、タカネグンナ
   イフウロ、タカネスイバ、キタダケトリ
   カブト、キタダケヨモギの14種類だっ
   た。 
  ミソガワソウ   
      終わりかけのツガザクラやこれから咲こ
   うというクルマユリも見られた。こうして
   ゆっくり花を見ながらテン場に戻ってきた。

    それでもまだ2時前。たっぷりと時間が
   ある。あーちゃん、「うちにいると暇があ
   るといろんなことをやってしまったり、テ
   レビでも見てしまうけど、昨日も今日もこ
   れだけ時間があって何もすることがないと
   花を見たり景色を見ながらボーっと過ごす
   しかないけど、それはホントは贅沢なこと
   だよね。」

    まさにその通り。ビールを一杯飲んでベ
   ンチに腰掛けながら夕飯まで何もせず何も
   考えず景色を眺めていた。
 
     アカイシミヤマクワガタ
  〈第3日目〉

    今朝も快晴。
    周りのテントの人たちも小屋に泊まった人たちの中にも4時半頃から出発するグループも
   あった。我々はゆっくり支度をし、5時半をめどに出発することにした。

    八本場のコルから大樺沢を下る。二股まで日差しが強かった。そして広河原10:20の
   乗合タクシーで芦安に戻った。

    山に入っていた3日間は下界は猛暑だったらしいが、山は快適だった。天気にも恵まれ、
   ゆったりとした気分で花も見られて、たっぷり遊ばせてもらった。あーちゃんの軽い高山病
   が少し残念だったが・・・・。



  広河原6:40  二股9:05  八本場のコル11:45  北岳山荘13:33

  テン場6:13  中白根6:50  間ノ岳7:44  八本場コル分岐11:31  北岳11:58
  テン場13:20

  テン場5:30  八本場のコル6:37 二股7:58  広河原10:09
   



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