〈第一日目〉 | ||
---|---|---|
広河原山荘には張り紙があって、大樺沢ルートは通行禁止になっている。まだ、水量も多く、流木 などで沢に橋がかけられないらしい。 この情報はあらかじめ分かっていたので、御池ルートを通ることで考えていた。 本当なら、二股までの大樺沢のほうが、歩きやすいし、景色も変化に富んでいてすきなのだが、御 池ルートは結構なのぼりが続くので帰りに通るのならと思っていた。 オククルマムグラやテンナンショウ、サワギクが見える。ミヤマカラマツももう花を咲かせており、 キリンソウが肉厚の葉っぱをつけ黄色い花を開かせ始めていた。コアジサイももう少しで薄紫の花を 見せそうだった。いつもの場所のクリンソウは終わりかかっていた。 去年6月中旬にはタチカメバソウがいくつも咲いていたが、今年は一つも見えなかった。 |
||
![]() |
![]() |
|
ミヤマカラマツ | キリンソウ | |
二股への分岐から御池ルートの急 坂が、第二ベンチの上約15分まで 続く。でも、空は真っ青で雲ひとつ ない。ほんのわずかの間だろうが、 今時にしては貴重だ。 下のほうのマイヅルソウは終わり かけていたが、登るにつれて、マイ ヅルソウ、ゴゼンタチバナが多く咲 いている。 第一ベンチではこの時間日陰がな く、日差しが強い。ヤグルマソウが いくつか咲きはじめている。 第二ベンチ付近には立派なミヤマ バイケイソウが一株だけあった。こ のような尾根筋に珍しい。 |
![]() |
|
ゴゼンタチバナ | ||
![]() |
![]() |
|
ヤグルマソウ | ミヤマバイケイソウ | |
![]() |
このルートではランもいくつか見ら れるので楽しみな道でもある。 昨年はホテイランとオノエランが見 られた。 今回も、もう終わりに近かったが、 コフタバランを2つほど見た。 また、イチヨウランも兜の角のよう な顎片が垂れているのが一輪あった。 ところが帰り道でふと立ち止まったと きに、まだ旬の株が見られることにな る。 そしてちょうど咲きはじめのキソチ ドリが御池小屋近くまで所々に見られ た。 ツバメオモトは何とか花が残ってい た一株を見ることができた。 |
|
キソチドリ | ||
御池到着。 大分雲が出てきた。ここでしばらく 休憩。 その後、草すべりを歩き出す。この 最初の登りが結構急坂。 残雪はほぼ消えかかっていた。 ミヤマキンポウゲ、キバナノコマノ ツメ、サンリンソウが出迎えてくれる。 雪が解けてようやく顔を出したとい うところ。 |
![]() |
|
御池から草すべりのとっつきの道 | ||
|
![]() |
![]() |
キマナノコマノツメ | サンカヨウ | |
御池を過ぎてから、あーちゃんの 速度が遅くなる。「昨日も寝不足だ し、どうも高山病になったみたい。」 「じゃあ、先を急ぐこともないから ゆっくり行こう。」ということで、 通常の我々のペースでなくゆっくり 休み休み登る。 ジグをきっての登りでは、サンカ ヨウ、ミネザクラ、ミヤマハタザオ、 コヨウラクツツジ、ワチガイソウな どが現れる。 右股コースとの出合いの手前に、 ミヤマアカバナのかわいい花が三つ 咲いていた。 またイワカガミも見ることができ た。イワカガミはこの先、小太郎分 岐付近にも大きな群生があった。 この付近はやっと雪が解けた状態 で、ショウジョウバカマがたくさん 咲いていた。 |
![]() |
|
ミヤマハタザオ | ||
![]() |
![]() |
|
ワチガイソウ | ミヤマアカバナ | |
![]() |
![]() |
|
イワカガミ | ショウジョウバカマ | |
残雪を乗っ越して、小太郎分岐到着。 正面に見えるはずの仙丈ケ岳は、上 半分が雲に隠れている。もうこの時点 では完全に曇り空。霧はほとんどかか っていない。雨が降っていないのが勿 怪の幸い。 尾根とそこからの斜面には、ミヤマ キンバイ、イワウメ、ハクサンイチゲ、 チシマノアマナ、キバナシャクナゲが いっぱい咲いている。2年前の6月末 の時よりずっと花が多い。 |
![]() |
|
ミヤマキンバイ | ||
![]() |
![]() |
|
キバナシャクナゲ | キバナシャクナゲの咲く斜面 | |
![]() |
![]() |
|
ハクサンイチゲ | チシマノアマナ | |
目を岩場に向けると、小さなコメバ ツガザクラやウラシマツツジもそんな に多くはないが咲いている。イワツメ クサも。さらに肩の小屋に近づくとオ ヤマノエンドウも加わった。 小太郎尾根の花は今の時期がもっと もいいように思う。 ここまで、広河原から歩いてきて、 下山の人数名に会っただけ。 登りで追い越されたり、追い越した りは皆無。こんなことは北岳では初め て。 |
![]() |
|
ウラシマツツジ | ||
小太郎分岐から肩の小屋までは花を眺めたり撮ったりで、1時間もかかった。 これはいつもと 同じ。 やはりここまで来ると、草すべりまでで見られる花の種類も違うし、量も断然違う。 肩の小屋到着。 はじめは北岳山荘まで行くつもりではいたが、あーちゃんの体調もあり、予定を変更して肩の 小屋に泊まることにした。 小屋の中で昼食をとっていると、雨が降り始めた。この雨も20分もしたらあがって、空も明 るくなったのでキタダケソウを見に出かけた。 |
||
時々ガスは晴れるが視界はよくない。 ただ、風が弱いことは幸い。 両股への分岐付近にはかなりのチョ ウノスケソウがあるが、蕾は全くとい ってよいほどない。山頂を越して八本 場への分岐付近には蕾が出ているチョ ウノスケソウが見られたので、もう少 し時間がかかるんだろうか? クモマナズナ、ハクサンイチゲ、オ ヤマノエンドウ、チシマノアマナ、ミ ヤマキンバイなどがたくさん見られる ところがある。まだ確定できていない が、キタダケナズナらしい株も見られ た。 |
![]() |
|
![]() |
![]() |
|
クモマナズナ | オヤマノエンドウ | |
山頂の少し手前でムカゴユキノシタ が見られた。 まだ蕾であるが、もう一週間もした ら開くのではないだろうか? そして、山頂から少し下って、あの 斜面にキタダケソウが満開の姿を見せ てくれた。 あーちゃんにとっては初めてのご対 面。 「疲れも吹き飛んじゃうよね。」 |
![]() |
|
ムカゴユキノシタ | ||
![]() |
![]() |
|
キタダケソウ | キタダケソウ | |
〈第二日目〉 | ||
翌日、朝早くは霧で視界ゼロ。寒さ はない。 ゆっくり朝食を食べて、一番最後に 小屋を出た。 小太郎分岐までは相変わらず視界も 悪かったが、雨は降っていない。 右股を二股まで降りて、二股から御 池に行き、戻ることにした。 右股コースも上部にはショウジョウ バカマがたくさん見られた。その他、 サンカヨウ、クロツリバナ、コヨウラ クツツジ、ミネザクラ、キバナノコマ ノツメ、サンリンソウなど。 |
![]() |
|
右股コースの中間点付近 | ||
![]() |
二股から御池小屋までの道は、今まで 見なかった花が見られるのではと期待を していた。 ここの林の道は他のルートに見られな い花が時々咲いていたことからの期待で ある。 やはりツマトリソウ、クルマバツクバ ネソウ、ヤマネコノメ、クリンユキフデ が見られた。 そして御池ではオオヒョウタンボクが すでに開花していた。 御池でしばらく休憩して、下った。 ある地点でふと立ち止まると、なにや ら白っぽい花の後姿が下方に見える。 下から回りこんで見てみたら、まだ旬 のイチヨウランだった。 今回の最後の収穫だった。 |
|
イチヨウラン | ||
今回も満開で旬のキタダケソウを見ることができた。 広河原6:18 御池ルート第2ベンチ7:57 御池小屋9:00 小太郎分岐11:45 肩の小屋 肩の小屋6:20 右股との分岐6:55 二股8:07 御池小屋8:45 広河原11:27 |
トップに戻る | 山の花の道に戻る |
---|