北 岳


                    2008年8月9日〜11日


 7月に登ってから約半月。盛夏から夏も後半に入った北岳の花を見ることが今回の目的である。

 今回は御池小屋のテン場をベースにして、2日目は北岳山荘から北岳を経由して戻ってくる
コースとし、この時期の花をじっくり見ることにした。
 初日は御池までなので、10時頃のバスで広河原まで行き、3時までに御池に着けば十分と
計画した。
 雲は多いものの天気は晴れていたが、大樺沢ルートの途中で雷雨となってしまい、しばらく
休んでいたが雨はやまず、御池に着く頃にようやくやんだ。


第一日目 
   下界は猛暑であるが、広河原付近に
 なると涼しく感じる。しかしいざ荷を
 背負って歩くと汗が噴出す。
  半月前には見られなかった、ソバナ
 やジャコウソウがみられ、クサボタン
 が可愛くカールした花を見せてくれた。
  

  

 
  ソバナ 
    
   ジャコウソウ クサボタン
 

 

 御池分岐近くで、レンゲショウマが
 見られた。
  林の中にいくつかの株があった。
 ここでレンゲショウマに出会えるとは
 思っていなかったので嬉しい。

 
     レンゲショウマ
 
   昼食をとってすぐに、タマガワホトトギスが一輪咲いていた。このころから風が
  出てきて、なかなか写せない。かなり粘っていろいろ工夫してみたが、ピンボケば
  かりであきらめた。
   明後日帰りに撮ることにした(ところが2日後はもう花が閉じていた)。

   このあと雷鳴が近くなり雨が降ってきた。すぐに止むだろうと雨具を着てじっと
  していたが、50分待っても止まず、仕方なく雨の中を歩くことにした。
    ヤマホタルブクロやレイジンソウ、
 マルバダケブキ、カイタカラコウやセ
 ンジュガンピ、そしてオドリコソウが
 あった。

  オドリコソウはほんとに笠をかぶっ
 た女性が踊っているような花で、風の
 盆の踊りを思い起こさせた。
 
    オドリコソウ 
   
   カイタカラコウ センジュガンピ 
 
  御池に着く頃、雨はやんで日がさし始めた。あたりにはイブキトラノオが咲き始めて
 いた。エゾシオガマも姿を見せてくれた。

  テントを張って汗を拭き、ビールがあっという間に空になった。 
 

  イブキトラノオ  エゾシオガマ
     

第二日目 
  アタックザックに食料と水を入れて
 出発。今日は快晴。でも午後は雷雨の
 予報。
  二股から八本場のコルを目指す。
  樹林帯にはカラマツソウ、シオガマ
 ギクなど夏の盛りの花がたくさんある。

  二股からの大樺沢にはイワオウギや
 ミヤマハナシノブ、グンナイフウロな
 どがたくさん咲き始めていた。

  ヨツバシオガマ、イワベンケイ、ミ
 ヤママンネングサ、ミヤマアキノキリ
 ンソウ、ミヤマキンポウゲ、ミソガワ
 ソウなどが咲いていた。
 
    ミヤマハナシノブ
   
  グンナイフウロ  イワベンケイ 
    八本場のコル到着。
  シロバナタカネビランジが迎えてく
 れた。
  ここから北岳の分岐までの南斜面の
 岩場にところどころ満開の花をつけて
 いる。

  ビランジはいちどきに花が咲くので
 はなく、同じ株でも咲いている花、ま
 だ蕾の花、もう終わっている花が混在
 していることが多いが、今日見た花は
 どれも開花しているものが多かった。

 
  シロバナタカネビランジ 
    さて、ここからいつものように花を見、
 写真に撮るのでしっかり時間がかかる。
 しかし今日は重たいザックではないので
 ずいぶん楽。
 
  トラバース分岐からさっそく、タカネ
 ヒゴタイ、イブキジャコウソウ、タカネ
 ナデシコが出てくる。
  タカネヒゴタイ
 
  イブキジャコウソウ タカネナデシコ 
    続いて、タカネイブキボウフウ、
 シュロソウ、タカネコウリンカ、イ
 ワオトギリ、ハゴロモグサ、タカネ
 ヤハズハハコ、タカネニガナなどが
 現れる。
 
  タカネイブキボウフウ
   
  タカネシュロソウ  イワオトギリ 
   
   タカネコウリンカ タカネヤハズハハコ 
      さらに、キタダケヨモギやタカネヨモギ、
 ミヤマウイキョウ、ミヤマシャジンなどが。
 
  キタダケヨモギ   
   
  タカネヨモギ  ミヤマシャジン 
    そして、もう秋を思わせるキタダケ
 トリカブト、トウヤクリンドウ、チシ
 マギキョウが。
 
  そして、タカネシオガマもシオガマ
 類としては遅く開花するすがたを見せ
 てくれた。

 さらにウメバチソウもたくさん咲いて
 いた。ハクサンフウロはまだ残ってい
 る花が結構あった。
 
 
    キタダケトリカブト 
   
  トウヤクリンドウ  タカネシオガマ 
   
  ウメバチソウ  ハクサンフウロ 
 
  とにかく、次から次へと盛夏から晩夏への花が現れてくれる。
  7月中に咲いていた花の中には、もうまったくそのすがたが見られない花も多い。

  北海道など雪田が残るような地域では、初夏の花に分類されていても8月にようやく
 雪が解けるとともに咲く花もある。すなわち同じ種でも咲く場所の違いから7月はじめ
 から8月終わりでも見られるものがある。

  しかしここ北岳では咲いている時期が長く続くということはなく、ある時期を過ぎる
 と初夏の花はほとんど姿を見せなくなる。雪渓の残る大樺沢では雪が解けるにしたがっ
 て咲く花が多いので初夏から夏のかなり遅くまで見られる花がある。

  北岳にもし雪田が多くあったらどんな光景が見られるのだろうかと思ってしまう。

  それにしても、ある時期の花の旬が過ぎたら次の時期の花が咲き始めるという、この
 南東のトラバース斜面はものすごい魅力だ。 

  北岳山荘で昼食にした後、もう一度トラバース道を反対から歩きたくなり、北岳経由
 で帰る予定を八本場コル経由で帰ることにした。
     
 
  この時期も北岳は素晴らしかった。
  今回は、ちょっと楽をしようと思って御池ベースで往復したが、やはり間ノ岳を加える必要がある
 と思った。また次の夏にはそうしよう。




9日
  広河原11:20  御池14:30

10日
  テン場発5:30  二股6:05  八本場コル8:15  北岳山荘10:10
  山荘発10:50  八本場コル発12:27  二股14:13  テン場14:45

11日
  テン場発6:20 二股6:50 広河原9:10
     
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