木曽駒ケ岳、宝剣岳


                         2011年9月15日


 中央アルプスの山に行くのは初めてである。この時期は花はほぼ終わっているだろうし、紅葉に
はまだ早い。会社に勤めていたときの仲間5人が集まったので、登ってみることにした。


  名古屋からと関東から集まるには長野県あたりがちょうど良いということになり、温泉とつい
 でに山に登るには千畳敷から木曽駒ケ岳がいいだろうということで選んでみた。駒ヶ根の家族旅
 行村に前泊して一番のバスで行くことにした。
  平日でもあり、中途半端な時期でもあるので登る人も少ないだろうと思っていたが、菅の台の
 バスセンターに着いたときにはたくさんの人がいてびっくりした。

      ここ2,3日残暑が厳しい。しかし、
  天気は素晴らしくよい。

   バスは臨時便がでて、しらび平のロー
  プウェイ駅へ。これに乗って千畳敷に着
  いた。

   まずは花に関してであるが、時期はす
  ぎているが少しは残っているだろうと、
  ちょっぴり期待はしていたが、咲いてい
  たのはヤマハハコとウメバチソウ、イワ
  ツメクサの残り花だけで、トウヤクリン
  ドウの何とか花の開いていたのが2株と
  イワヒゲの最後の一輪があっただけだっ
  た。

   ヒメウスユキソウ、ミヤマリンドウ、
  オヤマリンドウ、コマクサ、シナノオト
  ギリ、イワカガミ、チングルマ、シナノ
  キンバイなどそれこそかなりの数はあっ
  たがいずれももう今年の夏を終えていた。

   コケモモやガンコウラン、ヒョウタン
  ボク、ウラジロナナカマドなどは赤や黒
  の実をつけていた。
    ヤマハハコ
 
  ウメバチソウ イワツメクサ 
 
  トウヤクリンドウ イワヒゲ
 
    60人乗りのロープウェイは3回目の便
   で乗れた。ということはわれわれの前に、
   120人いたことになる。

    ウィークデイの木曜日なので、この山の
   人気の高さが窺える。たつさんにとっては
   まさに驚き。加えてツアー客は一人もいな
   いのだから。

    ロープウェイの千畳敷駅は日本で一番高
   い駅だそうだ。途中の景色は滝がいくつも
   見えて素晴らしい。シラビソの松ぼっくり
   が青紫色をしていることを初めて知った。

    千畳敷はもちろん快晴。青空に宝剣岳が
   聳えていた。
  千畳敷カールと宝剣岳
 
    準備をして歩き始める。
    入り口に駒ケ岳神社があり、ほとんど
   の人が登山の安全を祈ってか、お参りし
   ていた。

    ここから少し下って八丁坂を登る。

    イワツメクサだけがあちこちに咲いて
   いた。花崗岩の岩でできている道は、整
   備され、階段状になっていて崩れないよ
   うに鉄のネットで固定されている。

    登山者や観光客の安全を確保する意味
   ではしかたがないが階段の道はなんとな
   く歩きづらい。

    南アルプスの山々とその後ろに富士山
   が青空の中にだんだん姿が見えてくる。

    それにしても登山者が多い。最近はま
   た山ブームでもあるようで、山ガールが
   それぞれの思い思いのスタイルで登って
   いる。カラフルさでは負けていない山ボ
   ーイにもお目にかかった。
  八丁坂を登る
      それと比べてわれわれの服装は旧態依
   然のスタイル。そろそろ変身してみるか?

    乗越浄土に到着。やっぱりもう9月中
   旬だからか、2700mだからか、真夏
   のように汗をびっしょりかくこともない。
   日差しは強いが爽やかさが感じられる。

    行くてに中岳が見える。

    この付近にも山小屋が2軒ある。小屋
   に寄っている登山者は少ない。この先、
   駒ケ岳途中にも一軒、駒ケ岳を越えたす
   ぐにも一軒の山小屋があった。いずれも
   営業しているというのはここには相当の
   登山者が訪れるのだろう。
    中 岳
      中岳へは少し下って登り返す。ここの
   途中にコマクサを保護している場所があ
   り看板に植生保護を始めてから20年と
   いう案内があった。
    こういう地道な努力がわれわれの眼を
   楽しませてくれることに感謝。

    中岳を越えると木曽駒が岳の山頂部と
   共に御嶽山が見えてきた。
  木曽駒が岳山頂部と御嶽山
 
  南アルプス遠望(甲斐駒から富士) 北アルプス遠望(乗鞍から槍)
 
   中岳から下ってまた登り返し、木曽駒が岳の山頂に到着。

   素晴らしい! 360度の絶景だ。
   南アルプスは甲斐駒から北岳、農鳥の右に富士山。
   駒ケ岳神社の右手には乗鞍から笠、穂高から槍ヶ岳までくっきり。
   もちろん八ヶ岳や妙高、奥秩父の山々も。
   
      こんな天気はそう頻繁にはないだろうと
   思うほどの好天。

    早めのお昼を食べ、コーヒーをたっぷり
   飲んで1時間費やして下りにかかる。

    中岳に向かう途中もまだまだたくさんの
   人が登ってくる。
     駒ケ岳から中岳へ
      中岳に着いて、さてどこを降りるかを
   他の4人の意見を聞いた。

    来た道を引き返すか、それとも宝剣に
   登って、尾根を南へ下って千畳敷のカー
   ルの南側の道をとるか。

    たつさんはもちろん後者に決めている。
   二手に分かれようとの意見もあったが、
   結局後者に行くことになった。

    宝剣は目の前に頂上部が見える。
    「あそこまで1時間で行く?」と尋ね
   られたから、「そんなにかからない。ま
   あ15分だね。」と答えたら「15分で
   は行かないよ。」

    結局たつさんが先頭で13分、最後の
   人が20分だった。

   三ノ沢岳
      
    中岳から宝剣への登りは急で鎖場がいく
   つかある。4人の中には鎖場を登るのは初
   めての人もいる。慎重に上りながらも、一
   人のおばさんがすいすいと抜いていくのを
   見て、「負けるもんか!!」と気を入れて
   いる。

    「何でこんなところに行くんだ。」との
   声なき声が聞こえてくるが、知らん振りを
   して激励の声を掛ける。

    山頂部は狭い。若者が5人いた。てっぺ
   んの細い岩の上に立つ人もいるし、さてこ
   れからどっちに降りようかと考え込んでい
   る人もいる。南の道は長いのかと聞かれる
   が、行ったことがないので、地図上では遠
   くないでしょうと答えた。

    だんだん霧で景色は見えなくなった。

    
 
  宝剣岳山頂部 
 
    ここからの下りも急峻だ。

    鎖場が次々と出てきて。細いトラバー
   スになっているところもあり、下は急な
   落ち込みになっていてスリルがある。

    20分ほど格闘して下り、最後の8m
   ほどの直登を鎖で登ってやや平坦な尾根
   にでた。

    このあたりにはイワヒゲ、イワウメな
   ど岩場に咲く花の実がついており、また
   ウラシマツツジは真っ赤とはいえないま
   でも色づき始めていた。
  宝剣からの下りの岩場
 

 


    その後やや平坦な道を降り、極楽平に到着。

    ロープウェイの乗り場まで25分ほど階段の道を下る。花の時期はこの辺りはきれいだろうな
   と思いつつ。

    13:40発のロープウェイを待っていて、またもわれわれの前で定員に達した。でもすぐに
   臨時便を出すという。そしてしらび平に着いたら、バスセンターまでの臨時バスが2台出た。

    ロープウェイの中央アルプス観光も伊那バスもなかなかお客さんの気持を汲み取っている。天
   気のよさと共に交通機関の対応のよさに好感をもった気持の良い一日だった。



    千畳敷8:30  乗越浄土9:22  中岳9:49  駒ケ岳山頂10:20
    
    山頂発11:15  宝剣岳12:20  極楽平13:03  千畳敷13:32


    

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