車山(霧ケ峰)


                          2010年9月4日


 8月末にアポイ岳に登った目的が、エゾマツムシソウを見ることだった。この花を見たときに
とても清楚で「秋の初めのやわらかい陽だまり」という印象を持ったので、本州のマツムシソウ
も見てみたくなった。
 そこで、霧ヶ峰に見に行くことにした。



  霧ヶ峰は「霧ヶ峰湿原植物群落」として昭和35年(1960年)に天然記念物に指定されて
 いる。面積133ヘクタールだそうだ。霧ヶ峰はずっと以前車で通ったことはあるが、歩いてみ
 ようと思ったことはなかった。それがマツムシソウを見ることで、ここを訪れることになった。
  8月に入ってから関東・甲信越は晴天続きで気温も高く、もう終わりに近いかなと思ったが、
 行ってみることにした。
  この日も快晴。気温は朝9時の時点で24度ほどだったが、日差しはまだ真夏のように強い。
 車山の肩に駐車して、秋の植物を車山山頂〜蝶々深山〜八島湿原と一周する予定で歩き始めた。

       駐車場の地点で標高はもう1800メー
   トルほどある。幅の広い登山道がついてい
   る。登山道というより林道以上の幅がある。
   
    マツムシソウはところどころ咲いている
   が、大分花の先端が盛り上がっているもの
   が多い。つまり花の終期で、そろそろ種に
   なろうかというところ。
    
    タムラソウもあり、チャバネセセリが蜜
   を吸っている。

    あたりはヨツバヒヨドリがたくさんある。
   もう花が終わっているが、霧ヶ峰一帯にこ
   の時期、ヨツバヒヨドリとミヤマアキノキ
   リンソウがものすごい数だ。
     タムラソウ
        ヤマホタルブクロの残り花がわずかに
   見られた。
    ウスユキソウもあるが、すべて枯れ花
   になっている。

    クジャクチョウが現われた。
    たつさんは昔は昆虫少年だったので、
   昆虫の名前はまだ結構覚えている。小学
   校時代から夏休みの作品は自分で捕って
   作った昆虫の標本だった。高校一年まで
   夏休みに昆虫採集をしていたものだ。
  
    そのクジャクチョウがマツムシソウに
   止まろうとしている。それを、少しの間
   待った。止まって少し羽を広げてくれた
   ところが撮れた。

 
  ヤマホタルブクロ  
     
   マツムシソウにとまるクジャクチョウ  マツムシソウ
 
     タチフウロ(と思われる)が一周する間にいくつか見られたが、花びらがきれいについている
  ものは少なかった。
   ミヤマアキノキリンソウも本当にたくさんあったがどれもほぼ終わりの状態。まだ咲いている
  株は少なかった。

 
     
  タチフウロ  アキノキリンソウ
      
    約50分ほどで車山山頂に到着。
    反対側からリフトで登ってくる観光客
   が多い。
    山頂からは360度の大展望だ。

    富士山と左に八ヶ岳から蓼科山。右に
   鳳凰三山、北岳、甲斐駒などが。
    さらに木曽駒、御岳山、乗鞍、穂高、
   槍といった北アルプスまで一望できる。
   白馬方面は少し雲に隠れていたが、素晴
   らしい眺望だ。

    それにしても暑い。今日の天気予報で
   は下界は35度を越えるらしいが、ここ
   1900メートルの場所でもまだ真夏。
    ここに唯一の日陰があるがさっそくし
   ばし休憩。

    南アルプスを望む 
      ここから階段を下りる。はるか下に白
   樺湖が見える。
    ここの階段付近でトリカブトやイワア
   カバナ、ゴマナ、タカネコンギクなどが
   残っている。

    トリカブト類はなかなか同定できない
   が、八島湿原で花の名前を書いた札があ
   り、そこには「ツクバトリカブト」となっ
   ていた。

  ツクバトリカブト
 

 

  タカネコンギク イワアカバナ
      階段を下りて分岐を白樺湖方面には行
   かずに蝶々深山に向かう。ここの草原も
   もう咲き終わったヨツバヒヨドリとほぼ
   終わりかけのミヤマアキノキリンソウが
   たくさんある。

    その中に、ヤマラッキョウがところど
   ころに。これはまだこれから花が開く株
   が多かった。

    そしてウメバチソウとエゾカワラナデ
   シコ(これも八島湿原の花での中でその
   ように紹介されていた)。これらはまだ
   花のついているものもあったといったと
   ころ。ハクサンシャジンもわずかに花が
   残っているものがあった。
 
  ミヤマワレモコウ
   
  ウメバチソウ  エゾカワラナデシコ 
        草原歩きは広々として気持がいいが、
   反面、こういう天気のときは全く日陰が
   なく休むところを探さねばならない。

    時々潅木が生えているところがあり、
   そういう木陰でちょっとの休憩にする。
    振り返ると蓼科山や北八つも良く眺め
   られる。

    木陰にハナイカリが何とか花をつけて
   いた。
  蝶々深山への途中
   
  蓼科山と北八つ ハナイカリ
 
    蝶々深山から物見岩を経由して前方に
   見える八島湿原に向かう。八島湿原には
   今までと別の花が見られるのではと期待
   して歩いたが、今の時期だからか、少し
   残念だった。

    湿原というのでその中を木道が通って
   いて、両側に湿原の植物が見られると思っ
   ていた。
    しかし木道は湿原を取り囲むように上
   方につけられており、また湿原には花は
   ほとんど見られなかった。

    ビジターセンターで少し休んで、旧御
   射山から沢渡に向かう。
    右手が少しの間樹林帯になっていて、
   このあたりにはサラシナショウマやハン
   ゴンソウ、ツクバトリカブトが見られた。
  アサラシナショウマ
      フシグロセンノウの終わりかけの花が
   たった一輪だけあった。ヤナギランも随
   分あるが、ほとんどが白い綿毛のような
   種をつけていた。

    今回、リンドウが見られなかった。

    沢渡から40分程度の登りで車山の肩
   に着いた。ちょうど一周してきたことに
   なる。
 
  フシグロセンノウ 
  
    霧が峰全体にしても八島湿原にしてもいい時期に行けばたくさんの花が見られると思う。

    今回はマツムシソウを見に来たので、その目的は達成できた。
 
   

  車山の肩9:10 車山9:55 蝶々深山10:50 物見岩11:09 八島ビジターセンター

  11:56 車山の肩13:20

    


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