甲斐駒ヶ岳


                          2019年7月22日


   長崎の友人Kさんは毎年たつさんと日本アルプスに登ることを恒例としており、今年は7月
 に間ノ岳に行くことが決まっていた。千葉の娘さんの家に滞在している間のうち、18日から
 23日の間と決めたが、間ノ岳をゆっくり歩く雨の降りそうもない日が取れない。そこでたつ
 さんの提案で計画を変更し、甲斐駒ヶ岳に行くことにした。

  6月7日に梅雨入りしてから今年の梅雨はいまだにあけず、いつもならある梅雨の晴れ間も2日と続かず、
 おまけに低温の日が多く日照時間が極めて少なくなっている。間ノ岳には2泊3日で行きたいので、雨が降
 らない3日間をと毎日天気図を見ていたが適わない。やむを得ず、前泊で日帰りができる甲斐駒ヶ岳を選ん
 だ。

     21日は北沢峠の山小屋に行くだけの行程
  である。この日は夏休みが始まって最初の日
  曜日でもあるため、首都高や中央高速が混む
  と予想されたので7時半に駅で待ち合わせる
  ことにして出発した。

   ところが京葉道路、首都高、中央高速と全
  く渋滞がなくスイスイ。甲府で食材を仕入れ
  ても芦安に11時前に着いてしまった。結局
  小屋に入ったのが13時。自炊でバーベキュ
  ーをすることにしているが時間があるのでそ
  の辺を散策することにした。

   小屋の前にクリンソウの群落があった。
    クリンソウ
     22日はできるだけ早く出発することにし
  た。できれば北沢峠13:30のバスで下山
  したかったからだ。

   Kさんは今まで4回、たつさんと北アルプ
  スや南アルプスを歩いているが、標高が高く
  なると途中しばらく立ち止まって息を整える
  ことでまた歩き始める繰り返しだが、おおむ
  ねコースタイムで歩いている。

   甲斐駒はコースタイム8時間20分なので
  今日は9時間を想定した。

   長衛小屋からの入り口付近にヤグルマソウ
  とミヤマカラマツがあった。これらはいずれ
  も前日写したものである。
     ヤグルマソウ
       まずは仙水峠を目指す。

     この時間はまだ夜明け前なのでヘッドラン
    プをつけて歩く。ポツンポツンと雨が落ちて
    くるが、空はさほど暗くないため本格的な降
    りにはならないだろうと思う。

     仙水小屋を過ぎ、シラビソの林を抜けて岩
    場の道にかかる。

     ハクサンシャクナゲとコメバツガザクラ、
    チョウジコメツツジが見られた。ハクサンシ
    ャクナゲはこのあと駒津峰周辺までところど
    ころで咲いていた。チョウジコメツツジはも
    う終わりかけだったがこれもこの先でも見ら
    れた。
  ミヤマカラマツ  
 
   ハクサンシャクナゲ チョウジコメツツジ
     仙水峠に到着。

   摩利支天が正面に見えた。

   木にさえぎられて、甲斐駒の全貌は見えな
  い。

   ここまでコースタイムから数分ほど遅れで
  順調だ。

   ただここから急な登りになるので駒津峰ま
  でが一つの正念場だ。
  摩利支天
     林の中の岩場の道にかかる。標高2400
  mを超えるあたりからKさんの立ち止まって
  息を整える回数が増えてきた。よく見ている
  とどうも登る速度が速いようだ。そこで「も
  っとゆっくり歩いたらどうだろう?」と声を
  かけてゆっくり歩いてもらった。

   すると「息の上がるのがだいぶ少なくなっ
  た。」と言っており、このペースなら山頂ま
  で大丈夫だろうと考えた。

   足元にツマトリソウが咲いていた。

   ホシガラスが2羽飛んできて、1羽が木の
  てっぺんに留まった。
  ツマトリソウ
       2500m付近から眺望が開けてきた。

     甲斐駒はすぐ近くにその雄姿を見せてくれ
    た。鳳凰三山とその奥に富士山が見えてきた。
    
     昨日、中央高速から甲斐駒、北岳、間ノ岳、
    さらに悪沢から赤石、聖と南アルプスの山並
    みがきれいに見えていた。

     今日もどうやらそれが見られそうだ。Kさ
    んを待っていると、北岳も雲が切れて山頂部
    が見えだし、仙丈ヶ岳は一部陽が当たってい
    る状態が見られた。
   ホシガラス
 
  甲斐駒ヶ岳 鳳凰三山と富士山
 
  北 岳 仙丈ヶ岳
 
    鳳凰三山と富士山、それに早川尾根のアサヨ峰、栗沢山の眺めも素晴らしい。

   
  鳳凰三山と富士山、アサヨ峰
     今日の天気予報は昨日の朝の時点で曇一時
  雨となっていたが、ときおり薄日も差してき
  た。また風も弱く、これだけの景色が見られ
  るとは想像していなかった。

   このあたりからKさんの足取りがやや重く
  なる。この時点で北沢峠13:30のバスは
  難しいと判断し、15:30の最終バスで帰
  ることに決めた。まだKさんには伝えていな
  い。

   タカネバラとミヤマハンショウヅルが見ら
  れた。タカネバラはいくつも咲いていた。
  タカネバラ
       駒津峰に到着。

     なんと中央アルプスはおろか北アルプスも
    一部の山頂に雲がかかっているものの、乗鞍
    から穂高、鹿島槍までが見えた。これも思っ
    ていなかったことだった。

     コースタイムより30分遅くなっている。
    ここでKさんには最終バスで帰ることを伝え、
    目の前に見える雄大な甲斐駒山頂まで行こう
    と伝えた。「今のペースでいけば何とかなり
    そうだ。」というので先に進むことにした。
    ここまで来たら是非とも山頂に立ってほしい。
  ミヤマハンショウヅル
 
  甲斐駒ヶ岳と摩利支天
 
    駒津峰を過ぎたところで、北岳から間ノ岳、塩見岳など南アルプス北部の山々もそして
   南部の山々もきれいに見えていた。
 
   
  北岳、間ノ岳など南アルプスの山々
     駒津峰から甲斐駒本体の花崗岩の登り道ま
  では難所だ。特に下りの足の置き場がやや難
  しく、Kさんが苦戦している。

   ただここの間にはかなり多くの花が見られ
  た。ハクサンシャクナゲ、コケモモ、ツマト
  リソウ、ゴゼンタチバナ、ミヤマダイコンソ
  ウ、キバナノコマノツメ、マイヅルソウなど
  だ。

   直近でたつさんが甲斐駒に登ったのは7年
  前の8月で、この時は花の少ない山だなとの
  印象だったが、今回はそれが外れてくれて嬉
  しい。
    コケモモ
 
  ツマトリソウとゴゼンタチバナ マイヅルソウ
     山頂へは直登でなく、摩利支天分岐を通る
  巻き道をとった。こちらの方が傾斜が緩く、
  歩きやすいからだ。

   ここの道でもツガザクラやイワツメクサ、
  タカネツメクサが見られた。

   また途中の少ない草地に、ハクサンイチゲ
  とキバナノコマノツメの群落が見られた。

   「雪先花」の碑のところでは、ミヤマキン
  バイやイワヒゲも見られた。
  ツガザクラ
 
  ハクサンイチゲ キバナノコマノツメ
     そして北沢峠から約6時間かけて山頂に到
  着した。
    甲斐駒山頂 
 

 


     到着して記念写真を撮ってすぐに、雲が来て視界がゼロになり、雨も落ちてきた。

     気温が低いのでレインウエアを着る。山頂で少し休み、食事をとって北沢峠へ下山した。
    北沢峠までずっと雨だった。

     梅雨のこの時期、気温も高くなくてさほど汗もかかずに思いがけない眺望も得られ、
    Kさんにとっても大変だったが大満足の山行だった。


  こもれび山荘 4:20  仙水小屋 5:08  仙水峠 5:56  駒津峰 8:00

  甲斐駒山頂 10:12  駒津峰 12:23  双児山 13:28  北沢峠 15:20



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