甲斐駒ケ岳


                         2012年8月9日


 甲斐駒ケ岳と仙丈ケ岳をセットにして登ろうと随分前から毎年計画していたが、その度に
用事ができて今まで実現していない。幌尻で素晴らしい花々を見てきたあとなので、さほど
花は期待しないところにしようかと思っていたが、急遽セットで登ることを決めて北沢峠ま
で行ってみた。

  広河原から北沢峠への最後のバスに乗るためには、芦安の駐車場ではダメで夜叉神峠で
 甲府からの快速バスに乗らなければならないことが分かった。夜叉神峠が13:10発で
 それまでに余裕を持って着くことで家を出た。
  甲府市内のスーパーで今日の夕食の食材や明日以降の食材を仕入れてお昼をどこかで食
 べてと計画していた。ところが中央高速が事故で渋滞してしまい、時間的にぎりぎり。コ
 ンビニで食材を仕入れ、芦安へ行く途中で甲府からの快速バスを追い抜いて何とか乗れた。

      今頃は4時を過ぎてようやく白み始め
  る。しかしここのテン場では3時過ぎか
  らガサゴソ動く音がする。

   朝食をとって5時過ぎに歩き始める。

   北沢に沿って道がついているが、ここ
  はうっそうとしていて苔が多い。そこに
  ところどころ名札がついている。北沢峠
  から駒仙小屋までの道にも苔の名前のつ
  いた名札がいくつもあった。ここはいろ
  いろな苔があるようだ。しかし、苔の名
  前は全く知らない。

   右岸に渡ったところでようやく花が見
  えてきた。コキンレイカとトリアシショ
  ウマだ。
    コキンレイカ
 
    それまで全く花がなかったわけではな
   い。北沢駒仙小屋付近にはホタルブクロ
   やヤマオダマキ、ヤナギランは咲いてい
   た。しかしこの沢沿いはミヤマアカバナ
   が少しともう終わりかけのサワオトギリ
   くらいだ。

    甲斐駒は花の百名山に入っているが、
   山自体が花崗岩からできており、土がで
   きにくいため植物が育ちにくい環境にあ
   る。おそらくほかと比べてもずっと少な
   いのだと思う。オオビランジがあるらし
   いので、今回はそれを楽しみにしてきた。

    30分ほどで仙水小屋についた。清冽
   な水が流れていて、1リットルばかり戴
   いた。
  トリアシショウマ  
 
    ここから少しシラビソの林になる。写真
   では明るく写っているが薄暗い静寂な林だ。

    そしてこの林を抜けると大きな岩塊が重
   なったところにでた。

    下の写真は振り返って撮っているが、登
   る右側がハクサンシャクナゲや潅木が続き、
   左側は岩塊が続く。

    まだ、ハクサンシャクナゲがところどこ
   ろで残っていた。
  シラビソの林
 
  奇怪な岩塊 ハクサンシャクナゲ
      この岩礫の積み重なりが駒津峰を形成
   する尾根の南側と栗沢山を形成する尾根
   の北側の一部に存在する。そしてそれぞ
   れでこの岩塊の上は樹林帯になっている。
   岩塊が山全体ではなく一部にできており、
   そこだけが植物がほとんど生育できない。
   とても興味深い地形だ。

    ところどころにあるケルンに導かれて
   歩くが、あーちゃんが「ここで霧に巻か
   れたら道がわかんなくなるね。」と言っ
   ていた。

    仙水峠に到着。摩利支天と甲斐駒が見
   えてきた。
    摩利支天と甲斐駒ケ岳
      ここから駒津峰へ標高差約500m登
   る。少しジグを切るところはあるがほぼ
   直登だ。

    ダケカンバやコメツガの潅木が多く現
   われる頃にようやく花が見え出した。

    セリバシオガマ。この花はほんの少し
   の風でも揺らぐので撮りにくい。
    次いで、コバノコゴメグサ。これらは
   駒津峰より上にはなかった。
  セリバシオガマ
      ヒメシャジンがほぼ一箇所といってい
   い範囲で見られた。

    また、イワインチンもまだ開いてはい
   ないがもうすぐ咲く状態だった。この花
   は夏というより秋の花だ。

    さらに少し上にトウヤクリンドウがあっ
   た。帰りには日が当たって花が開いてい
   た。

  コバノコゴメグサ
 
  ヒメシャジン  イワインチン 
        視界が開けてきて、左側に仙丈ケ岳が
   雄大な裾野をひき、この山独特の地形、
   カールの一部が見える。

    また、栗沢山の右に北岳が、その右に
   間ノ岳、さらに奥に塩見岳が快晴の朝の
   そらにくっきり見えていた。
    こちら側からの北岳は間ノ岳から見る
   よりも屹立としているように見える。
    

    後ろを振り返ると、雲海の上に鳳凰三
   山が、その横に富士山が見えていた。

  トウヤクリンドウ   
 
   仙丈ケ岳  北岳から遠く塩見岳
      駒津峰に着く。

    前方の甲斐駒がものすごい迫力で迫っ
   てくる。
    山全体の大きさに加えて、周囲の山に
   比べてハイマツなどの木々や草本が極端
   に少なく、花崗岩の岩そのものの大きさ、
   そして白さが迫力を感じさせるのだろう
   か?。
 
   鳳凰三山  
   
  甲斐駒ケ岳 
 
    ここから、一部ナイフリッジの尾根をアップダウンし、六方岩と呼ばれる大きな岩の横を
   通って、甲斐駒本体に取り付く。

    その間、いずれも時期は過ぎていたが、マイヅルソウ、コケモモ、ゴゼンタチバナ、ハク
   サンシャクナゲ、ミヤマキンバイ、キバナノコマノツメ、ミヤマダイコンソウが少し見られ
   た。

    甲斐駒本体は、土が極端にないので、タカネツメクサがメイン。大きな株もあった。ほか
   はタカネニガナ、ヨツバシオガマ、ミヤマアキノキリンソウ、イワツメクサが少しあるだけ。

    登山道からは遠かったが、ハイマツの周囲には土があるのだろう。ウサギギクが見られた。
    オオビランジは見つけられなかった。
 
   タカネツメクサ  タカネニガナ
 
   ヨツバシオガマ  イワツメクサ
 
    山頂は広く、駒ケ岳神社の奥社が祀ら
   れていた。人もたくさん休んでいた。

    結構若い人が多かったのは心強く感じ
   た。パノラマ写真を撮り、景色を堪能し
   たのち同じ道を降りることにした。


   
   ミヤマアキノキリンソウ  
   
  仙丈ケ岳から北岳 
      
    駒津峰からの途中、行きの登りでは気づ
   かなかったが、オヤマリンドウが蕾をつけ
   ていた。
    オヤマリンドウ 
 

 


    「迫力があって、また変化に富んでいていい山だったね!」があーちゃんの感想。

    本当にそのとおりの山だった。花は少なくとも景色も抜群だったし、南アルプスの山々の大き
   さを十分堪能した一日だった。



   テン場5:21  仙水小屋5:54  仙水峠6:28  駒津峰8:08  駒ケ岳山頂9:42
    
   山頂発10:25  駒津峰11:30  仙水峠12:46  テン場13:50




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