<2日目>  
     昨夜の種池山荘は30数人の泊り客で、空
  いていた。

   山荘のロビーや談話室、食堂には石油スト
  ーブが焚かれていたが、客室は寒かった。昨
  日以上に今日の方が天気図としては好条件だ
  が、夜中から時折風の音がしていた。

   今日は鹿島槍ヶ岳の往復なので、不要な荷
  物を山荘において出かけることにした。

   空は快晴。鹿島槍もその双耳峰をくっきり
  と見せていた。ただ寒い。ダウンを着て歩く。
  まずは爺ヶ岳はトラバースして冷池山荘まで
  行くことにする。
  爺ヶ岳南峰(帰りに写す)
     昨日は見えなかったが、山荘前から朝焼け
  の空に富士山が見えた。

   爺ヶ岳の稜線に出ると風が強い。富山県側
  から吹き付けてくる。手がかじかんできてカ
  メラの操作がしにくい。

   温度計を持って歩いているが、この日はそ
  れを見なかった。帰ってから種池山荘のHP
  を見たら、この日の最低気温は−4℃でこの
  秋一番の冷え込みだったそうだ。

   全方位すべての山が見える。とりあえず、
  剱岳、朝焼けの鹿島槍、遠く槍ヶ岳を撮る。
    朝焼けと富士山
 
  剱 岳 朝日の当たる鹿島槍
       稜線上の紅葉はもう終わり。ナナカマドも
    葉を落とし、赤い実がついているだけのもの
    が多い。ただ、稜線から下がった山肌は至る
    所で紅葉していたが、この寒さと風でもう終
    わりになってしまうだろう。

     陽が上って来れば、次第に風も弱まるので
    はないかと期待し、朝日が当たって赤くなり
    始めた針ノ木岳から立山、剱岳を写し、そし
    てまた歩く。
  遠くに槍ヶ岳
     
 
  針ノ木岳から立山、劔岳の山々
   
     風は弱くなるどころか強さを増すように感
  じる。

   ハイマツの先端に霧氷がついていてそれが
  風で飛んで登山道に散らばる。

   ハイマツの下は霜柱が立っている。

   冷池山荘からの下山者数組とすれ違う。レ
  インウエアや防寒着のフードを頭からかぶっ
  て寒さを避けようとしている人が殆どだ。

   あーちゃんも、ダウンの上からレインウエ
  アを着てフードをかぶって歩いている。
    ハイマツに着いた霧氷
 
    冷池山荘の手前まで歩くこと1時間半。間近で鹿島槍の稜線を見て撤退を決断した。

    天気図から判断して、前線の通過などで突風が吹くというような心配はないものの、いくら
   快晴とはいえこの風では山に登る楽しさはないと思った。その上、二人とも冷たい強風の影響
   でドライアイになってしまっていた。

    そこで最後に一枚撮った。とても強風下とは思えない。


      そして帰りがけに空が晴れてきた立山連峰も撮って、爺ヶ岳の山頂を踏んで種池山荘に戻った。
 
   
  鹿島槍ヶ岳
   
   
  立山連峰
   
     山荘で暖かいコーヒーを入れて少し休憩し、
  荷物を作り直して下山することにした。

   山荘周辺は風が遮られて嘘のようだ。

   針ノ木岳にはまだ雪渓が残っており、岩小
  屋沢岳と山腹の紅葉がきれいだがこの寒さで
  もう見られなくなりそうだ。
  針ノ木岳を望む
     紅葉したチングルマの群生を見ながら下山
  する。

   ガラバを下りたすぐに、黄金岬という標識
  があって、そこから見る風景はまさに黄金色
  だった。

   下山道は途中まで針ノ木岳とその大雪渓を
  真正面に見ながらの道で、あーちゃんは「贅
  沢で静かな道ね。」と話していた。

   この道は下の方の林の中でも視界が効かな
  いのは少しだけで、あとは扇沢を挟んだ向か
  いの山や爺ヶ岳南斜面などがずーっと見られ、
  道も傾斜がほぼ一定で歩きやすく、石畳があ
  ったり、ガレ場があったりで変化に富んでい
  る。二人して、「ほんとに飽きない道だね。」
  と言い合った。これに水場があったら最上級
  の登山道だ。
 
     黄金岬からの絶景
 

 


     柏原新道は本当に良く整備された道で、とても気持ちが良く、また周囲の紅葉も見事だった。

     鹿島槍には着けなかったが、素晴らしい紅葉と大展望の満足いく2日間だった。


   登山口 10:37  ケルン 11:54  アザミ沢 13:50  種池山荘 14:42

   種池山荘 5:39  引き返し 7:09  爺ヶ岳 7:54  山荘 8:30  石ベンチ
   9:36  ケルン 10:54  登山口 11:40


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