たつさんがゆっくり写真を撮っている間に、二人は山頂に着いていた。

     山頂には白雲分岐で会った若者10人くらいのグループがノンビリしていた。今日はどこ
    まで行くのか尋ねたら、白雲避難小屋でテントを張るという。そのあとヒサゴ沼で張って、
    トムラウシに行き、新得へ抜けるらしい。

     ここで旭岳山頂部の雲が晴れるのをしばらく待ったが、ダメだった。早くついた二人は、
    山頂部が雲に覆われていない姿を見て撮ったという。よかった。

     と、「何だあれっ!」とNさん。ナキウサギが姿を見せ、岩陰に隠れた。ナキウサギも見
    られて良かった!

   
  白雲山頂からの旭岳
     白雲分岐に戻り、北海岳を目指す。

   イワギキョウがこの辺りにもたくさん咲い
  ている。

   花の沢上部には雪渓があるが今年はここも
  少なく、上部は10m程度雪渓を横切るだけ
  だった。ただ、その分、チシマクモマグサの
  たくさんの群生が見られた。

   Nさんは、「この花はきれいだなぁ」と呟
  いていた。
  チシマクモマグサ
     花の沢を過ぎると道の両側に雪田性の花々
  が見られるようになった。

   エゾコザクラ、エゾツガザクラ、アオノツ
  ガザクラ、チングルマ、ミヤマリンドウ、ヨ
  ツバシオガマなどだ。これにところどころミ
  ヤマキンバイの黄色が混じる。ただチングル
  マと同時期に咲くエゾノハクサンイチゲは今
  回全く目にしなかった。

   キバナシャクナゲの残り花も咲いていた。

   ここも小さい規模ながら素晴らしい場所だ。

   そこを過ぎてベンチがあり、この辺りはク
  モマユキノシタの宝庫だ。
    チングルマ
       平坦な道を歩く。
  
     イワツメクサ、クモマユキノシタ、イワブ
    クロが咲く礫地だが、ここに多いキバナシオ
    ガマはもう花をつけていなかった。

     このころには雲が増えてきて、北海岳の登
    り途中から見えないだろうかとたつさんは何
    度もトムラウシ方向を振り向いていた。
  クモマユキノシタ  
       北海岳への登りに向かう。岩の上にチシマ
    ツガザクラがたくさん咲いていた。

     ここの登りの道は、どこでもそうだが雨が
    降って水が流れるたびに少しづつ削られて深
    くなっていく。その道の両側にはイワヒゲの
    大きな群落があるが、花はもう終わっていた。
    花がついていれば二人に見せたい風景だった。

     このあたりからお花畑越しにトムラウシが
    見えると素敵な写真になるのだが、雲の中に
    隠れて見えなかった。
  イワツメクサ
 
  北海岳 チシマツガザクラ
     北海岳に到着。

   ここから昨日少し見えたお鉢が見渡せる。
  今日ははっきり見え、周囲の山々も確認でき
  る。

   北鎮岳、凌雲岳、黒岳、北鎮岳は旭岳に次
  ぐ北海道第2の高峰だと伝える。

   来た道を振り返ると、昨日登った赤岳、小
  泉岳、白雲岳が少し見えた。

   「ここもすごい景色だね。」と二人。
    北鎮岳
       ここでも少し時間調整する。

     Sさんがこれからのルートを眺めて、「お
    鉢の周りの尾根伝いに黒岳まで歩くのかと思
    ったら、一旦下るんだね。」

     「そう、左回りと違って、黒岳へは一旦川
    まで下ってそこからまた登るんだ。でも、川
    の近くにお花畑があるよ。」と伝えて歩き出
    す。

     ガレ場を下ったいつものところにシロバナ
    イワブクロが今年も咲いていた。
  黒 岳
       ここでも雪渓は溶けてなくなって夏道だけ
    だった。

     ただ川の左岸には雪は少し残っていた。そ
    の付近に遠目だがエゾノリュウキンカらしい
    黄色の花が咲いていた。

     川沿いにはピンクのエゾコザクラが咲き、
    その上にエゾツガザクラ、アオノツガザクラ、
    チングルマのお花畑が続いていた。

     もう一つ川をわたって黒岳石室に着いた。
  シロバナイワブクロ
   
  川沿いのお花畑
     黒岳へは今回最後の登りとなる。

   このころから雲の量が増え、黒岳山頂では
  ガスに覆われて景色はほとんど見えなくなっ
  ていた。

   ここから7合目まで下りとなる。

   この下りは結構長く感じるが、今までと違
  った花が見られるので楽しみでもある道だ。

   ナガバキタアザミ、コモチミミコウモリ、
  ヤマハハコ、オニシモツケ、タカネスイバ、
  ミヤマアキノキリンソウ、アラシグサなどが
  見られた。
  ナガバキタアザミ
 
  オニシモツケ アラシグサ
 

 


     7合目からリフト、ロープウェイを使って層雲峡の駐車場に着いたのが14:50ころ
    だった。時間調整したので、宿にチェックインできる時間になった。

     昨日の最初こそ雨だったがその後天気が回復し、大雪の雄大さを感じられる山旅だった。

     残雪の量がかなり少なかったが、初夏の花から盛夏の花まで十分楽しめた。


   白雲避難小屋 4:35  高根が原を散策

   白雲避難小屋 7:20  白雲分岐 8:00  白雲岳 8:44  白雲分岐 9:28

   北海岳 10:50  黒岳石室 12:16  黒岳 13:00  七合目 14:08


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