檜洞丸


                           2010年6月1日


 花の山を紹介している本を見ていると、丹沢の檜洞丸のシロヤシオとミツバツツジが必ずと
いっていいほど出てくる。一度行ってみてこようと思い、西丹沢自然教室で情報を仕入れて、
これらの花の満開となるこの時期に登ってみた。



  丹沢というとあまりいい思い出がない。それは高校時代の山岳部で丹沢に良く来ており、
 しかもボッカ訓練などで学校から石や砂をザックにつめて上り、山頂付近でおいてくると
 いうようなものや新人歓迎訓練などであったので、どうもその当時のつらい山という印象
 から抜けきらず、それ以降ほとんど登ったことがない。
  西丹沢自然教室の近くに車を止め、ツツジ新道から犬越路を経て一周してくるコースを
 取った。シロヤシオ、トウゴクミツバツツジのほかにどんな花が見られるのか楽しみでス
 タートする。

      車は相当数あるが、もうすでに先発し
  た人たちばかりで、歩いている人は見当
  たらない。一番バスの到着まではまだ時
  間もあり、静かな道歩きができそうな予
  感がする。

   空はきれいに晴れており、気温も高く
  なく、さわやかな風が通って気持ちよい。

   オオカメノキや終わりかけのウツギ、
  フジがほんの少しだけ見えた。

   広葉樹林は新緑を少し過ぎてはいるが
  きれい。

   テンナンショウはところどころ咲いて、
  中にはもう実をつけているものもある。
  カラマツソウの葉が伸びていたが、花は
  つけていない。林床に一つだけギンリョ
  ウソウがあった


 
     ゴーラ沢到着。ここから尾根筋の登りになる。
  すぐに、レンゲツツジが姿を見せた。ここから1200mくらいの間に所々見られた。

  
 
     レンゲツツジ
 
   ブナの木が大分多くなってくる。特に1200m付近には大木がある。都会にこれだけ近いところ
  にこれほどのブナの林があるとは少し驚き。

   もっとも丹沢はブナの南限という話をどこかで読んだことがあるし、また最近はブナの実生がほと
  んど育っていないということも聞いたことがある。地球環境の変化で今後本州にブナがなくなるとい
  うことも聞いた。
  ブナにとっても住みにくい世の中になったようだ。

   山頂から犬越路方面を下山したが、そちらにもかなりのブナの木々、それも大木が見られた。今、
  ブナは黄緑の葉を広げ、美しい姿を見せてくれている。いつまでもこのブナの林を見たいし、また、
  ブナがあることで、山を、生命を守ってもらいたいものである。 

   展望台からは富士山が見られるそうであるが、この日は山すその一部が見えただけで雲の中だった。
   
 

 

 
   ブナの大木  新緑のブナ
     
   1350m付近から、シロヤシオ、トウ
  ゴクミツバツツジの満開の木々が現れる。
  それまでもこれらのツツジはあったが、下
  のほうはもう咲き終わっていた。

   石棚山稜分岐あたりはシロヤシオとトウ
  ゴクミツバツツジの競演の姿も見える。

   シロヤシオはゴヨウツツジの別名もある
  ように葉が5枚あるが、葉の周りが赤く彩
  られていてそのコントラストがきれいなツ
  ツジだ。

   行きのツツジ新道よりも犬越路方面のシ
  ロヤシオ、トウゴクミツバツツジのほうが
  数も多かったし、満開の木も多かった。
   これも今年はそうだったが、来年もそう
  とは限らないだろう。おそらく咲く年とそ
  うでない年があることと思う。

   この日は1450m付近までがそれぞれ
  のツツジの満開でそれより上ではまだ蕾が
  多かった。

    分岐付近のシロヤシオ 
 
  シロヤシオ   犬越路でのシロヤシオ
 
  ツツジ新道での満開のミツバツツジとシロヤシオ  犬越路でのトウゴクミツバツツジ
     
   石棚山稜分岐付近からバイケイソウの
  大群落が続く。よくこれだけのバイケイ
  ソウが集まったものだ。鹿の食害から守
  るために柵が張られている。勿論人間の
  踏み倒しからも守るために木道も整備さ
  れている。

   バイケイソウやコバイケイソウの群落
  は白山や大雪でも見たことがあるが、こ
  れだけの規模はすごい。もっともまだ蕾
  をつけていないので残念だが・・・。
   もともとバイケイソウやコバイケイソ
  ウは湿地を好むはずだが、どうしてこの
  山頂付近にこれだけの規模のものができ
  たのだろう?自然の不思議さを思う。

   山頂到着。山頂は広々としていていく
  つかベンチも置かれ、安全祈願の道標も
  ある。見晴らしはあまりよくない。
  犬越路でのトウゴクミツバツツジ    
      山頂までで、ツツジは3種類見られた
  が、それ以外の花は、登山道の周りに全
  然といっていいほど咲いていない。

   石棚尾根分岐付近に、黄色のミツバツ
  チグリとタンポポだけといってよい。
  ツツジの満開の姿はそれは見事なものだ
  が、それ以外に花がないのはそれだけツ
  ツジの山だということなんだろうか? 
 
    ミツバツチグリ 
 
   山頂からはやや崩壊している急斜面を少し下る。ワチガイソウを一株だけ見つけた。他に撮る
  ものもないので仕方なしにカメラを取り出す。少し下るとマイヅルソウもあったが、まだ花はつ
  けていない。

   犬越路は展望もよく、また歩きやすくもあり、ツツジ類やブナやヒメシャラの林もあって気持
  がよい。
   避難小屋近くになってクワガタソウが見られた。
 
 
  ワチガイソウ  クワガタソウ 
 

  犬越路避難小屋から急斜面を標高差250mほど下る。途中にもクワガタソウだけは見られた。
  その後、用木沢出合までは沢沿いに歩く。ベニバナツクバネウツギやウツギが少し見られた。

  「ツツジは見事だったけど、何も花のない山だったね。」とあーちゃん。
  このコースは登山口から水平距離で12キロあるらしいが、さほど長く感じなかったのも眺望の良さや
  景色の移り変わり、歩きやすさがあったようだが、これに道端の花があればもっともっと素晴らしい山
  に感じたに違いない。
   
  でも今日一日、楽しく遊ばせてもらった。



  登山口8:06 ゴーラ沢出合8:55 展望台9:48 山頂11:22

  山頂12:00 矢駄尾根分岐12:29 犬越路避難小屋13:59 登山口15:30
  


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