大菩薩峠


                         2013年7月26日


   手元に「週刊 花の百名山」という雑誌がある。田中澄江さんの「花の百名山」に紹介され
 ている山を朝日新聞社が30冊に分冊して週刊誌として2004年に発売したものだ。
  その中の大菩薩峠にはニョホウチドリを代表的な花として載せてある。この花はまだ実際に
 見たことがないので終わりかけかもしれないが
、天気も持ちそうなので行ってみることにした。

  大菩薩嶺、大菩薩峠は最近では2009年9月に行っている。偏西風が日本付近で南に蛇行し、そ
 こに低気圧ができ、太平洋高気圧も張り出しが弱くなって、夏
本番の天気図ではない。各地でかなり
 の雨が降っている。
  今回はニョホウチドリを見るだけなのでゆっくり家を出る。中央高速は混むかなと思ったが、空い
 ていた。

     談合坂のSAで休憩したら、富士登山のバ
  スが3台到着し、登山靴を履いた人たちが休
  憩に降りてきた。昼前に五合目にでもついて
  そのまま上るんだろうなと見ていた。

   上日川峠の駐車場には4台が停まっている
  だけだった。支度して歩き出す。

   1700mを超えているので、樹林帯の中
  は暑くはないが、風がないので汗は出てくる。

   登山道の脇を舗装した林道が通っており、
  あーちゃんが「そういえばこの間も山道を通
  らずに林道を通ればよかったと言ってたこと
  を思い出したわ。」と話していた。
    唐松尾根の道
     福ちゃん荘から唐松尾根の道を行く。少し
  登ると上の写真のような尾根に出る。ここの
  尾根はカラマツ、ミズナラ、カエデ、モミジ
  などとともにブナもあるが、ブナの木は小さ
  い。

   セミの声と野鳥のさえずりを聞きながら登
  る。

   ここまで花は見当たらない。

   雷岩に近づくころ、タカネニガナの黄色い
  花がところどころに現れ、やっとコウリンカ
  が見えだした。
  コウリンカ 
       雷岩には5、6人の人がいた。雲は多いが
    日差しはある。

     大菩薩嶺はここから10分ほどだが、展望
    もないし花もおそらくないと思うので、峠に
    まっすぐに向かう。
  コウリンカ 
     尾根筋の道は右側にコウリンカがたくさん
  咲いているが、ほかの花はタカネニガナが少
  しあるだけで見当たらない。

   道の左右を見て、ニョホウチドリを探す。

   道の真ん中の草地でようやく見られた。7、
  8株だ。しかもほとんどが終わりに近く、色
  も褪せていてやっと一株だけましなものが見
  られた。
  ニョホウチドリ 
     もっと先にもあるだろうと思って写真を撮
  らずに15分ほど歩く。しかし、道の両側は
  ササ原になっていて、この中に咲いているよ
  うには思えない。

   前方に避難小屋が見えてきて、ここから見
  ても両側がササで覆われている。

   あーちゃんに先に行って探してもらうこと
  にし、たつさんはニョホウチドリのあった場
  所に引き返して写真だけを撮ってくることに
  する。
    賽の河原への尾根道 
       家に帰ってから、改めて「週刊 花の百名
    山」の写真と解説を見たが、唐松尾根の雷岩
    付近ではオオバギボウシやヤナギランがある
    と書いてあり、雷岩から賽の河原の稜線の写
    真には、ヤマハハコやウスユキソウの群生、
    ヨツバヒヨドリやミヤマアキノキリンソウが
    たくさん咲いているのが写っている。

     しかし、10年前のその当時から状況は大
    きく変化しているように思う。その写真には
    ササの繁茂はあまり見られないが、今はササ
    だらけだ。

     乾燥化でササがはびこり多年草の草本は生
    育できなくなっているようだ。

  コキンレイカ
     賽の河原付近のガレ場にコキンレイカとシ
  モツケの咲き残りが見られた。しかしこれと
  て、ちらほらあっただけだ。

   親不知ノ頭であーちゃんに追いつく。ニョ
  ホウチドリは全く見当たらなかったし、ほか
  の花も見られないという。


    親不知ノ頭で、ウスユキソウを一株だけ見た。
  シモツケ
 
     ほどなく、大菩薩峠に着く。

     ここで昼食にして、上日川峠に下りる。

     ニョホウチドリには何とか出会えたが、上
    述の雑誌に書いてあったテガタチドリやタチ
    フウロは見られなかった。

     ニョホウチドリのあった場所は、まだササ
    もなく、そこだけは草地だったのでこれから
    も何とか守ってほしいと思いつつ、駐車場に
    着いた。

     車は2台だけになっていた。
  ウスユキソウ 
 

 


    ほぼ10年前に発売された「週刊 花の百名山」を参考に、ヤマレコなどの情報も得ながら花の山
   に行ってきたが、鉢伏山、櫛形山、そして今回の大菩薩峠とずいぶん花の種類や量が様変わりしてい
   る山がある。乾燥化によるササの繁茂やシカの食害などで花が減っている。

    シカやサルの食害などは少しは防ぎようがあるが、ササの繁茂などは、特に国立公園内では手だて
   がないように思う。何とかならないものかと考えさせられる。



   上日川峠 10:00  福ちゃん荘 10:25   雷岩 11:31  賽の河原 12:13

    大菩薩峠 12:22  上日川峠 13:30


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