屏風岩山


                           2015年5月10日


   昨秋のこと、ネットで花のことを調べていたら丹沢にヤマシャクヤクがあるという情報に
 目が行った。大きく2つあったが、それぞれで調べてみると詳細なことはほとんど書かれて
 いなかった。それでも屏風岩山周辺にあり、写真も掲載されていたのでちょうど咲いている
 であろうこの時期に行ってみることにした。
  結果としては見つけることができなかった。

  ヤマシャクヤクを見ることが目的であるため、屏風岩山への最短ルートとして大滝キャンプ場に近い
 大滝橋から往復することにし歩き始めた。

     空は快晴で雲一つない。風が爽やかだ。

   前を6人のグループが時々花を見ながら、
  ゆっくり歩いている。

   2.5万分の一の地図など見ると、今日の
  ルートはおそらく眺望は効かないだろうし、
  また花もほとんど見られないのではと思って
  いた。

   ところが木々の花々はちょうど今が咲き始
  めのものが多い。フジが遠方できれいに咲い
  ていた。
    ヤマフジ
     ウツギが何種類かあった。卯の花とも言わ
  れ、その昔小学唱歌でも歌われた植物だ。

   赤がきれいなタニウツギとハコネウツギが
  咲き始めていた。

   まだ樹林帯に入るまでの林道なので、空が
  広く見え、その青さが今日の好天を物語って
  いる。
    タニウツギ 
 
      東海自然歩道の看板が、大滝峠近くまで
     頻繁に出てくる。

      ウツギとガクウツギがあった。

      快晴であるが風がややあるため、ウツギ
     の細い枝が揺られてなかなかピントが合わ
     ない。

      大滝沢を何度か渡渉しながら歩く。

      枯葉に覆われた道は、傾斜がほとんど同
     じようで、しかも階段がついていないので
     とても歩きやすい。
   ハコネウツギ
 
  ウツギ
        樹林帯に入るととたんに花は少なくなる。

      テンナンショウのほかにはフタリシズカ
     がまだ残っていたに過ぎない。

      そのうち少し開けた沢沿いの道になると
     クワガタソウが現れてきた。

      1時間20分ほどで一軒家避難小屋に着
     いた。
  ガクウツギ
 
  フタリシズカ 一軒家避難小屋 
     この辺りは新緑がきれいだ。木の間越しの
  風がとても気持ちいい。

   歩き始めると、カタバミがあった。街中で
  見かけるものより何倍も花や葉が大きい。こ
  の登山道でいくつか見られた。

   さらにイチリンソウがたくさん咲いている。

   ここに来るまでは、花は見られないだろう
  と思っていたので、その予想が外れて嬉しい。

    新 緑
 
  カタバミ イチリンソウ
     ミツバツチグリかキジムシロかあるいは
  コキンバイか、黄色の花が見られる。

   このあたりの区別はできなかったので、
  家で調べたがどうやらミツバツチグリのよ
  うだ。

   さらにクワガタソウもたくさん咲いてい
  た。

   沢から離れ、道はやや長いジグを切って
  尾根へと続いている。

   キランソウがところどころで見られた。
  ミツバツチグリ
        尾根に乗ったあたりに、われわれが初め
     て見る植物があった。家に帰って調べたら、
     ヤマウツボという寄生植物だ。木の根に寄
     生し、葉緑素を持たない植物だそうだ。
     珍しいものに会えた。

      そしてすぐに大滝峠に着き、標識があっ
     た。でもあたりを見ると峠とは言えない。
     どうしてかなと思って標識をよく見たら、
     「大滝峠上」と上の一字がついていた。

      風がとても気持ち良い。気温は16℃で
     爽やかだ。
  クワガタソウ
 
  キランソウ ヤマウツボ 
      屏風岩山は畦ヶ丸の正反対の方角にあ
   る。ところがこの標識にはその方面の記
   述はない。つまり神奈川県としては登山
   道と見ていないということだろう。

    しかし、2.5万図には径はついてお
   り、尾根上に屏風岩山の記載がある。こ
   こからの距離はおよそ1.5キロだ。

    歩き出すと、登山道というより踏み跡
   という程度で、歩く人はほとんどいない
   ようだ。

    50分ほど歩いたが屏風岩山の標識が
   見られない。
  大滝峠上の標識
      そのうち行く手の方向に二本松峠の板
   切れがあり、さらに数十m行ったら、歩
   いてきた方向を指した屏風岩山の板切れ
   があった。通り過ぎてしまったわけだ。

    そこで今来た道を引きかえす。枝尾根
   がなかったか探しながら歩くが、屏風岩
   山は見当たらない。地図とコンパスで確
   かめながら歩いたが、枝道もなく仕方な
   くあきらめた。したがってヤマシャクヤ
   クの場所もわからなかった。

    ただここの尾根には大きなブナの木々
   があり、その新緑がきれいで、それがせ
   めてもの慰みだった。
  ブナの新緑
 

 


    2.5万図上の屏風岩山は明瞭な尾根の上にあるので、とても不思議な感じを持ったままの
   下山だった。ただ、屏風岩山があったとしてもこの尾根上にはヤマシャクヤクはないと思われ
   る。

    大滝峠上からの下山途中で畦ヶ丸から戻る人には二人だけ出合ったが、それ以外は人とは遭
   遇しない静かな山だった。


   大滝橋 8:05  避難小屋 9:20  大滝峠上 10:04  引き返し 11:09

   大滝峠上 12:20  避難小屋 12:54  大滝橋 13:49


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